トーセイ株式会社 の会社詳細
トーセイ株式会社
トーセイ
2026年11月期 第1四半期

トーセイ・2026年11月期Q1、営業利益26%増の154億円——再生事業の大型物件売却が牽引、通期進捗は6割超の好発進

トーセイ
8923
不動産再生
増収増益
インバウンド
株式分割
増配
AUM拡大
都心オフィス
好決算
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

605億円

+31.3%

通期予想

1,230億円

進捗率49%

営業利益

155億円

+25.8%

通期予想

246億円

進捗率63%

純利益

102億円

+24.5%

通期予想

152億円

進捗率67%

営業利益率

25.6%

不動産再生大手のトーセイが発表した2026年11月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比 31.3%増604億円、営業利益が同 25.8%増154億円 と大幅な増収増益となった。主力である 不動産再生事業においてバリューアップ物件の売却が極めて順調に進展 し、通期計画に対する進捗率は営業利益ベースで 63.0% に達するなど、期初から力強いスタートを切った。株主還元についても実質的な増配方針を維持し、成長と還元の両立を鮮明にしている。

業績のポイント

当第1四半期の連結業績は、売上高 604億9,800万円(前年同期比 +31.3%)、営業利益 154億9,900万円(同 +25.8%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益 101億8,100万円(同 +24.5%)を記録した。国内外の投資家による都心不動産への旺盛な需要を背景に、第1四半期として極めて高い利益水準を確保している。

増収増益の最大の要因は、不動産再生事業における「ユニデン八丁堀BL」などの大型バリューアップ物件の引き渡しが集中したことにある。特に税引前利益の通期計画に対する進捗率は 67.6% に達しており、例年の四半期推移を大きく上回るペースで業績が推移 している点が大きな特徴だ。東京が世界都市別投資ランキングで2位となるなど、堅調な市場環境を的確に捉えた格好となった。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の「不動産再生事業」は、売上高 408億4,600万円(前年同期比 +92.8%)、セグメント利益 91億2,600万円(同 +95.4%)と、全体の業績を強力に牽引した。オフィスビルやホテルなどバリューアップ物件計 26棟 を売却し、高い利益率を維持している。投資家の様子見姿勢も見られる市場環境下で、確実に成約を積み上げた経営判断が奏功した。

「不動産開発事業」は、売上高 112億2,600万円(前年同期比 36.5%減)となったが、これは前年同期に大型案件が集中したことによる反動であり、計画通りの推移だ。商業施設「T's BRIGHTIA吉祥寺Ⅱ」など計 10棟 の販売に加え、戸建住宅 11戸 を引き渡している。建築費高騰に対しては、木造賃貸アパート「T's Cuore」シリーズの展開を強化するなど、コスト管理を徹底したポートフォリオ構築を推進している。

安定収益源である「不動産ファンド・コンサルティング事業」は、受託資産残高(AUM)が前期末比で約 774億円 増加し、2兆7,401億円 に到達した。これに伴いセグメント利益は 18億2,100万円(前年同期比 +82.6%)と急拡大した。フロー収益(売却)に頼らないストック収益の基盤が一段と強固になっており、収益構造の安定化が進んでいる。

セグメント売上高セグメント利益前年同期比(利益)
不動産再生408億46百万円91億26百万円+95.4%
不動産開発112億26百万円33億72百万円△38.6%
不動産賃貸23億77百万円14億26百万円+22.1%
ファンド・コンサル25億32百万円18億21百万円+82.6%
不動産管理17億81百万円2億12百万円△32.5%
ホテル17億34百万円5億18百万円△20.0%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
不動産再生事業408億円68%91億円22.3%
不動産開発事業112億円19%34億円30.0%
不動産ファンド・コンサルティング事業25億円4%18億円71.9%

財務状況と資本政策

資産合計は前期末比 70億円減3,003億7,100万円 となった。物件売却が進んだことで「棚卸資産」が 108億円 減少した一方、手元資金である「現金及び現金同等物」は 66億円 増加し、462億円 と潤沢なキャッシュを確保している。有利子負債の削減も進んでおり、自己資本比率は前期末の33.4%から36.0%へ上昇 するなど、財務の健全性は一段と高まった。

資本政策では、2025年12月1日付で実施した 1対2の株式分割 を踏まえ、配当予想を分割後ベースで年間 55円 とした。これは分割前換算で 110円 に相当し、前期実績の分割前100円から 実質10円の増配 となる。利益成長を確実に株主還元へ繋げる姿勢を維持しており、投資家からの信頼性を高める内容となっている。

通期見通し

2026年11月期の通期連結業績予想は、期初公表の数値を据え置いた。第1四半期時点で利益進捗率が 6割 を超えているが、日銀の金利引き上げによる市場動向や、世界的な景気下押しリスクを慎重に見極める姿勢だ。

項目前回予想(百万円)今回予想(百万円)前期実績(百万円)
売上高122,986122,98694,668
営業利益24,61124,61122,328
税引前利益22,00022,00020,629
親会社帰属純利益15,15715,15714,756

リスクと課題

同社は今後のリスク要因として以下の点を挙げ、注視を続けている。

  • 金利上昇リスク: 日銀の政策変更に伴う金利上昇が、国内外投資家の購買意欲やキャップレートに与える影響。
  • 建築費の高止まり: 労務費や資材費の上昇による開発プロジェクトの採算悪化懸念。
  • インバウンド動向: ホテル事業において、中国当局による日本渡航自粛要請等の外部要因が客室稼働率や単価に与える影響。
  • 地政学リスク: イラン情勢等の先行き不透明感や、米国の通商政策が日本経済全体に及ぼす景気下押し圧力。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も驚くべきは、第1四半期時点での極めて高い進捗率です。通常、不動産業は通期後半に引き渡しが偏る傾向にありますが、今期は期初に大型案件の売却を完了させることで、年間業績の達成確度を早々に高めた 点が高く評価されます。

注目すべきは「ファンド・コンサルティング事業」の利益成長(+82.6%)です。フロー型の売却益だけでなく、AUM(受託資産残高)の増大に伴うストック型収益が確実に積み上がっており、「市況に左右されにくい収益構造」への転換 が着実に進んでいる印象を受けます。

一方で、通期予想を据え置いた背景には、金利上昇への警戒感が透けて見えます。足元の好調を維持しつつ、建築費高騰や金利高の中でも高い利回りを確保できる「仕入れ能力」が、次期以降の継続的な成長の焦点となるでしょう。