三菱UFJフィナンシャル・グループ の会社詳細
三菱UFJフィナンシャル・グループ
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2026年3月期 第3四半期

三菱UFJ・2026年3月期Q3、純利益3.7%増の1兆8,135億円——金利上昇を追い風に資金利益拡大、通期目標2.1兆円へ順調に推移

三菱UFJ
8306
メガバンク
増収増益
金利上昇
高配当株
純利益2兆円
資産運用
グローバル展開
銀行業界
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

10.6兆円

+3.6%

営業利益

2.5兆円

+3.6%

純利益

1.8兆円

+3.7%

通期予想

2.1兆円

進捗率86%

営業利益率

23.6%

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の2026年3月期第3四半期決算は、経常収益・利益ともに前年を上回る増収増益となった。国内外での金利環境の変化を的確に捉え、銀行の本業収益を示す「資金利益」が着実に成長したほか、手数料ビジネスも好調を維持している。純利益は1兆8,135億円に達し、通期目標の2兆1,000億円に対する進捗率は86%を超えており、通期での目標達成に向けた盤石な足取りを示している。

業績のポイント

2026年3月期第3四半期累計(2025年4月〜12月)の連結業績は、経常収益が前年同期比3.6%増10兆6,438億円、経常利益が同3.6%増2兆5,092億円となった。最も注目すべきは、親会社株主に帰属する四半期純利益が同3.7%増1兆8,135億円(前年同期は1兆7,489億円)を記録した点である。これは、国内外の金利上昇局面において、貸出金利息などの「資金利益」が前年同期から192億円増加し、収益の柱として機能したことが大きい。

また、コスト管理の徹底も利益を押し上げた。営業費は2兆5,632億円(前年同期比1,565億円増)と増加傾向にあるものの、収益の伸びがそれを上回る「ポジティブ・ジョー」を維持している。与信関係費用は3,429億円と、前年同期の4,125億円から減少しており、国内外の貸出先におけるクレジットコストが落ち着いた推移を見せていることも、最終的な利益の底上げに寄与した。

指標2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
経常収益10兆2,775億円10兆6,438億円+3.6%
経常利益2兆4,219億円2兆5,092億円+3.6%
親会社株主帰属純利益1兆7,489億円1兆8,135億円+3.7%
1株当たり純利益149.85円158.89円+6.0%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計

セグメント別動向

MUFGの多角的なビジネスモデルは、全セグメントにおいて堅調な営業純益を創出している。特に大企業向けビジネスやグローバル展開が利益成長を牽引した。

コーポレートバンキング事業本部は、営業純益が4,884億円とグループ内で最大の稼ぎ頭となっている。国内外の日系大企業に対する貸出収益の改善に加え、ソリューション提供による手数料収入が寄与した。グローバルCIB(投資銀行)事業本部も、営業純益4,258億円(前年同期比421億円増)と高い成長性を見せており、海外での非日系大企業向け案件が収益を押し上げている。

リテール・デジタル事業本部は、営業純益2,145億円を確保した。NISA(少額投資非課税制度)の普及に伴う投資信託の販売や、デジタルを通じた消費者ローン等の拡大が背景にある。一方、市場事業本部は営業純益1,927億円(前年同期比1,648億円増)と大幅な伸びを記録した。これは金利・為替市場の変動を的確に捉えたセールス・トレーディング業務が奏功した結果である。

事業本部営業純益 (億円)前年同期比 (億円)概要
リテール・デジタル2,145+183個人向け投信・決済好調
法人・ウェルス2,702+689事業承継・資産管理ニーズ増
コーポレートバンキング4,884+27日系大企業向け安定推移
グローバルCIB4,258+421非日系大企業向け投資銀行業務
市場1,927+1,648運用収益の改善
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
リテール・デジタル事業本部7,828億円17%2,146億円27.4%
法人・ウェルスマネジメント事業本部6,084億円14%2,702億円44.4%
コーポレートバンキング事業本部7,921億円18%4,884億円61.7%
グローバルCIB事業本部7,875億円18%4,258億円54.1%
市場事業本部4,398億円10%1,928億円43.8%

財務状況と資本政策

財務基盤は極めて強固な状態を維持している。2025年12月末時点の連結総資産は、前連結会計年度末から約5兆円増加し、418兆1,078億円となった。貸出金残高は130兆3,380億円(約8.9兆円増)と伸びており、企業の資金需要に応える姿勢が数字に表れている。一方で有価証券は85兆1,233億円と若干減少させており、金利変動リスクを考慮したポートフォリオの調整が進んでいることが伺える。

資本効率の指標であるROE(自己資本利益率)は、親会社株主に帰属する当期純利益ベースで11.55%を記録した。これは前年同期の11.67%から微減したものの、依然として業界トップクラスの高水準にある。「株主還元の拡充」については、通期の1株当たり配当予想を前期比10円増の年間74円としており、利益成長に応じた積極的な還元方針を維持している。自己資本比率も5.1%と安定しており、成長投資と株主還元の両立が可能な財務体質を堅持している。

リスクと課題

将来の不確実性として、会社側は以下のリスク要因を注視している。第一に、外部環境の変化である。ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスク、および各国の通商政策がもたらす世界経済の減速懸念は、海外貸出金のクレジットコスト増大に繋がる恐れがある。第二に、市場変動リスクだ。特に米国を中心とした金利動向が想定外の動きを見せた場合、保有する債券の評価損拡大や資金調達コストの上昇を招くリスクがある。

また、国内においても日本銀行の金融政策の先行きが不透明な中、預金金利の上昇による利ざやの圧縮が課題となる。MUFGはこれらの不確実性に備え、貸倒引当金の算定において定量モデルに加えて定性的な調整を行うなど、保守的なリスク管理を継続している。特に「破綻懸念先」に対する債権の回収可能性については、厳格なキャッシュ・フロー見積法を適用し、不測の事態に備えている。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績目標について、MUFGは「親会社株主に帰属する当期純利益」を2兆1,000億円とする目標を据え置いた。第3四半期時点での純利益は1兆8,135億円であり、目標に対する進捗率は86.4%に達している。最終四半期(1月〜3月)に向けた余力は十分にあり、上方修正の期待もかかる水準だが、現時点ではマクロ経済の不確実性を考慮し、慎重な姿勢を崩していない。

項目通期目標 (今回)通期目標 (前回)前期実績 (2025/3)
純利益2兆1,000億円2兆1,000億円1兆4,908億円
年間配当74円74円64円
AIアナリストの視点

三菱UFJ(MUFG)の今回の決算は、まさに「メガバンクの独壇場」を感じさせる内容です。特に、進捗率86%超という数字は、保守的な銀行業界においては事実上の「射程圏内」であり、通期目標の超過達成だけでなく、来期に向けたさらなる増配への期待も高まります。

注目すべきは、単なる金利上昇の恩恵だけでなく、「役務取引等利益(手数料収入)」がしっかりと伸びている点です。これは、金利に頼らない収益構造への改革が着実に進んでいる証左であり、就職活動中の学生にとっても、単なる「貸し金」のイメージを超えた投資銀行・資産運用会社としてのMUFGの強みを理解するポイントになるでしょう。

懸念点としては、有価証券の評価損益(米国債等の含み損)のコントロールですが、現時点では資金利益の拡大分で十分に吸収できています。今後は日本国内での「プラス金利」が定着する中で、いかに預金コストを抑えつつ、貸出利ざやを拡大できるかが真の稼ぐ力の試金石となるでしょう。