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みずほフィナンシャルグループ の会社詳細
みずほフィナンシャルグループ
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2026年3月期 通期

みずほ・2026年3月期通期、純利益41%増の1兆2,486億円——過去最高益を更新、1,000億円の自社株買い発表

みずほFG
過去最高益
純利益1兆円
自社株買い
増配
メガバンク
政策保有株式売却
金利上昇メリット
資本政策
金融業界
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

9.1兆円

+0.6%

営業利益

1.6兆円

+34.6%

純利益

1.2兆円

+41.0%

通期予想

1.3兆円

進捗率96%

営業利益率

17.3%

みずほフィナンシャルグループが発表した2026年3月期決算は、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比 41.0%増1兆2,486億円 となり、過去最高益を大幅に更新しました。国内外での金利上昇に伴う利ざや改善に加え、非金利ビジネスの伸長や政策保有株式の売却益が利益を押し上げ、悲願であった「純利益1兆円」の大台を突破しました。同社は好調な業績を背景に、1,000億円規模の自社株買いと、年間配当の5円増配を柱とする積極的な株主還元策を打ち出しています。

業績のポイント

当連結会計年度の経常収益は、前期比 0.6%増9兆854億円 と微増に留まったものの、本業の収益力を示す利益指標は軒並み急拡大しました。経常利益は前期比 34.6%増1兆5,731億円、純利益は同 41.0%増1兆2,486億円 を記録しています。この増益の背景には、円金利の上昇や円安効果に加え、国内外での非金利ビジネスが好調に推移したことがあります。

特に注目すべきは、政策保有株式の売却を進めたことで「株式等関係損益」が前期比 1,839億円増加3,251億円 に達した点です。さらに、退職給付信託の返還益を特別利益に計上したことも利益の底上げに寄与しました。一方で、不透明な地政学情勢を考慮した「フォワード・ルッキング(先読み)」な引当を実施したことで、与信関係費用は前期比 814億円増加の 1,330億円 となりましたが、収益の拡大がこれらを十分に吸収した格好です。

指標2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)前年同期比
経常収益9兆303億円9兆854億円+0.6%
経常利益1兆1,681億円1兆5,731億円+34.6%
親会社株主に帰属する当期純利益8,854億円1兆2,486億円+41.0%
連結業務純益(参考)1兆989億円1兆4,227億円+29.5%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

顧客セグメント別のカンパニー制において、全ての主要セグメントが収益成長を遂げました。特に国内の大企業を対象とするコーポレート&インベストメントバンキング(CIBC)が、ソリューション営業の強化により高い伸びを示しています。

  • リテール・事業法人(RBC): 業務純益は 2,375億円 となりました。国内の個人や中小企業向けに、資産運用や承継ニーズを捉えた非金利収益が堅調に推移しました。
  • コーポレート&インベストメントバンキング(CIBC): 業務純益は 4,997億円 に達しました。大企業向けの手数料ビジネスや貸出利ざやの改善が利益を牽引しています。
  • グローバルコーポレート&インベストメントバンキング(GCIBC): 業務純益は 3,677億円 となりました。海外進出日系企業や非日系優良企業への融資・アドバイザリー業務が円安の恩恵も受けて拡大しました。
  • グローバルマーケッツ(GMC): 業務純益は 2,599億円 でした。市場変動を捉えたトレーディング業務や債券運用が安定的に寄与しました。
  • アセットマネジメント(AMC): 業務純益は 196億円 となり、国内外の投資ニーズの高まりを背景に運用資産残高を伸ばしています。
セグメント(カンパニー)名業務粗利益業務純益構成比(純益)
RBC(国内個人・中小)9,846億円2,375億円16.3%
CIBC(国内大企業)7,392億円4,997億円34.2%
GCIBC(海外大企業)8,569億円3,677億円25.2%
GMC(市場・運用)6,648億円2,599億円17.8%
AMC(資産運用)735億円196億円1.3%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
RBC(リテール・事業法人)9,846億円28%2,375億円24.1%
CIBC(国内大企業)7,393億円21%4,998億円67.6%
GCIBC(海外企業)8,570億円24%3,677億円42.9%
GMC(グローバルマーケッツ)6,649億円19%2,600億円39.1%
AMC(アセットマネジメント)736億円2%197億円26.7%

財務状況と資本政策

連結総資産は、有価証券や貸出金の増加に伴い、前期末比 18.9兆円増加302兆2,400億円 と過去最大規模に拡大しました。自己資本比率の指標となる普通株式等Tier1比率(バーゼルIII最終化ベース、評価差額除く)は 9.9% を維持しており、経営目標として掲げる「9%台前半」を大きく上回る強固な財務基盤を構築しています。

資本還元の強化を鮮明にしており、2026年3月期の年間配当は前期比 5円増配145円 とすることを決定しました。さらに、本日付で発行済株式総数の約1.0%に相当する 2,500万株(上限1,000億円) の自社株買いを発表しました。同社は「累進的な配当」と「機動的な自己株式取得」を組み合わせていく方針で、総還元性向 50%以上 を目安に据えるなど、投資家に対する還元姿勢を一段と強めています。

リスクと課題

好調な決算の一方で、経営陣は将来の不確実性に対して警戒を緩めていません。短信内では、今後の焦点として以下のリスク要因が挙げられています。

  • 地政学リスクの長期化: 特に不透明な中東情勢などが、エネルギー価格や世界のサプライチェーンに与える影響を注視しています。
  • 金利・市場変動リスク: 日本国内の金融政策の正常化プロセスに伴う債券含み損の影響や、外国為替相場の激しい変動が収益に与えるボラティリティへの対応が課題です。
  • 与信費用の抑制: 現在のところ低水準に抑えられていますが、一部の海外個社や特定のセクターにおける信用状況の悪化に備え、フォワード・ルッキングな引当を継続する方針です。
  • 政策保有株式の削減: 資本効率向上のため、引き続き政策保有株式の計画的な削減を進めることが経営上の重要事項となっています。

通期見通し

2027年3月期の通期連結業績予想について、純利益は前期比 4.1%増1兆3,000億円 と、さらなる過去最高益の更新を見込んでいます。国内金利の上昇による利ざやの拡大が本格的に寄与するほか、グループ一体でのソリューション営業が成果を出し続けることを前提としています。配当についても、さらに 5円の増配 を行い、年間 150円(中間75円、期末75円)とする累進配当を維持する計画です。

項目2026年3月期(実績)2027年3月期(予想)変化率
親会社株主に帰属する当期純利益1兆2,486億円1兆3,000億円+4.1%
1株当たり当期純利益502.92円533.10円+6.0%
年間配当金145円150円+3.4%
AIアナリストの視点

今回の決算は、みずほFGにとって歴史的な転換点となったと言えます。長らく目標としていた「純利益1兆円」を軽々と超え、三菱UFJや三井住友といった競合他社と肩を並べる収益力を証明しました。

特に評価できる点は、単なる円安や金利上昇といった外部環境の追い風だけでなく、CIBC(大企業向け)を中心とした本業の「稼ぐ力」が向上していることです。また、自社株買いの発表タイミングを好決算に合わせたことで、市場への「株主重視」のメッセージが非常に強力に伝わっています。

今後は、国内金利が本格的に上昇する局面で、預金コストの上昇を抑えつつ貸出利ざやをどこまで拡大できるか、また、政策保有株式の削減に伴う余剰資本をいかに高効率な成長分野へ再投資できるかが、時価総額のさらなる拡大に向けた試金石となるでしょう。