業界ダイジェスト
SOMPOホールディングス株式会社 の会社詳細
SOMPOホールディングス株式会社
SOMPOホールディングス
2026年3月期 通期
2026年5月19日

SOMPOホールディングス・2026年3月期通期、純利益163%増の6,400億円——全セグメントで大幅増益、配当の大幅増額と自社株買いも発表

SOMPO
8630
増収増益
過去最高益
配当増額
自社株買い
株主還元
海外保険
IFRS
損保
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

5.4兆円

+6.1%

営業利益

8,432億円

+155.3%

純利益

6,401億円

+163.3%

通期予想

4,900億円

進捗率131%

営業利益率

15.7%

SOMPOホールディングスが発表した2026年3月期の連結決算(IFRS)は、親会社の所有者に帰属する当期利益が前年比 163.3%増6,400億円 となり、過去最高水準の大幅な増益を記録しました。主力の国内損害保険事業および海外保険事業において、保険サービス損益が劇的に改善したほか、良好な市場環境を背景とした資産運用収益の拡大が業績を大きく押し上げました。好調な業績を背景に、同社は 株主還元のさらなる拡充 を打ち出し、次期の配当予想を大幅に引き上げるとともに、最大 690億円 の自社株買い実施を決定しています。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、売上高にあたる保険収益が前年比 6.1%増5兆3,729億円 、税引前利益が同 155.3%増8,432億円 と、極めて力強い成長を遂げました。この急激な利益成長の最大の要因は、保険本業の儲けを示す「保険サービス損益」が前年から 2,841億円 増加し、 5,882億円 に達したことです。国内での自然災害の影響が抑制されたことや、適切な料率改定の効果が浸透したことが寄与しました。

また、金融損益面でも大きな進展が見られました。投資有価証券の売却益や利息・配当金収入を含む投資損益が 5,829億円 (前年比 2,251億円増 )と好調に推移し、ボトムラインを大きく底上げしました。世界的な株高や金利環境の変化を的確に捉えた資産運用戦略が功を奏した形です。

指標2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)前年比
保険収益5兆655億円5兆3,729億円+6.1%
税引前利益3,302億円8,432億円+155.3%
当期利益2,431億円6,400億円+163.3%
基本的1株当たり当期利益250.90円701.03円+179.4%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

全ての報告セグメントにおいて増益を達成しており、事業ポートフォリオの強固さが示されました。

国内損害保険事業 は、保険収益が 2兆7,305億円 (前年比+960億円)、セグメント利益が 2,681億円 (前年比+2,097億円)と劇的な回復を見せました。前年度に重荷となった火災保険や自動車保険の収支が改善したことが主因です。また、 海外保険事業 も成長の牽引役となり、保険収益は 2兆4,411億円 (前年比+2,134億円)、セグメント利益は 2,944億円 (前年比+1,167億円)に拡大しました。北米を中心とした好調な引受環境が継続し、収益性が一段と向上しています。

国内生命保険事業および介護事業も堅調に推移しました。生命保険事業は保険収益の微増ながらも、効率的な運営により利益は 686億円 (前年比+387億円)と倍増しました。介護事業についても、サービス単価の適正化やオペレーション効率の改善により、セグメント利益は 79億円 (前年比+26億円)と着実な成長を見せています。

セグメント保険収益セグメント利益利益の前年比
国内損害保険2兆7,305億円2,681億円+359.6%
海外保険2兆4,411億円2,944億円+65.7%
国内生命保険2,587億円686億円+129.5%
介護事業1,862億円79億円+49.9%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内損害保険事業2.7兆円51%2,681億円9.8%
海外保険事業2.4兆円45%2,945億円12.1%
国内生命保険事業2,587億円5%686億円26.5%
介護事業1,862億円4%80億円4.3%

財務状況と資本政策

当期末の資産合計は、運用資産の時価評価増などを背景に前年末から 2兆7,136億円 増加し、 18兆6,037億円 となりました。親会社の所有者に帰属する持分も 5兆1,678億円 (前年末比+9,626億円)と大幅に積み上がり、 自己資本比率は27.8% に上昇しています。

特筆すべきは、積極的な株主還元姿勢です。同社は資本効率の向上に向けた「資本水準調整」を加速させる方針を示しました。2026年3月期の配当を年 150円 (前期は132円)に増額しただけでなく、次期(2027年3月期)の配当予想を1株当たり 200円 とさらに引き上げます。また、本日付で最大 690億円 (発行済株式数の1.8%相当)の自社株買いを公表しており、総還元性向を意識した経営判断を下しています。

さらに、機動的な資金調達として 13億米ドルのシニア無担保社債 の発行(2026年4月)も実施しており、グループ全体の資本構成の最適化と、主力子会社である損害保険ジャパンへの資金供給体制を整えています。

通期見通し

2027年3月期の連結業績予想について、同社は親会社の所有者に帰属する当期利益を 4,900億円 (前年比 23.4%減 )と見込んでいます。この減益予想は、2026年3月期の利益水準が運用収益の記録的な計上により極めて高かったことの反動(巡航速度への回帰)を織り込んだものと考えられます。ただし、配当性向の目標値に基づき、配当金については大幅な増配を継続する計画です。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想変化率
親会社帰属当期利益6,400億円4,900億円△23.4%
1株当たり当期利益701.03円549.17円△21.7%
年間配当金150円200円+33.3%

リスクと課題

経営環境における主な不透明感として、以下の要因を挙げています。

  • 外部環境の変動: 中東情勢の緊迫化や、米国をはじめとする主要国の通商政策の動向が、世界経済および金融資本市場に与える影響。
  • 自然災害リスク: 国内外における大規模な自然災害の発生状況。次期予想では損害保険ジャパンにおいて、国内自然災害に係る正味発生損害額を 1,100億円 と見込んでいます。
  • 市場変動リスク: 金利、為替レート、株式相場の大幅な変動。特に外貨建資産や政策保有株式の評価額変動が、包括利益や自己資本に与える影響を注視する必要があります。
AIアナリストの視点

今回の決算は、SOMPOホールディングスにとって「収益力の劇的な回復」と「資本政策の転換」を強く印象づけるものとなりました。

特に注目すべきは、純利益が前年比で2.6倍以上に跳ね上がった点です。これは単なる一過性の要因だけでなく、国内・海外の両輪で保険引受の採算性が向上していることを示しています。IFRS適用により、投資損益の変動がダイレクトに利益に反映されやすくなった側面はありますが、それを差し引いても力強い内容です。

また、投資家にとって最大のポジティブサプライズは、 2027年3月期の配当予想を200円へと大幅に引き上げた ことでしょう。業績予想自体は「減益」としていますが、これはあくまで前期が好調すぎたことへの保守的な見立てであり、株主還元への自信の表れと解釈できます。

就職活動中の学生にとっても、同社が「介護」や「デジタル」といった非保険領域への投資を継続しつつ、グローバルな保険グループとして強固な収益基盤を確立している現状は、キャリア形成の観点から非常に魅力的な材料と言えます。