業界ダイジェスト
株式会社サンドラッグ の会社詳細
株式会社サンドラッグ
サンドラッグ
2026年3月期 通期

サンドラッグ・2026年3月期通期、売上高8,425億円で増収増益——調剤・ECと食品部門が成長を牽引

増収増益
サンドラッグ
ダイレックス
ドラッグストア
ディスカウントストア
増配
調剤事業
EC強化
食品販売
決算分析
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

8,425億円

+5.1%

通期予想

8,760億円

進捗率96%

営業利益

468億円

+5.2%

通期予想

488億円

進捗率96%

純利益

314億円

+2.1%

通期予想

322億円

進捗率98%

営業利益率

5.6%

ドラッグストア大手のサンドラッグが発表した2026年3月期連結決算は、売上高が前期比 5.1%増8,425億円 、営業利益が 5.2%増468億円 となり、増収増益を達成した。物価高による生活防衛意識が高まる中、低価格戦略を強みとする「ディスカウントストア事業」が好調を維持したほか、ドラッグストア事業での調剤部門やEC事業の強化が実を結んだ。仕入れ条件の改善による粗利率の向上も利益を押し上げ、1株当たり年間配当は前期の130円から1円増配となる 131円 を実施した。

業績のポイント

サンドラッグの2026年3月期は、主力であるドラッグストア事業の堅調な推移に加え、子会社のダイレックスが展開するディスカウントストア事業が大きく成長し、全体を牽引した。連結売上高は 8,425億12百万円 (前期比 +5.1% )、本業の儲けを示す営業利益は 468億31百万円 (前期比 +5.2% )と、いずれも着実な伸びを記録している。特に経常利益は 462億20百万円 (前期比 +5.4% )となり、厳しい競争環境下でも高い収益性を維持していることが示された。

増益の背景には、不採算店舗の整理や既存店の改装による効率化がある。当連結会計年度中に 73店舗 を新規出店し、 79店舗 の改装を実施する一方で、 21店舗 を閉店した。この機動的な店舗戦略により、グループ全体の店舗数は 1,594店舗 に拡大した。また、人件費や光熱費などのコスト増に対して、生産性向上に向けた投資や、取引条件の改善といった経営努力が結実し、営業利益率も 5.6% (前期は5.5%)と微増させた。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

セグメント別では、ドラッグストア事業とディスカウントストア事業の双方が増収増益を達成した。特にディスカウントストア事業は、消費者の低価格志向を捉えて高い成長率を見せている。

ドラッグストア事業 は、売上高 5,393億79百万円 (前期比 +4.3% )、セグメント利益 274億81百万円 (前期比 +3.1% )となった。一昨年の反動で感冒薬などの季節商材は苦戦したものの、調剤部門とEC事業が継続的な成長を見せた。また、備蓄米の需要増などの特需も追い風となった。営業利益率は 5.1% となり、既存店の改装効果による顧客層の維持と、取引条件の改善が収益の下支えとなった。

ディスカウントストア事業(ダイレックス) は、売上高 3,641億21百万円 (前期比 +6.4% )、セグメント利益 193億50百万円 (前期比 +8.4% )と、ドラッグストアを上回る成長を遂げた。暖冬の影響で季節家電の販売は振るわなかったものの、食品部門が市場価格の上昇を背景に非常に堅調に推移した。ドラッグストア商材の取引条件改善も寄与し、利益率は 5.3% と前年から 0.1ポイント 改善している。

セグメント名売上高(百万円)前期比セグメント利益(百万円)前期比
ドラッグストア539,379+4.3%27,481+3.1%
ディスカウントストア364,121+6.4%19,350+8.4%
連結合計842,512+5.1%46,831+5.2%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ドラッグストア事業5,394億円64%275億円5.1%
ディスカウントストア事業3,641億円43%194億円5.3%

財務状況と資本政策

財務面では、積極的な出店投資を続けながらも、極めて健全な水準を維持している。総資産は前期末比 314億98百万円 増の 4,755億5百万円 となった。これは主に、新規出店や店舗改装に伴う有形固定資産の増加によるものである。負債合計は 1,895億4百万円 で、買掛金や資産除去債務の増加が主な要因となった。

自己資本比率は 60.1% と、前期の 60.7% からわずかに低下したものの、依然として業界内で高い水準にある。株主還元については、当期の年間配当を 131円 (配当性向 48.8% )とし、安定的な還元を継続した。キャッシュ・フロー面では、営業活動により 432億97百万円 のキャッシュを創出。これを原資に有形固定資産の取得などの投資活動に 320億76百万円 を充て、攻めの姿勢を崩していない。

リスクと課題

今後の経営リスクとして、同社は以下の要因を挙げている。第一に、「業界再編と競争の激化」である。大手企業同士の統合が進む中、他業態(スーパー、コンビニ)との境界も曖昧になっており、価格競争がさらに激化する懸念がある。第二に、「労働力不足とコスト増」である。人口減少に伴う採用難や賃金上昇、さらにエネルギー価格や原材料費の高騰が、販売管理費を圧迫するリスクとなっている。

また、消費者の購買行動の変化も課題だ。デジタル化への対応やEC事業のさらなる拡大が急務となっており、これらの変化に対応できない場合、市場シェアの低下を招く可能性がある。会社側は、これらのリスクに対してDX(デジタル・トランスフォーメーション)による省人化や、プライベートブランドの拡充、専門性の高い人材育成で対抗する構えだ。

通期見通し

2027年3月期についても、増収増益のトレンドを継続する見通しだ。雇用環境の改善による個人消費の持ち直しを背景に、売上高は 8,760億円 (前期比 4.0%増 )、営業利益は 488億円 (前期比 4.2%増 )を計画している。グループ合計で 100店舗 の新規出店(ドラッグストア68、ディスカウント32)を予定しており、店舗網の拡充を加速させる。配当も年間 132円 と、さらなる増配を予定している。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上高842,512 百万円876,000 百万円+4.0%
営業利益46,831 百万円48,800 百万円+4.2%
当期純利益31,392 百万円32,150 百万円+2.4%
AIアナリストの視点

サンドラッグの決算で特筆すべきは、ディスカウントストア(DS)事業の成長性です。ドラッグストア業界全体がオーバーストア状態で苦しむ中、食品に強い子会社ダイレックスを持つことが強力な差別化要因となっています。物価高によって消費者が「安さ」を追求する現在の環境は、同社にとって追い風です。

注目ポイントとして、DS事業のセグメント利益成長率(+8.4%)が売上成長率(+6.4%)を上回っている点が挙げられます。これは、単に売れているだけでなく、効率的なオペレーションや取引条件の改善が確実に利益に結びついている証拠です。

懸念点としては、業界首位級のウエルシアやツルハなどの再編の動きに対し、サンドラッグがどう立ち回るかです。現在は自力成長と既存店改装で高い収益性を維持していますが、将来的な大規模M&Aの有無が、投資家や就活生にとっての長期的な焦点となるでしょう。