業界ダイジェスト
株式会社小松製作所 の会社詳細
株式会社小松製作所
小松製作所
2026年3月期 通期

小松製作所・2026年3月期通期、営業利益13.7%減の5,673億円——建機需要一巡とコスト増で減益、1,000億円の自社株買い発表

小松製作所
減益
自社株買い
建設機械
半導体関連
株主還元
上方修正なし
海外展開
財務分析
就職活動
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

4.1兆円

+0.7%

通期予想

4.1兆円

進捗率100%

営業利益

5,673億円

-13.7%

通期予想

5,080億円

進捗率112%

純利益

3,764億円

-14.4%

通期予想

3,180億円

進捗率118%

営業利益率

13.7%

建設機械大手の小松製作所(コマツ)が発表した2026年3月期通期連結決算は、売上高が前期比 0.7%増4兆1,327億円 と過去最高を更新した一方で、営業利益は同 13.7%減5,673億円 となった。世界的な建設機械の需要一巡や資材コストの上昇が利益を圧迫したが、自動車向けプレスや半導体関連の産業機械部門が大幅増益となり、全体の下支えに寄与した。同社は機動的な資本政策として上限 1,000億円自己株式取得(自社株買い) を発表し、株主還元の姿勢を鮮明にしている。

トーク

小松製作所 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

0:00

業績のポイント

2026年3月期の連結業績は、売上高が 4兆1,327億円(前年同期比 +0.7%)と微増ながら過去最高を記録した。主力である建設機械・車両部門において、販売価格の改善や円安による押し上げ効果があったものの、世界的な販売台数の減少が成長を抑制する結果となった。利益面では、原材料価格や人件費の増大に加え、販売量の減少に伴う稼働率低下が響き、営業利益は 5,673億円(同 -13.7%)と二桁の減益に転じた。

当期純利益についても、営業減益の影響を主因として 3,764億円(同 -14.4%)に留まった。売上高営業利益率は前期の 16.0% から 13.7% へと 2.3ポイント悪化 しており、コスト管理が大きな経営課題として浮上している。一方で、自動車メーカー向けの設備投資需要や半導体市場の回復を背景としたメンテナンス収益が好調に推移し、事業構造の多様性が収益の急落を食い止めた形だ。

指標2025年3月期(実績)2026年3月期(実績)前期比利益率
売上高4兆1,044億円4兆1,328億円+0.7%-
営業利益6,571億円5,673億円△13.7%13.7%
税引前当期純利益6,048億円5,373億円△11.2%-
当期純利益4,396億円3,764億円△14.4%-

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力である建設機械・車両部門は、売上高が 3兆8,060億円(前期比 +0.2%)、セグメント利益は 4,911億円(同 -18.0%)となった。北米ではインフラ投資やエネルギー関連の需要が底堅く推移したが、アジアでは石炭価格の下落に伴い石炭鉱山向けの需要が低迷し、大幅な減益要因となった。日本では資材価格高騰や労働力不足によりレンタル需要が低迷したほか、欧州や中国でも景況感の停滞が影を落とした格好だ。

産業機械他部門は、売上高 2,388億円(前期比 +6.8%)、セグメント利益 379億円(同 +38.5%)と大きく躍進した。特に自動車産業向けの大型プレスの販売が増加したほか、半導体産業向けの「エキシマレーザー」関連事業でメンテナンス売上が伸びたことが利益を大きく押し上げた。リテールファイナンス部門も、債権残高の拡大に伴う金利収入の増加により、利益が 366億円(同 +24.4%)と好調に推移し、建機部門の不振を補完した。

セグメント売上高前期比セグメント利益前期比
建設機械・車両3兆8,060億円+0.2%4,911億円△18.0%
リテールファイナンス1,261億円+2.4%366億円+24.4%
産業機械他2,388億円+6.8%379億円+38.5%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
建設機械・車両3.8兆円92%4,911億円12.9%
リテールファイナンス1,261億円3%366億円29.0%
産業機械他2,388億円6%379億円15.9%

財務状況と資本政策

2026年3月末時点の総資産は、前期末比 6,504億円増6兆4,239億円 となった。これは為替の円安進行に伴う外貨建て資産の円換算額増加に加え、売上債権や棚卸資産が増加したことによるものである。株主資本比率は 54.7%(前期末比 0.3ポイント低下)となったが、依然として高い財務健全性を維持している。有利子負債残高は 1兆3,410億円 へと増加したが、営業キャッシュ・フローを基盤とした堅実な運営が続いている。

株主還元については、年間配当金190円(前期比維持)を決定し、連結配当性向は 45.9% となった。特筆すべきは、決算発表と同時に 上限1,000億円の自社株買い(発行済株式総数の2.8%)を公表したことだ。利益が減少する局面においても、資本効率の向上と株主への利益還元を優先する経営判断を下しており、市場からはポジティブな評価が期待される内容となっている。

リスクと課題

同社は今後の経営リスクとして、地政学リスクの長期化と外部環境の変化を挙げている。具体的には、中東情勢の緊迫化による物流コストの上昇や特定地域での需要急減が懸念されている。また、米国の関税政策を含む保護主義的な通商政策の動向が、北米市場の収益性に影響を与える可能性を指摘している。

その他の重要課題は以下の通りである:

  • 原材料価格の再上昇および人件費の高騰による利益率の低下
  • 中国不動産市況の低迷長期化に伴う建機需要の回復遅れ
  • 為替相場(特に米ドル、ユーロ、豪ドル)の変動による業績への影響
  • 自動化・電動化など次世代建機開発に向けたR&D費用の増大

通期見通し

2027年3月期の連結業績予想について、コマツは減収減益の厳しい見通しを示した。売上高は前期比 0.4%減4兆1,180億円、営業利益は同 10.5%減5,080億円 を見込んでいる。米国での関税政策の影響や固定費の増加を見込むほか、中東情勢による一部地域の需要減を慎重に織り込んだ形だ。前提為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=174円と設定している。

項目2026年3月期(実績)2027年3月期(予想)前期比
売上高4兆1,328億円4兆1,180億円△0.4%
営業利益5,673億円5,080億円△10.5%
当期純利益3,764億円3,180億円△15.5%
AIアナリストの視点

今回の決算は「売上の維持と利益の苦戦」が鮮明になりました。主力の建機部門では価格転嫁を進めているものの、それを上回るコスト増とアジア等での需要減が重荷となっています。

注目すべきは産業機械部門の健闘です。自動車向けプレスや半導体向けレーザーが利益を支えており、建機一本足打法からの脱却が進んでいる点は評価できます。

また、大幅減益の中で1,000億円の自社株買いに踏み切ったのは、株価を意識した強い資本政策の表れです。2027年3月期も減益予想と厳しい環境が続きますが、次世代の「スマートコンストラクション」や無人ダンプなど、高付加価値なソリューションへの投資を継続できるかが、中長期的な株価・競争力の鍵となるでしょう。