業界ダイジェスト
株式会社アマダ の会社詳細
株式会社アマダ
アマダ
2026年3月期 通期

アマダ・2026年3月期通期、売上収益10%増の4,373億円で過去最高——積極M&Aで事業拡大、500億円の自社株買いも発表

増収減益
過去最高売上
M&A
自社株買い
株主還元
データセンター需要
金属加工機械
半導体関連
工作機械
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

4,374億円

+10.3%

通期予想

4,600億円

進捗率95%

営業利益

448億円

-8.7%

通期予想

480億円

進捗率93%

純利益

306億円

-5.7%

通期予想

340億円

進捗率90%

営業利益率

10.2%

金属加工機械大手のアマダは、2026年3月期の連結売上収益が前期比 10.3%増4,373億円 となり、過去最高を更新したと発表しました。大型M&Aの実施によりプレス事業や半導体関連が大きく伸びた一方、原材料高や人件費上昇、米国関税の影響が重なり、営業利益は 447億円(前期比 8.7%減)の減益となりました。併せて、発行済株式の8.0%に相当する 500億円の自社株買い と次期の増配方針を打ち出し、積極的な株主還元姿勢を鮮明にしています。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、積極的なM&Aによる事業領域の拡大が売上を大きく押し上げました。売上収益は 4,373億7,200万円(前期比 +10.3%)に達し、AI普及に伴うデータセンター向け投資や半導体関連の需要を確実に取り込んだ形です。一方で利益面については、既存事業におけるコスト増が重荷となりました。米国の関税政策に伴う影響や世界的な人件費の上昇、顧客工場の建設遅延による受注残の消化遅延が響き、営業利益は 447億9,800万円(前期比 -8.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は 305億5,400万円(前期比 -5.7%)と、増収減益の着地となりました。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前期比
売上収益3,966億円4,373億円+10.3%
営業利益490億円447億円-8.7%
当期利益323億円305億円-5.7%
営業利益率12.4%10.2%△2.2pt

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主軸の金属加工機械事業は、売上収益 3,264億8,500万円(前期比 1.1%減)、営業利益 373億3,300万円(前期比 7.6%減)と苦戦しました。国内ではデータセンター向けの配当盤やサーバーラック用需要が堅調だったものの、欧州での景気低迷による設備投資の先送りが響きました。特に微細溶接部門において、世界的なEV市場の停滞に伴うバッテリー関連投資の抑制が減収の主因となりました。

対照的に、金属工作機械事業は飛躍的な成長を遂げました。売上収益は 883億4,500万円(前期比 35.5%増)、営業利益は 91億6,100万円(前期比 32.8%増)と大幅な増収増益を記録しています。これは2025年度に実施した株式会社エイチアンドエフおよびビアメカニクス株式会社の連結子会社化が大きく寄与したためです。大型プレス機械や半導体パッケージ基板向けのドリル穴明機など、新たな事業柱が加わったことで、事業ポートフォリオの多角化が進んでいます。

セグメント名売上収益前期比営業利益前期比
金属加工機械3,264億円△1.1%373億円△7.6%
金属工作機械883億円+35.5%91億円+32.8%
その他225億円-△16億円-
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
金属加工機械事業3,265億円75%373億円11.4%
金属工作機械事業883億円20%92億円10.4%
その他225億円5%-1,696百万円-7.5%

財務状況と資本政策

財務状態については、積極的な投資活動を反映した構成となりました。資産合計は前期末比で 1,222億円 増加し、 7,721億900万円 となっています。これは企業買収に伴い 「のれん」や無形資産 が増加したこと、および買収資金の調達として借入金を増やしたことが主な要因です。この結果、親会社所有者帰属持分比率は前期の 79.9% から 69.4% へと低下しましたが、依然として高い財務健全性を維持しています。

特筆すべきは、非常に強力な株主還元施策です。同社は「自己資本水準の適正化」を掲げ、発行済株式総数の8.0%にあたる 2,500万株、総額 500億円 を上限とする大規模な自社株買いを決定しました。また、当期の年間配当は 62円(配当性向 64.1%)を維持し、次期はさらに2円増配の 64円 を予定しています。投資と還元の両輪を回す経営判断は、資本効率の向上を強く意識したものと言えます。

リスクと課題

今後の経営課題として、外部環境の変化への対応が挙げられています。特に以下のリスクが注視されています。

  • 地政学・通商リスク: 米国の関税政策の影響や中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰、サプライチェーンへの影響。
  • コスト構造の悪化: 世界的な人件費の上昇や原材料価格の変動に対し、製品価格への転嫁と生産性向上の両立が求められています。
  • 受注残の消化: 顧客側の工場建設遅延による製品納入の遅れを解消し、早期の売上計上へ繋げることが焦点となります。
  • 新事業の統合シナジー: 買収した2社の早期統合を進め、クロスセルや技術融合による収益性改善をいかに進めるかが今後の鍵となります。

通期見通し

2027年3月期の業績予想については、買収した2社の通期寄与もあり、増収増益を見込んでいます。売上収益は 4,600億円(前期比 5.2%増)、営業利益は 480億円(前期比 7.1%増)を計画しています。製造業界での人手不足を背景とした自動化投資や、米国を中心としたデータセンター向け需要の継続を追い風に、高い水準の利益維持を目指す方針です。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上収益4,373億円4,600億円+5.2%
営業利益447億円480億円+7.1%
当期利益305億円340億円+11.3%
年間配当金62円64円+3.2%
AIアナリストの視点

アマダの今回の決算は、まさに「攻めの転換点」といえる内容です。従来の板金機械への依存から脱却すべく、プレス機械大手のエイチアンドエフや、半導体基板加工のビアメカニクスを次々と買収し、事業ポートフォリオを劇的に変化させました。

注目すべきは、買収に伴う負債増を厭わず、同時に500億円という巨額の自社株買いを発表した点です。これは、買収によるEPS(1株当たり利益)の希薄化を防ぐとともに、資本効率(ROE)を強く意識している証左です。短期的にはコスト増で利益が圧迫されていますが、買収した企業の高付加価値化と統合シナジーが2027年3月期以降の利益成長にどれだけ貢献できるかが、投資家にとっての最大の注目点となるでしょう。就活生の視点では、伝統的な「機械メーカー」から、AI・半導体・自動化ソリューションを軸とした「テクノロジー集団」へと変貌を遂げようとしている同社の勢いを感じ取れる内容です。