ツガミ・2026年3月期、売上・利益ともに過去最高を更新——中国・インドが牽引、次期は98円へ増配予想
売上高
1,291億円
+20.2%
通期予想
1,450億円
営業利益
361億円
+54.9%
通期予想
365億円
純利益
167億円
+53.6%
通期予想
170億円
営業利益率
28.0%
工作機械大手のツガミが13日に発表した2026年3月期連結決算は、売上収益が前年比20.2%増の1,291億4,000万円、営業利益が同54.9%増の361億200万円となり、売上・利益ともに過去最高を更新しました。中国およびインド市場における需要を確実に取り込んだほか、主力の自動旋盤が好調に推移し、営業利益率は28.0%と極めて高い水準を記録しました。好調な業績を背景に、次期の年間配当は前期比13円増の98円を計画するなど、積極的な株主還元姿勢を強めています。
業績のポイント
2026年3月期の業績は、世界的な製造業の自動化ニーズを背景に、主力製品である自動旋盤の販売が大きく伸長しました。売上収益は1,291億4,000万円(前年比+20.2%)、営業利益は361億200万円(同+54.9%)と、主要な指標で既往最高の数値を叩き出しています。親会社の所有者に帰属する当期利益も167億4,500万円(同+53.6%)と大幅な増益を達成しました。
利益率の改善も顕著であり、売上総利益率は前期の33.8%から37.1%へと上昇しました。これは高付加価値な自動旋盤の比率が高まったことや、生産効率の向上が寄与した結果です。景気の不透明感が漂うなかでも、中国やインドといった成長市場でのシェアを維持・拡大したことが、業績を大きく押し上げる要因となりました。
業績推移(通期)
セグメント別動向
地域別では、最大市場である中国が全体の業績を牽引しました。中国セグメントの売上収益は1,110億3,900万円(前年比+22.7%)、セグメント利益は311億5,500万円(同+39.2%)と圧倒的な規模を誇ります。現地での自動化・省力化投資が継続しており、特に主力の自動旋盤が堅調に推移しました。
インド市場は、売上収益が68億4,800万円(前年比+46.6%)と急成長を遂げ、セグメント損益も前期の赤字から3億4,700万円の黒字浮上を果たしました。人口増と経済成長を背景とした製造業の集積が、同社にとっての「第二の成長エンジン」として明確に機能し始めています。
一方、日本国内は売上収益が277億400万円(前年比5.7%減)となりましたが、セグメント利益は23億2,800万円(同931.3%増)と大幅に改善しました。売上規模を追うだけでなく、不採算案件の精査や徹底したコスト管理が奏功し、収益体質が劇的に強化されています。
| セグメント | 売上収益 | 前年比 | 営業利益 | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 中国 | 1,110億3,900万円 | +22.7% | 311億5,500万円 | +39.2% |
| 日本 | 277億400万円 | △5.7% | 23億2,800万円 | +931.3% |
| インド | 68億4,800万円 | +46.6% | 3億4,700万円 | 黒字転換 |
| 韓国 | 13億1,700万円 | △17.3% | 0百万円 | △99.8% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 中国 | 1,110億円 | 86% | 312億円 | 28.1% |
| 日本 | 277億円 | 22% | 23億円 | 8.4% |
| インド | 68億円 | 5% | 3億円 | 5.1% |
財務状況と資本政策
財務基盤は、利益の蓄積と効率的なキャッシュフロー管理により一段と強化されています。営業活動によるキャッシュフローは286億200万円の収入となり、前期(88億5,500万円)から大幅に改善しました。これにより、現金及び現金同等物の期末残高は421億8,000万円(前期比+52.1%)に積み上がっています。
株主還元については、積極的な増配と自社株買いを並行して実施しています。2026年3月期の年間配当は前期から26円増額した85円としました。さらに、当期中に約20億円の自己株式取得を実施しており、親会社所有者帰属持分比率は前期の49.4%から52.0%へと上昇しました。資本効率を重視しつつ、成長投資と株主還元のバランスを最適化する経営判断が示されています。
通期見通し
2027年3月期についても、堅調な受注状況を背景に増収増益を見込んでいます。売上収益は1,450億円(前期比+12.3%)、営業利益は365億円(同+1.1%)を計画しています。中国の景気動向に注視が必要なものの、インドや東南アジアでの需要拡大が寄与する見通しです。
注目すべきは配当予想で、2027年3月期はさらに13円増配の年間98円を掲げました。配当性向は26.5%となる見込みで、安定的な利益成長を背景にした株主還元の継続を明示しています。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1,291億円 | 1,450億円 | +12.3% |
| 営業利益 | 361億円 | 365億円 | +1.1% |
| 当期利益 | 167億円 | 170億円 | +1.5% |
| 年間配当 | 85円 | 98円 | +15.3% |
リスクと課題
好業績の裏側で、同社はいくつかのリスク要因を挙げています。
- 中国市場への依存度: 売上の約8割を中国セグメント(連結内取引含む)が占めており、現地の景気減速や地政学リスクの影響を強く受けやすい構造にあります。
- 為替変動リスク: 決済通貨であるドル、人民元、ユーロ等の変動が利益を圧迫する可能性があります。
- 競争環境の激化: 国内外の工作機械メーカーとの技術開発競争が進んでおり、絶え間ないR&D投資が不可欠です。
ツガミの決算は、一言で言えば「中国市場での圧倒的な収益力と、インドという次なる柱の確立」に集約されます。
特筆すべきは営業利益率の高さ(28%)で、これは工作機械業界の中でも極めて高い水準です。日本国内の売上が減少しながらも利益が10倍近くに跳ね上がっている点は、不採算部門の整理やコスト構造の改革が一段落し、効率的な経営体制に移行したことを示唆しています。
懸念点は、やはり売上の大半を中国に依存している点ですが、今回インドセグメントが黒字化したことは、特定地域への依存リスクを軽減する上での大きなマイルストーンと言えます。
就活生の視点では、グローバル展開が加速しており、特にアジア圏での圧倒的なプレゼンスを持つ企業として魅力的に映るでしょう。投資家にとっては、増配予想(85円→98円)と自己株式取得の両面から、資本効率に対する経営陣の強いコミットメントが感じられる好決算といえます。
