スターツコーポレーション・2026年3月期通期、営業利益11.2%増の362億円——管理物件拡大と建設単価上昇が寄与、次期10円増配へ
売上高
2,519億円
+8.1%
通期予想
2,900億円
営業利益
363億円
+11.2%
通期予想
400億円
純利益
253億円
+4.3%
通期予想
260億円
営業利益率
14.4%
スターツコーポレーションが発表した2026年3月期(通期)の連結決算は、売上高が前期比 8.1%増 の 2,519億1,100万円、営業利益が同 11.2%増 の 362億7,200万円 と増収増益で着地しました。主力の不動産管理事業において管理戸数が着実に増加したほか、建設事業での販売価格改定や大型案件の進捗が収益を押し上げました。これに伴い、期末配当を前期から20円増の 140円 とし、次期はさらに10円増の 150円 を予定する 積極的な株主還元方針 を打ち出しています。
スターツコーポレーション 2026年3月期 通期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
当連結会計年度の業績は、国内の雇用環境改善やインバウンド需要の回復を追い風に、全般的に堅調な推移となりました。特に売上高は 2,519億1,100万円(前年比 +8.1%)に達し、グループが推進する「建設・仲介・管理」のワンストップサービスが奏功しています。
利益面でも、営業利益は 362億7,200万円(前年比 +11.2%)、経常利益は 382億4,400万円(前年比 +14.5%)と、 二桁増益 を達成しました。資材価格の高騰が続く厳しい環境下でしたが、建設事業における適切な価格転嫁と、安定収益源である不動産管理事業の規模拡大が、利益率の維持・向上に寄与しました。親会社株主に帰属する当期純利益についても、253億1,100万円(前年比 +4.3%)を確保しています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
全10セグメントのうち、中核となる建設・管理・売買の各事業が成長を牽引しました。特に「分譲不動産事業」は、投資法人やセキュリティ・トークン対象資産への譲渡が寄与し、大幅な増収と黒字転換を達成しています。
| セグメント | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) | 前年比(利益) |
|---|---|---|---|
| 建設事業 | 76,168 | 7,746 | +26.7% |
| 不動産管理事業 | 102,591 | 14,643 | +10.8% |
| 売買仲介事業 | 10,203 | 4,252 | +35.6% |
| 賃貸仲介事業 | 8,868 | 2,352 | △13.0% |
| ホテル・レジャー事業 | 16,392 | 2,571 | +18.7% |
建設事業は、木造大型工事の増加や資材高騰に対応した価格改定により、営業利益が前年比 26.7%増 と大きく伸長しました。主要都市での大型案件受注も順調で、期末の受注残高は 1,556億円(前年比 +9.2%)と高水準を維持しています。
不動産管理事業は、グループの安定収益基盤として機能しており、管理物件数は住宅・事務所・駐車場を合わせ 128万件超 に達しました。管理手数料の増加に加え、営繕工事(メンテナンス)の大型化が利益成長を支えています。
一方、出版事業はヒット作品の反動や製造原価の上昇により、営業利益 16億8,300万円(前年比 △34.9%)と苦戦しました。また、賃貸仲介事業も、人材育成への先行投資が響き、増収ながらも 13.0% の減益となりました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 建設事業 | 762億円 | 30% | 77億円 | 10.2% |
| 不動産管理事業 | 1,026億円 | 41% | 146億円 | 14.3% |
| 売買仲介事業 | 102億円 | 4% | 43億円 | 41.7% |
| ホテル・レジャー事業 | 164億円 | 7% | 26億円 | 15.7% |
財務状況と資本政策
2026年3月末時点の総資産は、前年末比 190億9,800万円増 の 3,527億4,600万円 となりました。販売用不動産や有形固定資産の積み増しが主な要因ですが、自己資本比率は 53.5%(前期は52.4%)に上昇しており、財務の健全性 は一段と高まっています。
資本政策においては、安定的な配当維持と業績連動の両面を重視しています。当期の年間配当は、前期比20円増の 140円(連結配当性向 26.6%)を決定しました。さらに、2027年3月期は業績のさらなる拡大を見込み、年間 150円 への増配を予定しています。有利子負債比率も 0.36倍 と低水準に抑えられており、成長投資と株主還元のバランスを両立させる経営判断が示されています。
通期見通し
2027年3月期の通期連結業績は、売上高 2,900億円(前期比 15.1%増)、営業利益 400億円(同 10.3%増)と、引き続き 増収増益 を見込んでいます。建設事業での受注残の着実な消化と、不動産管理における受託件数の拡大を継続する方針です。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2027年3月期予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,519億円 | 2,900億円 | +15.1% |
| 営業利益 | 362億円 | 400億円 | +10.3% |
| 純利益 | 253億円 | 260億円 | +2.7% |
次期は、特に「分譲不動産事業」において新築マンションの完成引渡を多く予定しており、同セグメントの売上高は前期比 230%増 の 233億円 に達する見通しです。一方で、原材料価格の長期高止まりや、金利環境の変化に伴う住宅ローン需要への影響を注視するとしています。
リスクと課題
会社側は今後の懸念事項として、主に以下のリスクを挙げています。
- 建築資材の調達リスク: 供給制約や価格上昇に伴う工期の長期化や追加コストの発生が、建設事業の採算性に影響を及ぼす可能性があります。
- 金利上昇の影響: 金利環境の変化は、住宅購入顧客の購買意欲や住宅ローン手数料収入にマイナスの影響を与えるほか、借入金利の上昇によりグループの財務負担が増加するリスクがあります。
- 人材確保とコスト増: サービス品質維持のための人材採用・育成費用や、食材費・光熱費の上昇が、ホテル事業や介護・保育事業の利益を圧迫する要因となります。
スターツコーポレーションの決算で特筆すべきは、建設から管理まで一気通貫で手がける「ストック型ビジネスモデル」の強固さです。特に不動産管理セグメントが全営業利益の約4割を稼ぎ出す構造は、景気変動に対する高い耐性を示しています。
注目ポイントは、従来の「貸す・売る」だけでなく、不動産セキュリティ・トークン(ST)などの先端的な金融手法を活用して資産を循環させている点です。これにより、分譲セグメントの利益率が改善し、新たな収益機会を創出しています。
一方で、出版事業の減益や賃貸仲介の利益率低下など、セグメントごとに明暗が分かれています。次期予想では分譲不動産の引き渡しが大きく寄与する計画ですが、金利上昇局面において「ピタットハウス」を中心とする仲介ネットワークがどこまで購買意欲を維持できるかが、中長期的な成長の焦点となるでしょう。
