しずおかフィナンシャルグループ・2026年3月期Q3、純利益32.7%増の696億円——金利上昇で利息収入拡大、増配と自社株買いも発表
売上高
3,040億円
+24.3%
営業利益
983億円
+32.3%
通期予想
1,270億円
純利益
697億円
+32.7%
通期予想
880億円
営業利益率
32.3%
しずおかフィナンシャルグループ(FG)は12日、2026年3月期第3四半期の連結純利益が前年同期比 32.7%増 の 696億94百万円 になったと発表した。日銀の政策修正に伴う金利上昇を背景に、主力の銀行業務において貸出金利息や有価証券利息配当金が大幅に増加したことが増益を牽引した。好調な進捗を踏まえ、通期純利益予想を 880億円 へと上方修正。あわせて年間配当の増額と、最大 100億円 の自己株式取得を公表するなど、積極的な還元姿勢で資本効率の向上を狙う。

業績のポイント
当第3四半期累計期間の連結業績は、経常収益が前年同期比 24.3%増 の 3,040億27百万円、経常利益が同 32.3%増 の 983億48百万円 となり、大幅な増収増益を達成した。利益面では、親会社株主に帰属する四半期純利益が 696億94百万円 に達し、通期の進捗率は修正後予想に対しても 79.2% と極めて順調な推移を見せている。
増益の最大の要因は、金利上昇局面を背景とした資金運用の収益性向上である。貸出金利息および有価証券利息配当金を中心とする資金運用収益が 1,867億59百万円(前年同期比+202億円)と大きく伸びたほか、政策保有株式の縮減に伴う株式等売却益の増加も利益を押し上げた。一方で、市場金利の上昇に伴い保有する国債等の債券売却損や営業経費も増加したが、本業の収益拡大がこれらを十分に吸収した形となっている。
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力である「銀行業」は、経常収益が前年同期比 27.8%増 の 2,706億41百万円、セグメント利益は同 35.3%増 の 928億93百万円 と、グループ全体の成長を力強く牽引した。静岡県内の公共投資の堅調さや設備投資需要を背景に、貸出金残高は前連結会計年度末比 3,919億円増 の 11兆647億円 と順調に積み上がっている。利鞘(リざや)の改善も進んでおり、地域経済の回復を収益に繋げている。
「リース業」については、経常収益が前年同期比 1.7%減 の 248億51百万円 と微減したものの、セグメント利益は同 13.2%増 の 13億80百万円 を確保した。売上規模は横ばい圏内だが、効率的な運営により利益率は改善傾向にある。その他のセグメント(国内金融商品取引業務やコンサルティング等)も合計で 612億86百万円 の利益を計上し、多角的な収益基盤が安定的に寄与している。
| セグメント | 経常収益 | セグメント利益 | 前年同期比(利益) |
|---|---|---|---|
| 銀行業 | 2,706億円 | 928億円 | +35.3% |
| リース業 | 248億円 | 13億円 | +13.2% |
| その他 | 114億円 | 612億円 | +50.9% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 銀行業 | 2,706億円 | 89% | 929億円 | 34.3% |
| リース業 | 249億円 | 8% | 14億円 | 5.6% |
財務状況と資本政策
連結総資産は、貸出金の順調な伸びを主因として前連結会計年度末比 1,634億円増 の 15兆8,783億円 となった。預金等(譲渡性預金含む)も 12兆2,313億円 と 3,172億円増加 しており、法人・個人ともに強固な預金基盤を維持している。自己資本比率は 7.9% と、前期末の 7.4% から上昇し、財務の健全性は一段と高まっている。
特筆すべきは、株主還元の積極的な強化である。通期業績の上方修正に伴い、期末配当予想を前回の35円から 41円 へ引き上げた。これにより年間配当は前期の60円から 80円 へと大幅な増配となる見通しだ。加えて、資本効率の向上と株主への利益還元を目的に、上限 500万株(発行済株式総数の0.93%)、取得総額 100億円 の自己株式取得を決定。2026年2月17日から3月24日にかけて実施する予定で、投資家にとってポジティブな材料となっている。
通期見通し
第3四半期までの好調な業績進捗と、足元の金利動向や資金運用状況を精査した結果、2026年3月期の通期連結業績予想を上方修正した。経常利益は前回予想から30億円積み増しの 1,270億円(前期比24.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億円増の 880億円(同17.9%増)を見込む。日銀による追加利上げへの期待が続く中、さらなる運用収益の拡大が期待されている。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 経常利益 | 1,240億円 | 1,270億円 | 1,020億円 |
| 当期純利益 | 860億円 | 880億円 | 746億円 |
| 1株当たり純利益 | 158.33円 | 163.09円 | 135.95円 |
リスクと課題
今後の懸念材料として、会社側は外部環境の変化に注視している。まず、金利上昇の副作用として、保有する有価証券(特に日本国債)の含み損拡大や売却損の発生リスクが挙げられる。また、静岡県経済は緩やかな回復基調にあるものの、物価上昇による個人消費の鈍化や、住宅投資の減少といった下押し圧力も散見される。米国の通称政策の影響が自動車産業等の地元企業に波及する可能性もあり、貸出先の業況変化に応じた適切な与信管理が求められる局面にある。
しずおかFGの決算は、地銀セクターの中でも「金利上昇を味方につける勝ちパターン」を鮮明に示した内容です。
- 収益構造の転換: 長らく続いた低金利時代が終わり、貸出利息がダイレクトに利益を押し上げるフェーズに突入しています。貸出金が11兆円を超える規模で伸びている点は、地域経済との密着度の高さと営業力の強さの証左でしょう。
- 資本政策の機敏さ: 業績修正と同時に「増配+自社株買い」という、投資家が最も好むセットを提示した点は評価できます。特に自己資本比率を維持しながらも、ROE(自己資本利益率)向上に向けた株主還元を厭わない姿勢は、就活生にとっても「経営感覚の鋭い企業」として魅力的に映るはずです。
- 今後の焦点: 唯一の懸念は、有価証券ポートフォリオの入れ替えに伴う債券売却損のコントロールです。金利上昇のメリットを最大化しつつ、保有資産の劣化をどう防ぐか、経営陣の手腕が問われます。
