SCREEN・2026年3月期Q3、営業利益23%減の774億円——半導体事業が苦戦もディスプレイ事業は大幅増益
売上高
4,254億円
-7.5%
通期予想
6,210億円
営業利益
774億円
-23.0%
通期予想
1,170億円
純利益
549億円
-21.0%
通期予想
880億円
営業利益率
18.2%
売上高は前年比 7.5%減 の 4,253億円 、営業利益は 23.0%減 の 774億円 となりました。主力である 半導体製造装置事業 において、ロジック向けなどの装置売上が減少したことが主な要因です。一方で、OLED向けの ディスプレイ事業 は大幅な増収増益を達成し、一部の不調を補いました。
業績のポイント
全体の売上高は前年同期を 7.5% 下回りました。
営業利益は前年比 23.0%減 の 774億円 です。
主な要因は以下の通りです。
- 主力の半導体装置で、先端ロジック向けの販売が減ったこと
- 人件費や研究開発費などの 固定費が増えた こと
- 米国の対中輸出規制や関税の影響を受けたこと
一方で、サービスなどの ポストセールス は好調を維持しています。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 半導体製造装置(SPE): 売上 3,386億円 (前年比 11.8%減 )。台湾向けは増えましたが、中国・米国向けが減少しました。ロジック向け装置の出荷が伸び悩んだことが響いています。
- グラフィックアーツ(GA): 売上 395億円 (前年比 1.3%増 )。インク販売は伸びましたが、米国での 関税コスト が利益を 41.0% 押し下げました。
- ディスプレイ・成膜(FT): 売上 358億円 (前年比 44.5%増 )。スマホ向けのOLED設備が好調でした。利益は前年の 5.3倍 となる 73億円 へ急拡大しました。
- プリント基板(PE): 売上 89億円 (前年比 7.3%減 )。サーバー向けの投資が弱く、 5億円の赤字 に転落しました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体製造装置(SPE) | 3,387億円 | 80% | 783億円 | 23.1% |
| グラフィックアーツ(GA) | 395億円 | 9% | 19億円 | 4.9% |
| ディスプレイ・成膜(FT) | 359億円 | 8% | 73億円 | 20.4% |
| プリント基板(PE) | 89億円 | 2% | -527百万円 | — |
財務状況と資本政策
自己資本比率は 65.4% と、前期末から 2.7ポイント 上がりました。
株主還元については、以下の積極的な施策を打ち出しています。
- 110億円 の自社株買いをこの期間に実施しました。
- 1株を2株にする株式分割 を2026年4月に実施すると決めました。
- 年間配当は1株当たり 280円 を予定しています。
リスクと課題
- 地政学リスク: 米国の通商政策による中国向け輸出のさらなる制限。
- 需要の偏り: 生成AI向け投資は活発ですが、一般向けPC・スマホの回復が遅れています。
- コスト上昇: 部材費や物流費のほか、優秀な技術者の確保に伴う人件費の増加。
通期見通しと戦略
2026年3月期通期の業績予想は据え置いています。
- 売上高: 6,210億円 (前期比 0.7%減 )
- 営業利益: 1170億円 (前期比 13.8%減 )
現在は 生成AIの普及 を背景にした「先端パッケージング」技術への投資を強化しています。次世代半導体の開発競争が加速しており、来期以降の回復に向けた 研究開発投資 を緩めない方針です。
今回の決算は、世界的な半導体需要の「踊り場」を象徴する内容となりました。特に、これまで業績を牽引してきた中国市場での失速が数字に表れています。しかし、ネガティブな話ばかりではありません。
注目すべきは、ディスプレイ事業(FT)が劇的な復活を遂げている点です。前期の赤字寸前から一転、利益の柱の一つに成長しており、特定事業への依存リスクを軽減しています。
また、業績が厳しい局面でも 110億円の自社株買い や 株式分割 を実行する姿勢は、投資家から見て評価が高いポイントです。就活生にとっては、足元の景気に左右されず、次世代の「チップレット」などの先端技術に巨額の投資を続ける「技術への執着」が同社の強みであると理解すべきでしょう。
