ローツェ株式会社 の会社詳細
ローツェ株式会社
ローツェ
2026年2月期 通期

ローツェ・2026年2月期通期、売上高は過去最高更新も訴訟損失で純利益19%減——次期はAI需要で大幅増益を予想

ローツェ
半導体製造装置
過去最高売上
訴訟損失
特許訴訟
AI関連需要
増配
ベトナム投資
自己株買い
上方修正期待
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1,288億円

+3.5%

通期予想

1,590億円

進捗率81%

営業利益

312億円

-2.7%

通期予想

381億円

進捗率82%

純利益

190億円

-19.4%

通期予想

278億円

進捗率68%

営業利益率

24.2%

半導体搬送装置大手のローツェが9日に発表した2026年2月期通期決算は、売上高が前期比 3.5%増128,794百万円 となり過去最高を更新しました。しかし、利益面では前期に買収した子会社ののれん償却費増に加え、米国での特許訴訟に伴う訴訟損失引当金7,429百万円を特別損失に計上したことが響き、当期純利益は 19.4%減19,048百万円 に沈みました。足元では台湾などの先端半導体投資が堅調で、次期はAI関連需要を背景に売上・利益ともに2割超の成長を見込んでいます。

トーク

ローツェ 2026年2月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

当期の日本経済は緩やかな回復基調にありましたが、半導体業界では生成AIの普及を背景に、データセンター向け高性能デバイスへの投資が非常に活発でした。ローツェはこの旺盛な需要を捉え、特に台湾顧客向けの搬送装置が大きく伸びたことで、売上高は 128,794百万円(前年比 +3.5%)と過去最高の水準を達成しました。

一方で、収益性には複数の押し下げ要因が重なりました。営業利益は 31,154百万円(前年比 -2.7%)に留まり、主な要因として前期に連結化した海外子会社ののれん償却負担や、販管費の増加が挙げられます。さらに、米国での特許権侵害訴訟において、原告の主張を認める暫定的な評決が下されたことを受け、将来の損失に備えた訴訟損失引当金7,429百万円を特別損失として計上しました。これにより、最終的な純利益は 19,048百万円(前年比 -19.4%)と、増収ながらも大幅な減益決算となりました。

項目2025年2月期実績2026年2月期実績前年同期比
売上高124,406百万円128,794百万円+3.5%
営業利益32,024百万円31,154百万円-2.7%
経常利益35,454百万円32,621百万円-8.0%
当期純利益23,634百万円19,048百万円-19.4%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力の半導体・FPD関連装置事業は、売上高 127,593百万円(前年比 +3.5%)、セグメント利益 32,003百万円(前年比 -2.9%)となりました。台湾の主要顧客による先端ロジックやメモリ分野への設備投資が堅調に推移したほか、デバイス構造の複雑化に伴うアドバンスドパッケージ分野での需要も活発でした。利益面では売上構成の変化やのれん償却の影響を僅かに受けたものの、営業利益率 25.1% という極めて高い水準を維持しています。

ライフサイエンス事業は、売上高 1,201百万円(前年比 +11.8%)と増収を確保した一方、セグメント利益は 13百万円(前年比 -89.1%)と苦戦しました。創薬業界向けの細胞培養装置などの開発・製造を行っていますが、現段階では先行投資の段階にあり、本格的な収益貢献には至っていません。

地域別の売上高では、中国が 35,767百万円 と最大で、次いで米国 32,874百万円、台湾 31,845百万円 となっています。米中の貿易摩擦リスクを抱えつつも、主要な半導体生産拠点すべてにおいてバランスよく収益を上げているのが特徴です。

セグメント売上高前年比利益利益率
半導体・FPD関連127,593+3.5%32,00325.1%
ライフサイエンス1,201+11.8%131.1%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
半導体・FPD関連装置事業1,276億円99%320億円25.1%
ライフサイエンス事業12億円1%13百万円1.1%

財務状況と資本政策

当期末の総資産は前期末比 9,563百万円 増の 197,302百万円 となりました。現金及び預金が 74,341百万円 と潤沢に積み上がっており、自己資本比率は前期の 62.8% から 66.0% へとさらに向上し、極めて健全な財務体質を維持しています。負債面では、訴訟損失引当金の計上(+7,429百万円)があったものの、長期借入金の返済(-8,128百万円)を進めたことで、負債合計は微減しています。

株主還元については、安定的な配当維持を基本方針としています。当期の年間配当は前期据え置きの 17円 としましたが、次期(2027年2月期)については業績拡大を見込み、3円増配の 20円 を予定しています。また、機動的な資本政策として当期に 4,999百万円 の自己株買いを実施しており、資本効率の向上にも注力しています。

キャッシュフローについては、営業活動により 31,191百万円 の収入を得た一方、有形固定資産の取得に 4,089百万円 を投じるなど、成長に向けた投資を継続しています。特にベトナム子会社での生産キャパシティ拡張を重要視しており、将来の需要増に向けた供給体制の構築を急いでいます。

通期見通しと戦略トピック

2027年2月期の連結業績予想は、売上高・利益ともに過去最高を大幅に塗り替える強気な内容です。売上高は前期比 23.5%増159,021百万円、営業利益は 22.3%増38,112百万円、純利益は前期の特損の反動もあり 46.0%増27,809百万円 を見込んでいます。

成長を牽引するのは、引き続きAIサーバー向けの先端半導体投資です。同社は需要拡大に対応するため、ベトナム子会社(RORZE ROBOTECH)での新工場建設を決定しました。すでに用地取得は完了しており、2028年春頃の稼働開始を目指しています。また、開発体制を強化し、AIを駆使した設計手法や自動化技術の導入による短納期化と品質向上を図る方針です。為替レートは1ドル=159円を前提としています。

項目2026年2月期実績2027年2月期予想増減率
売上高128,794百万円159,021百万円+23.5%
営業利益31,154百万円38,112百万円+22.3%
純利益19,048百万円27,809百万円+46.0%

リスクと課題

経営上の最大のリスクは、現在進行中の特許侵害訴訟の行方です。米国での暫定評決に基づき引当金を計上しましたが、同社は今後も法的手段を尽くして見直しを求める方針であり、最終的な支払額や決着時期には不透明さが残ります。

その他の主な課題は以下の通りです:

  • 地政学リスク: 米中対立や中東情勢の悪化に伴う、エネルギー価格上昇やサプライチェーンの混乱リスク。
  • 部品調達の安定化: 需要急増に伴う半導体部品などの先行手配と、適切な在庫管理の徹底。
  • 為替変動: 海外売上比率が高いため、急激な円高に振れた場合の収益目減り懸念。
AIアナリストの視点

ローツェの決算は、表面上の「純利益2割減」という数字以上に、中長期的な成長性が際立つ内容です。特筆すべきは、特許訴訟という一時的な巨額損失を出しながらも、自己資本比率を高め、さらに次期に過去最高益を見込む強気姿勢を崩していない点です。

  • 強み: 台湾の先端ロジック(TSMC等)との強固な関係と、搬送装置における圧倒的な技術力。25%を超える高い営業利益率は、同社の製品が「代えの利かない」ものである証左です。
  • 懸念点: 訴訟問題は暫定評決であり、今後の控訴の結果次第では追加の負担や長期化のリスクがあります。また、中国向け売上比率も高いため、米国の輸出規制の行方には常に注意が必要です。
  • 注目点: ベトナムへの新工場投資です。これは生産能力の増強だけでなく、中国への依存度を相対的に下げ、コスト競争力を高める戦略的な一手と言えます。就活生にとっては、生成AIというメガトレンドの最前線で、グローバルに活躍できるエクセレント・カンパニーとしての魅力がさらに増した決算と言えるでしょう。