ネクステージ・2025年11月期通期、営業利益51%増の195億円——積極出店で市場逆風を跳ね返し大幅増益
売上高
6,521億円
+18.0%
通期予想
6,840億円
営業利益
196億円
+51.4%
通期予想
240億円
純利益
128億円
+60.0%
通期予想
150億円
営業利益率
3.0%
中古車販売大手のネクステージが5日に発表した2025年11月期決算は、売上高が前期比 18.0%増 の 6,520億円、営業利益が同 51.4%増 の 195億円 と大幅な増収増益となった。国内の中古車登録台数が前年を割り込む厳しい市場環境下で、同社はドミナント戦略に基づく積極的な新規出店と既存店の収益性改善を強力に推進した。好調な業績を背景に、期末配当は前回予想から増額し、前期比 12円増 の 45円 とすることを決定。次期も連続増配を見込むなど、成長と還元の両立を鮮明にしている。
業績のポイント
2025年11月期の連結業績は、売上高 652,072百万円(前年同期比 18.0%増)、営業利益 19,597百万円(同 51.4%増)、純利益 12,811百万円(同 60.0%増)と、主要な利益項目ですべて大幅な伸びを記録した。中古車業界全体では、同期間の国内登録台数が前年同期比 99.3% と足踏み状態にあるが、同社は積極的な拠点の拡充によって市場シェアを確実に奪取している。
増益の背景には、出店による規模の拡大だけでなく、「生涯取引の拡大」を掲げたストック型ビジネスへの転換がある。車両販売後の車検、メンテナンス、買取といった付帯サービスの利用率が向上したことで、1台あたりの収益性が高まった。また、不採算店舗の管理強化や業務効率化の徹底も利益率の改善に寄与しており、売上高営業利益率は前期の 2.3% から 3.0% へと大きく改善している。
業績推移(通期)
セグメント別動向
同社は自動車販売及び附帯業務の単一セグメントであるが、地域別の販売実績から成長の源泉が読み取れる。特に主力の「関東甲信越地方」および「東海北陸地方」が全体の成長を強力に牽引した。関東甲信越地方では、売上高が前期比 17.2%増 の 1,812億円 となり、拠点数も前期から6拠点増の 68拠点 へと拡大している。
「東海北陸地方」も好調で、売上高は前期比 22.1%増 の 1,951億円 に達した。地域密着型のドミナント出店を加速させたことで、物流効率の向上やブランド認知度の浸透が進み、販売台数の増加に繋がっている。一方、拠点数が減少した「関西地方」においても、拠点集約による効率化が奏功し、売上高は同 7.7%増 の 782億円 と増収を確保した。期末時点の総拠点数は 242拠点(353店舗) となり、前期末の231拠点から確実にネットワークを広げている。
| 地域別実績 | 前期売上高 | 当期売上高 | 前年同期比 | 当期拠点数 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道東北 | 72,371 | 79,724 | +10.2% | 32 |
| 関東甲信越 | 154,579 | 181,234 | +17.2% | 68 |
| 東海北陸 | 159,804 | 195,170 | +22.1% | 73 |
| 関西 | 72,630 | 78,219 | +7.7% | 29 |
| 中国四国 | 35,248 | 42,400 | +20.3% | 17 |
| 九州沖縄 | 58,143 | 75,323 | +29.5% | 23 |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 自動車販売及び附帯業務 | 6,521億円 | 100% | 196億円 | 3.0% |
財務状況と資本政策
当連結会計年度末の総資産は 226,777百万円 となり、前期末に比べ 45億円 増加した。新規出店に伴い「商品(在庫)」が 126億円 増加した一方で、手元流動性は 180億円 減少の 176億円 となっている。これは営業キャッシュ・フローで得た資金に加え、有利子負債の返済を進めた結果であり、自己資本比率は前期の 32.7% から 34.9% へと改善し、財務の健全性は高まっている。
資本政策においては、株主還元の大幅な強化が目を引く。2025年11月期の配当は、業績の進捗を踏まえて期末配当を 45円 とした。これにより配当性向は 27.8% となり、純資産配当率(DOE)は 4.7% にまで上昇している。会社側は「経営基盤の強化と財務体質の健全性を勘案しつつ、安定かつ継続的な配当を実施する」方針を掲げており、次期についても増配を予定している点は投資家にとってポジティブな材料と言える。
通期見通し
2026年11月期の連結業績予想について、売上高は前期比 4.9%増 の 6,840億円、営業利益は同 22.5%増 の 240億円 と、引き続き増収増益を見込んでいる。出店ペースを維持しつつ、在庫回転率の向上と付帯サービスの深耕によって、営業利益率はさらに 3.5% まで高まる計画だ。中古車相場の変動リスクは依然として存在するが、小売チャネルの多様化と適正な値付け管理によって影響を最小限に抑える方針である。
| 項目 | 2025年11月期実績 | 2026年11月期予想 | 前期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 652,072 | 684,000 | +4.9% |
| 営業利益 | 19,597 | 24,000 | +22.5% |
| 親会社株主純利益 | 12,811 | 15,000 | +17.1% |
| 1株当たり配当金 | 45.00円 | 50.00円 | +11.1% |
リスクと課題
好調な業績の一方で、同社は持続的成長に向けた複数の課題を挙げている。第一に、「整備士不足」への対応である。自動車整備業の市場規模が拡大する中で、有資格者の確保が難しくなっており、同社は自社養成や整備士学校への支援を通じて人材パイプラインの強化を急いでいる。
第二に、外部環境の変化に伴う在庫リスクの管理だ。米国の通称政策や国内の消費動向により、中古車価格が急激に変動する可能性がある。これに対し、同社はITを活用して入庫から納車までのリードタイムを可視化し、商品回転日数を重要指標として適正な在庫評価を行うことで、損失リスクの低減を図っている。また、ガバナンス体制の強化についても、現場への権限移譲とコンプライアンス意識の底上げを並行して進めるとしている。
ネクステージの決算は、中古車市場全体が停滞する中で「一人勝ち」とも言える強さを見せました。特筆すべきは営業利益率の向上で、単なる薄利多売から、メンテナンスや買取などの附帯サービスで利益を稼ぐ高収益モデルへの転換が着実に進んでいることが伺えます。
- 強み: 圧倒的な出店スピードと、地域ごとのドミナント形成による物流・販促の効率化。
- 懸念点: 依然として高い「商品(在庫)」の積み増し。相場の下落局面での管理能力が試される。
- 注目ポイント: 配当性向を維持しつつ増配を続ける姿勢は、市場からの信頼回復に大きく寄与するでしょう。
就活生にとっては、IT活用や人材開発に巨額の投資を行っている点が魅力です。特に「店舗への権限移譲」を明文化しており、現場の裁量が大きい社風が推察されます。成長業界で実力を試したい学生には注目すべき一社です。
