三菱マテリアル・2026年3月期Q3、経常利益7.6%増の611億円——海外買収で「加工」が成長、金属事業の苦戦を補う
売上高
1.3兆円
-13.4%
通期予想
1.8兆円
営業利益
274億円
-15.2%
通期予想
470億円
純利益
364億円
-26.0%
通期予想
200億円
営業利益率
2.1%
売上高は前年同期比で 13.4%減 の 1兆2,844億円 でした。海外企業の買収により「加工事業」が大きく成長した一方、主力の金属事業は原料安の影響で苦戦しました。経常利益は受取配当金の増加もあり、前年同期を 7.6% 上回っています。
業績のポイント
売上高は 1兆2,844億円 (前年同期比 13.4%減 )となりました。
営業利益は 273億円 (同 15.2%減 )に留まりました。
経常利益は、鉱山からの受取配当金が増えたため 611億円 (同 7.6%増 )を確保しています。
純利益は、前年にあった特別な利益がなくなったことで 363億円 (同 26.0%減 )でした。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 金属事業:売上高 8,548億円 ( 21.9%減 )。銅や金の価格は上がりましたが、原料を処理する手数料(買鉱条件)が悪化したことが響き、利益が大きく減りました。
- 高機能製品:売上高 4,143億円 ( 7.5%増 )。銅加工製品の販売量が増え、銅の価格上昇もプラスに働きました。
- 加工事業:売上高 1,656億円 ( 49.3%増 )。2024年にドイツのエイチ・シー・スタルク社を買収した効果で、売上と利益が大きく伸びました。
- 再生可能エネルギー:売上高 42億円 ( 33.6%減 )。落雷により安比地熱発電所が止まった影響で、赤字となりました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 金属事業 | 8,548億円 | 50% | 347億円 | 4.1% |
| 高機能製品 | 4,143億円 | 31% | 94億円 | 2.3% |
| 加工事業 | 1,657億円 | 13% | 91億円 | 5.5% |
財務状況と資本政策
総資産は 2兆9,292億円 と、前期末に比べて 5,498億円 大幅に増えました。
これは、金地金の貸付けや在庫が増えたことが主な理由です。
自己資本比率は 24.5% となり、前期末の 28.5% から低下しました。
年間の配当金は 100円 を予定しており、前年と同じ額を維持する方針です。
リスクと課題
- 銅の原料を安く仕入れるための買鉱条件(TC/RC)の悪化が利益を圧迫しています。
- 半導体関連の需要回復が、AI向け以外では緩やかなペースに留まっています。
- 設備投資や買収により、有利子負債が増加傾向にあります。
通期見通し
通期の業績予想を修正しました。
売上高は従来の予想を下回り、前期比 10.3%減 の 1兆7,600億円 となる見込みです。
一方で営業利益は、加工事業の成長などにより前期比 26.6%増 の 470億円 を見込んでいます。
純利益は前年の反動で 200億円 (同 41.3%減 )となる予想です。
今回の決算は、三菱マテリアルが目指す「資源依存からの脱却」の過渡期を象徴しています。
主力の金属事業は、買鉱条件(TC/RC)という外部環境に振り回され大幅な減益となりました。これは金属セクター共通の課題ですが、同社の収益基盤の脆さも示しています。
一方で、ドイツのエイチ・シー・スタルク社の連結化により「加工事業」の利益が急拡大した点は評価できます。高付加価値な製品で稼ぐ構造へのポートフォリオ転換が着実に進んでいます。
就活生の視点では、単なる素材メーカーではなく、高度な技術を持つ「加工メーカー」としての側面が強まっている点に注目すると、同社の将来像が捉えやすいでしょう。
