メルカリ・2026年6月期Q2、営業利益73%増の197億円——US事業が黒字転換、国内フィンテックも利益貢献
売上高
1,063億円
+12.8%
通期予想
2,200億円
営業利益
198億円
+73.3%
純利益
106億円
+43.4%
営業利益率
18.6%
株式会社メルカリが発表した2026年6月期中間決算(2025年7月〜12月)は、売上収益が前年同期比 12.8%増 の 1,062億5,500万円 、営業利益が同 73.3%増 の 197億7,900万円 と大幅な増収増益となった。国内での「メルカード」普及に伴うフィンテック事業の急成長に加え、長年の課題であった 米国(US)事業がセグメント黒字に転換 したことが利益を大きく押し上げた。同社は好調な進捗を受け、通期の業績予想を上方修正している。

業績のポイント
メルカリの2026年6月期中間連結業績は、主力事業の堅調な成長と収益性の改善が際立つ結果となった。売上収益は 1,062億5,500万円 (前年同期比 +12.8% )に達し、親会社の所有者に帰属する中間利益は 105億8,600万円 (同 +43.4% )と大幅に伸びた。特に、一時的な損益を除いた経営指標であるコア営業利益は 202億3,300万円 (同 +80.9% )と、利益成長のスピードが加速している。
この躍進の背景には、国内事業における「モノと金」の循環が深まったことがある。フリマアプリ「メルカリ」での売買に加え、クレジットカード「メルカード」を軸とした決済・与信事業が相乗効果を生み、ユーザー1人あたりの収益性が向上 した。また、コスト面ではマーケティング投資の精査と、AIを活用した与信コントロールの強化が功を奏し、高成長と高収益を両立するフェーズへと移行している。
業績推移(通期)
セグメント別動向
国内事業を統括する「Japan Business」は、売上収益 832億2,900万円 (前年同期比 +14.2% )、セグメント利益 232億1,600万円 (同 +40.0% )と圧倒的な稼ぎ頭となっている。マーケットプレイスでは、12月の大型キャンペーン「超メルカリ市」が奏功し、流通取引総額(GMV)は同 8.3%増 の 5,994億円 と堅調に推移した。さらに、フィンテック事業では「メルカード」の会員獲得が順調に進み、債権残高は同 41.0%増 の 3,007億円 に拡大したが、独自のAI与信により回収率は 99.3% と極めて高い水準を維持している。
特筆すべきは「US(米国)」事業の復活である。売上収益は 197億5,100万円 (前年同期比 +6.2% )となり、セグメント利益は 8億7,300万円 (前年同期は 13億6,800万円の損失 )と 悲願の黒字化を達成 した。米国市場ではインフレ下での節約志向を背景に、ホリデーシーズンのプロモーションや特定カテゴリーへの集中投資が実を結んだ。徹底した投資規律の遵守により、赤字を垂れ流す構造から自律的な成長が可能な体質へと変貌を遂げている。
| セグメント | 売上収益 | 前年同期比 | セグメント利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| Japan Business | 83,229 | +14.2% | 23,216 | +40.0% |
| US | 19,751 | +6.2% | 873 | 黒字転換 |
| その他 | 3,251 | +20.1% | △11 | - |
※単位:百万円
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Japan Business | 832億円 | 78% | 232億円 | 27.9% |
| US | 198億円 | 19% | 9億円 | 4.4% |
財務状況と資本政策
総資産は、前連結会計年度末から 713億7,300万円 増加し、 6,151億3,600万円 となった。主な要因は、フィンテック事業の拡大に伴う「営業債権及びその他の債権」が 549億1,200万円 増加したことである。これに対応するため、短期借入金や社債などの流動負債も増加しているが、現金及び現金同等物は 1,590億5,100万円 を確保しており、事業拡大に向けた資金繰りは安定している。
資本面では、親会社の所有者に帰属する持分が 1,108億8,900万円 に増加し、自己資本比率は 18.0% となった。配当については、引き続き 「内部留保の充実と成長投資の優先」 を掲げており、現時点での配当実施は見送っている。稼いだキャッシュを、越境取引(クロスボーダー)の強化やAI技術への投資、新規事業の育成へ再投資することで、企業価値の最大化を目指す方針に揺らぎはない。
通期見通し
同社は、中間期までの好調な業績を反映し、2026年6月期の通期連結業績予想を上方修正した。売上収益は最大 2,200億円 (前期比 14.2%増 )、コア営業利益は最大 360億円 (同 30.6%増 )を見込む。下期についても、国内でのシェア拡大と米国事業の利益維持に注力する構えだ。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 2,100~2,200 | 2,100~2,200 | 192,621 |
| コア営業利益 | 32,000~36,000 | 32,000~36,000 | 27,562 |
※単位:億円。前回予想からレンジを維持・精査し、達成に強い自信を見せている。
リスクと課題
今後の注目点とリスク要因は、以下の3点に集約される。
- 米国市場の競争環境: 黒字化したとはいえ、米国の景気動向や競合プラットフォームとのシェア争いは激しく、継続的な利益成長にはさらなるプロダクトの磨き込みが不可欠である。
- フィンテックの与信リスク: 債権残高の拡大に伴い、景気後退局面における貸倒損失の増加リスクが伴う。独自のAIアルゴリズムの精度維持が生命線となる。
- 新規事業の立ち上げ: 「メルカリ ハロ(お仕事紹介)」などの新領域への投資が、どの程度のスピードで利益に貢献し始めるかが、次なる成長フェーズの鍵を握る。
今回の決算で最も評価すべきは、長らく「投資フェーズ」として利益の重荷だったUS事業が、しっかりと利益を出せる構造に転換した点です。単なる規模の拡大から、「収益性を伴う成長」への転換を鮮明に打ち出しました。
また、ソフトウェア資産の計上基準の見直しなど、会計面でもより一般的なIT企業の基準に合わせる動きを見せており、財務の透明性と安定性が向上しています。
今後は、国内で積み上げた与信データを活用した金融サービスがどこまで伸びるか、そして米国での黒字幅をどれだけ積み上げられるかが、株価および企業評価の分水嶺になるでしょう。就活生にとっても、単なるC2Cアプリから、高度な金融・AIテクノロジー企業へと進化している姿は魅力的に映るはずです。
