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株式会社ディー・エヌ・エー の会社詳細
株式会社ディー・エヌ・エー
ディー・エヌ・エー
2026年3月期 通期

ディー・エヌ・エー・2026年3月期、営業利益35.5%減の186億円――ゲーム事業の反動減をライブ配信の黒字化が補う

ディー・エヌ・エー
2432
減収減益
ライブ配信黒字化
横浜DeNAベイスターズ
減損損失
株主還元
増配
自己株買い
IT業界
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1,477億円

-9.9%

通期予想

1,540億円

進捗率96%

営業利益

187億円

-35.5%

通期予想

150億円

進捗率125%

純利益

190億円

-21.3%

営業利益率

12.7%

ディー・エヌ・エー(DeNA)が発表した2026年3月期連結決算は、売上収益が前年比9.9%減1,477億円、営業利益が同35.5%減186億円と大幅な減益となりました。主力タイトルの初速反動によるゲーム事業の苦戦に加え、ヘルスケア事業での減損損失の計上が利益を押し下げました。一方で、ライブストリーミング事業が黒字転換を果たすなど、収益構造の多角化に向けた進展も見られます。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、売上・利益ともに前年を下回る厳しい着地となりました。売上収益は1,477億円(前年比9.9%減)、営業利益は186億円(同35.5%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は190億円(同21.3%減)を記録しました。

利益面での大きな下押し要因となったのは、その他の費用として計上された99億1,200万円(前年同期は43億8,900万円)の減損損失です。特にヘルスケア・メディカル領域において、将来のキャッシュ・フロー予測を見直した結果、のれんの減損処理を迫られたことが響きました。

一方で、コスト管理の徹底により販売費及び一般管理費は516億9,100万円(同14.1%減)と抑制されています。持分法による投資利益が88億1,400万円(同281.7%増)と大幅に拡大し、Cygames等の関連会社の好調が最終利益の下支えとなりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力事業の明暗が分かれる結果となりました。ゲーム事業は、2024年秋に投入した『Pokémon Trading Card Game Pocket』の初動の勢いが一服した反動もあり、売上収益は643億円(前年比17.6%減)、セグメント利益は296億円(同23.1%減)と振るいませんでした。

特筆すべきはライブストリーミング事業の改善です。売上収益は397億円(前年比1.9%減)と微減ながら、前年の赤字から39億円のセグメント利益を計上し、黒字転換を達成しました。主力アプリ「Pococha」において、従来の広告宣伝費を抑え、収益性を重視した運営に舵を切った判断が功を奏しています。

スポーツ・スマートシティ事業は、横浜DeNAベイスターズが史上最多の観客動員数を更新したことで、売上収益は327億円(前年比4.5%増)と伸長しました。新施設「BASEGATE横浜関内」の開業に向けた先行費用が発生しましたが、セグメント利益は17億円を確保し、強固なファン基盤を証明しています。

セグメント名売上収益前年比セグメント利益前年比
ゲーム64,356△17.6%29,656△23.1%
ライブストリーミング39,790△1.9%3,984黒字転換
スポーツ・スマートシティ32,751+4.5%1,795△2.8%
ヘルスケア・メディカル8,725△19.0%△2,329赤字縮小
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ゲーム644億円44%297億円46.1%
ライブストリーミング398億円27%40億円10.0%
スポーツ・スマートシティ328億円22%18億円5.5%

財務状況と資本政策

財務面では、積極的な株主還元と負債の圧縮が目立ちました。期末の資産合計は3,332億円となり、前年末から609億円減少しています。これは、長期借入金の返済(287億円)や、約106億円を投じた自社株買いの実施によるものです。

キャッシュ・フローの状況では、営業活動から334億円の収入を得る一方、財務活動で580億円を支出しました。自己資本比率は前年末の61.3%から69.8%へと上昇しており、財務の健全性は一段と高まっています。

配当については、前期比1円増配となる年66円(配当性向38.5%)を決定しました。同社はDOE(親会社所有者帰属持分配当率)3%を目安とした継続的な還元を掲げており、業績の変動にかかわらず安定した配当を維持する方針を改めて示しました。

リスクと課題

今後の成長における最大の懸念点は、収益の柱であるゲーム事業のボラティリティ(変動性)です。ヒットタイトルの動向が業績を大きく左右する構造からの脱却が急務となっています。

  • AI技術への対応: インターネット・AI業界の変化が激しく、新技術への対応が遅れた場合に競争力が低下するリスクがあります。
  • プラットフォーム環境の変化: OS提供事業者(Apple/Google)による条件・ルールの変更が、ゲームやライブ配信事業の収益性に直接的な影響を与える可能性があります。
  • ヘルスケアの黒字化: 減損を計上したヘルスケア事業において、データ利活用を軸とした収益モデルを早期に確立できるかが焦点です。

通期見通し

2027年3月期の業績予想は、増収減益を見込んでいます。売上収益は前期比4.3%増1,540億円を計画する一方、将来成長に向けた投資を加速させるため、営業利益は同19.8%減150億円にとどまる見通しです。

項目2026年3月実績2027年3月予想変化率
売上収益1,477億円1,540億円+4.3%
営業利益186億円150億円△19.8%
営業利益(Non-GAAP)281億円150億円△46.7%
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、DeNAが長年取り組んできた「脱・ゲーム依存」の構造改革が、利益ベースで実を結びつつある点です。営業利益こそ減少していますが、ライブ配信事業の黒字化は極めてポジティブな変化であり、エンタメ領域の多様化が進んでいます。

一方で、ヘルスケア事業における大規模な減損計上は、過去の買収案件が期待通りの収益を生んでいない現実を突きつけています。2027年3月期を「成長に向けた投資の年」と位置づけ、あえて減益予想を出したことは、次なる成長の種を仕込むための経営判断といえます。

就活生にとっては、ゲーム以外の多角的な事業展開(スポーツ、AI、ライブ配信)に強みがある点、投資家にとっては、利益が落ち込む局面でもDOE基準で配当を維持する株主重視の姿勢が評価のポイントになるでしょう。