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株式会社サイバーエージェント の会社詳細
株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェント
2026年9月期 第2四半期(中間期)

サイバーエージェント・2026年9月期中間、営業利益が80%増の524億円——ABEMA黒字化とゲーム好調で過去最高を更新

サイバーエージェント
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決算短信
ABEMA黒字化
ゲーム事業
Cygames
過去最高業績
増配
インターネット広告
AI事業
第2四半期累計期初から6ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

4,786億円

+13.6%

通期予想

8,800億円

進捗率54%

営業利益

525億円

+79.8%

通期予想

600億円

進捗率87%

純利益

273億円

+72.3%

通期予想

300億円

進捗率91%

営業利益率

11.0%

サイバーエージェントが13日に発表した2026年9月期の中間決算は、売上高・各利益ともに中間期として過去最高を更新する大幅な増収増益となった。主力であるゲーム事業の既存タイトルが国内外で躍進したほか、長年投資を続けてきた「ABEMA」を含むメディア事業が黒字化を達成したことが全体を大きく押し上げた。売上高は前年同期比 13.6%増4,785億8,400万円、営業利益は同 79.8%増524億5,900万円 となり、成長軌道への回帰を鮮明にしている。

業績のポイント

2026年9月期中間期の連結業績は、売上高が 4,785億8,400万円(前年同期比 +13.6%)、営業利益が 524億5,900万円(同 +79.8%)と、主要指標が軒並み急拡大した。親会社株主に帰属する中間純利益についても 273億3,600万円(同 +72.3%)を記録し、極めて好調な進捗を見せている。この増益の主因は、メディア事業における収益性の改善と、ゲーム事業におけるヒットタイトルの安定稼働にある。

特筆すべきは、インターネット広告・ゲーム・メディアという3つの柱がいずれも増収を確保した点だ。特に営業利益の伸び率は売上高を大きく上回っており、限界利益の高いデジタルコンテンツと広告運用の効率化が結実した格好となった。市場環境としては、国内のデジタル広告市場が堅調に推移する中、同社が推進するAIを活用した広告制作や、動画配信プラットフォームのマネタイズ強化が、競合他社に対する優位性を生み出している。

項目2025年9月期 中間2026年9月期 中間前年同期比
売上高4,212億円4,785億円+13.6%
営業利益291億円524億円+79.8%
経常利益291億円539億円+84.8%
中間純利益158億円273億円+72.3%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別では、ゲーム事業とメディア&IP事業の躍進が際立った。ゲーム事業は売上高 1,322億2,700万円(前年同期比 +47.4%)、営業利益 385億9,600万円(同 +106.3%)と、利益倍増の驚異的な伸びを記録した。Cygamesを筆頭とする主力タイトルの周年イベントや海外展開が奏功し、収益性の高い事業構造が業績を牽引している。

メディア&IP事業は、売上高 1,248億1,200万円(前年同期比 +10.7%)、営業利益 103億9,600万円(同 +119.8%)となった。長らく先行投資の段階にあった「ABEMA」において、周辺事業である公営競技投票アプリ「WINTICKET」の成長や広告収益の拡大が寄与し、本格的な利益回収フェーズに入った。メディアミックス戦略によるIPビジネスの強化も、新たな収益源として定着しつつある。

インターネット広告事業は、売上高 2,423億4,900万円(前年同期比 +3.0%)、営業利益 112億7,500万円(同 6.5%減)となった。上期累計では微減益となったものの、第2四半期単体では増収増益に転じており、AI事業本部による広告効果の最適化が進んでいる。企業のDX投資意欲は依然として高く、下期以降のさらなる回復が期待される。

セグメント売上高前年比営業利益前年比
メディア&IP1,248億円+10.7%103億円+119.8%
ネット広告2,423億円+3.0%112億円△6.5%
ゲーム1,322億円+47.4%385億円+106.3%
投資育成2億円△62.6%△7億円
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
メディア&IP事業1,248億円26%104億円8.3%
インターネット広告事業2,423億円51%113億円4.7%
ゲーム事業1,322億円28%386億円29.2%

財務状況と資本政策

当第2四半期末の総資産は 5,565億900万円 となり、前連結会計年度末に比べて6億5,200万円の微減となった。これは法人税の支払いや配当金の支払いによる現金及び預金の減少が主な要因だ。一方で、中間純利益の計上に伴い利益剰余金が積み上がった結果、純資産は 2,843億8,400万円(前連結会計年度末比 87億300万円増)へ増加した。

自己資本比率は前年度末の 32.3% から 35.0% へと改善し、財務基盤の安定性が増している。株主還元策についても積極的な姿勢を崩しておらず、2026年9月期の年間配当予想は前期比2円増の 1株当たり19円 としている。利益成長を背景とした増配サイクルの維持は、投資家にとってポジティブな評価材料となるだろう。

通期見通しと今後の展望

2026年9月期の通期連結業績予想は、売上高 8,800億円(前期比 +0.7%)、営業利益 500億〜600億円(同 △30.3%〜△16.3%)のレンジ形式を据え置いた。中間期時点で営業利益が524億円に達しており、利益予想の上限に迫る進捗となっている。しかし、同社は下期に新作ゲームのリリースに伴う大規模なプロモーションや、メディア事業への戦略的な投資を計画しており、保守的な見通しを維持している。

項目今回予想(レンジ)前期実績進捗率(中間/上限)
売上高8,800億円8,734億円54.4%
営業利益500〜600億円717億円87.4%
親会社純利益250〜300億円316億円91.1%

今後の焦点は、現在開発中の大型ゲームタイトルの成否と、広告事業におけるAI活用の深化だ。特にABEMAは、従来の無料配信モデルに加えて、IP(知的財産)の海外輸出やイベント興行などの多角化を進めており、これらがどれだけ利益率の向上に寄与するかが注目される。

リスクと課題

同社の成長を左右する主なリスクとして、以下の点が挙げられる。

  • ゲーム事業のヒット依存度: 特定タイトルの好調が業績を牽引している反面、既存タイトルの減衰や新作の開発遅延が業績に与えるインパクトは依然として大きい。
  • 広告市場の変動: 景気動向に左右されやすい広告主の出稿予算の影響を受ける。特にマクロ経済の悪化がデジタル広告への投資抑制につながる懸念がある。
  • 投資負担の増大: ABEMAを中心としたメディア事業では、依然としてコンテンツ制作費や放映権料などの固定費が重く、収益の安定化には継続的なユーザー拡大が不可欠である。
  • 人材競争の激化: IT・クリエイティブ人材の確保に向けた労務コストの上昇が、販管費を押し上げる要因となる可能性がある。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、長年の「赤字の象徴」であったABEMA(メディア事業)が四半期ベースで完全に収益化フェーズに移行したことです。中間期での営業利益進捗率が、通期予想の上限(600億円)に対して87.4%に達している点は、非常に強いサプライズと言えます。

それにもかかわらず通期予想を上方修正しなかった理由は、下期に予定されている「ウマ娘」をはじめとする主力タイトルのプロモーション費用や、メディア事業への再投資を織り込んでいるためでしょう。事実上、利益の上振れ期待は極めて高い状態にあります。

就職活動中の学生にとっては、同社が「広告代理店」から「メディア・コンテンツ企業」へと完全に脱皮し、さらにAIを実務に落とし込んで利益率を改善させている点が、将来性を見極める上での重要なポイントになるでしょう。