カチタス・2026年3月期Q3、営業利益31.1%増の142億円——新築高騰を追い風に中古再生住宅が躍進、通期予想を据え置き
売上高
1,124億円
+16.3%
通期予想
1,475億円
営業利益
142億円
+31.1%
通期予想
178億円
純利益
95億円
+31.6%
通期予想
119億円
営業利益率
12.7%
中古住宅再生大手のカチタスが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)決算は、売上高が前年同期比 16.3%増 の 1,124億1,400万円 、営業利益が 31.1%増 の 142億4,800万円 と大幅な増収増益となった。新築住宅の価格高騰を背景に、同社が提供する「安価で高品質な再生住宅」への需要が急増しており、販売件数・仕入件数ともに二桁成長を記録。消費税の更正処分に伴う会計処理の変更で売上高が一部目減りしたものの、それを補って余りある事業拡大の勢いを示している。
業績のポイント
当第3四半期累計期間は、売上・利益ともに過去最高の水準を更新する極めて好調な着地となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比 31.6%増 の 94億8,600万円 に達し、通期計画に対する進捗率も 79.7% と順調に推移している。
この好業績を牽引したのは、物価上昇や環境規制の強化に伴う新築住宅価格の高騰である。一次取得層にとって新築が「高嶺の花」となる中で、築古物件をリフォームして価値を高める同社の「第四の選択肢」が強力な競争力を発揮した。販売件数は前年同期比 13.7%増 の 6,284件 と大きく伸び、需要の強さを裏付けている。
また、注記にある消費税更正処分に関する会計処理の変更により、従来は販管費に計上していた額を売上高から直接控除する形となった。これにより見かけ上の売上高や粗利益は減少したものの、実質的な営業利益以下の段階利益には悪影響がない構成となっており、本業の収益性はむしろ向上している。
業績推移(通期)
セグメント別動向
同社は「中古住宅再生事業」の単一セグメントであるが、販売と仕入の両面で積極的な拡大策が奏功している。販売面では、ファミリー層以外へのアプローチや商品ラインナップの拡充により、多様化する世帯構成のニーズを的確に捉えた。その結果、売上総利益率は前年同期比 0.2ポイント上昇 し、コスト増を吸収する高い収益構造を維持している。
仕入面においては、次期以降の成長を見据えて「買取りの行動量」を大幅に増加させた。当期間の仕入件数は前年同期比 17.2%増 の 7,461件 となり、販売件数を上回るペースで在庫を積み増している。これは将来の売上を担保する「成長の源泉」を確保したことを意味し、安定的な成長継続に向けた強い意思が伺える。
| 項目 | 前年同期 (25/3 Q3) | 当第3四半期 (26/3 Q3) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 販売件数 | 5,529件 | 6,284件 | +13.7% |
| 仕入件数 | 6,367件 | 7,461件 | +17.2% |
| 営業利益率 | 11.2% | 12.7% | +1.5pt |
人材投資についても積極的に進めており、将来の安定成長を見据えた採用強化により人件費が前年同期比 4.1%増加 した。しかし、それを上回る利益成長を実現しており、組織的な稼ぐ力が強化されていることが鮮明になっている。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 中古住宅再生事業 | 1,124億円 | 100% | 142億円 | 12.7% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末比 72億3,700万円増 の 905億6,600万円 となった。増加の主な要因は、積極的な仕入活動による販売用不動産および仕掛販売用不動産の 156億6,500万円 の増加である。一方で、仕入資金の充当により現金及び預金は 86億1,000万円減少 しているが、事業拡大に伴う前向きなキャッシュの活用と言える。
負債面では、仕入増に対応するための短期借入金が 30億円増加 した。一方で、自己資本比率は 55.3% (前期末は54.9%)と高水準を維持しており、積極投資を継続しながらも財務の健全性は極めて高いレベルにある。
株主還元については、2025年11月に上方修正した配当予想を据え置いた。年間配当は前期比22円増の 78円 (中間39円、期末39円)を予定しており、株主への利益還元を重視する姿勢を継続している。これは、同社の強固なキャッシュ創出力と成長への自信の表れと評価できる。
リスクと課題
好調な決算の一方で、同社はいくつかのリスク要因を注視している。まず、外部環境として「消費者の生活コスト上昇」や「金融資本市場の変動」による景気の先行き不透明感を挙げている。特に住宅ローン金利の動向は、顧客の購買意欲に直接影響を与えるため、今後の重要監視項目となる。
- 建築資材・労務費の上昇: リフォーム工程における原価管理の重要性が増している。
- 競争環境の変化: 中古再生市場の注目度が高まる中で、競合他社との仕入競争が激化する可能性がある。
- 訴訟リスク: 子会社リプライスにおける消費税更正処分の取消請求訴訟が継続しており、その進捗が注視される。
また、急速に在庫を拡大していることから、市場環境が急変した際の在庫回転率の低下も潜在的なリスクとして挙げられるが、現時点では厳選した仕入方針によりリスクをコントロールしているとしている。
通期見通し
2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年11月に修正した値を据え置いた。売上高は前期比 13.9%増 、営業利益は 25.2%増 を見込む。第3四半期時点での利益成長率が予想を上回るペースで推移しているが、第4四半期の市場動向を慎重に見極める方針だ。
| 項目 | 前回発表予想 | 今回修正 (据置) | 前期実績 (25/3) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 147,500百万円 | 147,500百万円 | 129,503百万円 |
| 営業利益 | 17,800百万円 | 17,800百万円 | 14,213百万円 |
| 当期純利益 | 11,900百万円 | 11,900百万円 | 9,550百万円 |
足元の中古住宅需要は依然として堅調であり、期末にかけての販売促進と高品質な物件の安定供給が、計画達成に向けた焦点となる。
カチタスの強みは、参入障壁の高い「地方の築古物件」を独自のノウハウで再生するビジネスモデルにあります。今回の決算で特筆すべきは、新築価格の高騰が同社にとって「強力な追い風」として完全に機能している点です。消費税訴訟の影響で売上表示が目減りするという特殊要因がありながら、それを上回る利益成長(前年比+31.1%)を叩き出したことは、実質的な収益力が一段と高まったことを示唆しています。
懸念点としては、在庫(販売用不動産)が大幅に増加している点ですが、これは裏を返せば「来期以降の成長予約」でもあります。仕入件数の伸びが販売を上回っていることは、第4次中計で掲げる成長加速に対する経営陣の強い自信の表れでしょう。投資家や就活生にとっては、社会課題である「空き家問題」の解決と利益成長を両立させている点において、ESG・成長性の両面から非常に魅力的な銘柄の一つと言えます。
