株式会社日本製鋼所 の会社詳細
株式会社日本製鋼所
日本製鋼所
2026年3月期 第3四半期

日本製鋼所・2026年3月期Q3、営業利益175億円で増益確保——産業機械の豊富な受注残が寄与、子会社吸収合併で再生へ

増収増益
産業機械
防衛関連
原子力発電
品質不適切行為
吸収合併
受注残高
シンジケートローン
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2,011億円

+16.4%

通期予想

2,900億円

進捗率69%

営業利益

175億円

+2.9%

通期予想

245億円

進捗率72%

純利益

149億円

+20.7%

通期予想

185億円

進捗率81%

営業利益率

8.7%

日本製鋼所が発表した2026年3月期第3四半期(2025年4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 16.4%増2,011億円、純利益が 20.7%増149億円 となった。主力の産業機械事業において、樹脂製造・加工機械などの豊富な受注残高が順調に売上へ転換されたことが増収を牽引した。利益面では、過去の品質問題に関連する損失計上の一巡もあり、大幅な増益を達成している。

日本製鋼所・2026年3月期Q3、営業利益175億円で増益確保——産業機械の豊富な受注残が寄与、子会社吸収合併で再生へ

業績のポイント

当第3四半期の連結累計期間における業績は、売上高が 2,011億円(前年同期比 16.4%増)、営業利益が 175億円(同 2.9%増)と、着実な成長を示した。特に産業機械事業が好調で、世界的なプラスチック需要などを背景に受注していた案件の納品が進んだことが大きく寄与している。

利益面では、営業利益の伸びが売上高の伸びを下回ったものの、親会社株主に帰属する四半期純利益は 149億円(同 20.7%増)と高い伸びを記録した。これは前年同期に計上された品質不適切行為に関連する特別損失の影響が和らいだことが要因だ。1株当たり四半期純利益も 202.94円(前年同期は168.18円)へと拡大している。

項目2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高1,727億円2,011億円+16.4%
営業利益170億円175億円+2.9%
経常利益180億円185億円+3.0%
四半期純利益123億円149億円+20.7%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

産業機械事業は、売上高 1,678億円(前年同期比 22.1%増)、営業利益 140億円(同 4.6%増)と、同社の業績を支える大黒柱となった。樹脂製造・加工機械や成形機において、期首から抱えていた豊富な受注残高が順調に売上計上されたことが背景にある。一方で、防衛関連機器については前年同期にあった大口案件の反動により、受注高は前年同期の約4割に相当する 306億円 に留まった。

素形材・エンジニアリング事業は、売上高 313億円(同 6.5%減)、営業利益 58億円(同 13.2%減)と減収減益となった。売上高は減少したものの、脱炭素の流れを受けた高効率火力発電や原子力発電向けの需要は極めて旺盛であり、セグメント受注高は 462億円(同 19.4%増)と大幅に伸長している。利益面での減少は、将来の受注増に対応するための能力増強に伴う人材投資や固定費の増加が主な要因となっている。

セグメント名売上高前年同期比営業利益前年同期比
産業機械1,678億円+22.1%140億円+4.6%
素形材・エンジ313億円△6.5%58億円△13.2%
その他19億円+16.0%0.6億円+148.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
産業機械事業1,679億円84%141億円8.4%
素形材・エンジニアリング事業314億円16%59億円18.7%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 146億円増4,127億円 となった。成長投資を継続しており、建物及び構築物などの有形固定資産が 113億円増加 している。自己資本比率は 49.3% と、前期末の48.5%から上昇し、健全な財務体質を維持している。

資本政策と戦略面では、重要な意思決定が相次いだ。2026年1月には、運転資金の確保を目的とした総額 150億円 のシンジケートローン契約を締結。また、2026年4月1日付で完全子会社の「日本製鋼所M&E」を吸収合併することを決定した。かつて品質問題の舞台となった同社を本体へ取り込むことで、グループ内シナジーの創出とガバナンスの抜本的な強化を図る構えだ。

通期見通し

2026年3月期の通期業績予想については、2025年5月に公表した数値を据え置いた。産業機械事業における旺盛なバックログ(受注残)の消化が通期でも寄与する見込みだ。配当予想についても、年間 88円(第2四半期末44円、期末44円)を維持する方針としている。

項目前回予想今回予想前期実績
売上高2,900億円2,900億円2,485億円
営業利益245億円24,500億円228億円
当期純利益185億円18,500億円179億円

リスクと課題

最大の懸念点は、子会社で発生した品質不適切行為への対応である。現時点では将来的な顧客への補償費用などを合理的に見積もることが困難なため、財務諸表には未反映となっている。今後の交渉や進捗次第では、追加の損失が発生し業績を下押しする可能性がある。

また、外部環境のリスクとして以下の点に言及している。

  • 防衛関連事業における大口案件の端境期による受注の波
  • 素材価格の高騰や人件費上昇に伴うコストアップの影響
  • 海外景気の減速に伴う樹脂製造機械などの需要変動
AIアナリストの視点

日本製鋼所の今回の決算は、見かけ上の増収増益以上に「膿を出し切り、再成長へ舵を切る」という経営の意思が強く感じられます。

注目すべきは、品質問題の当事者であった子会社M&Eの吸収合併です。2020年の分社化からわずか6年での再統合は、ガバナンス体制への厳しい反省と、素形材・エンジニアリング事業を再びコア事業として再生させる決意の表れでしょう。

投資家目線では、産業機械事業が稼ぎ出した利益を、将来性のある素形材(特に原子力・火力向け)の能力増強に再投資できている点が評価ポイントです。ただし、品質問題の「顧客補償」という偶発債務が依然として不透明である点は、中長期的なリスクとして留意しておく必要があります。