飯田グループホールディングス株式会社 の会社詳細
飯田グループホールディングス株式会社
飯田グループホールディングス
2026年3月期 第3四半期

飯田グループHD・2026年3月期Q3、純利益13.0%増の429億円——適正価格の維持と在庫管理の徹底で収益性が向上

飯田グループホールディングス
3291
不動産
戸建分譲
増収増益
在庫管理
増配
記念配当
住宅需要
IFRS
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.1兆円

+0.6%

通期予想

1.5兆円

進捗率69%

営業利益

654億円

+9.1%

通期予想

930億円

進捗率70%

純利益

430億円

+13.0%

通期予想

580億円

進捗率74%

営業利益率

6.2%

戸建分譲住宅国内最大手の飯田グループホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期決算は、売上収益が 1兆566億円(前年同期比 +0.6%)、営業利益が 654億円(同 +9.1%)の増収増益となりました。建築コストの高騰や地価上昇が続くなか、機動的な仕入・販売戦略による価格高止まりの維持と、徹底した在庫管理が利益を押し上げました。親会社の所有者に帰属する四半期利益は 429億円(同 +13.0%)に達し、好調な進捗を見せています。

業績のポイント

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益が 1兆566億83百万円(前年同期比 +0.6%)と微増に留まったものの、各段階利益で大幅な伸びを記録しました。営業利益は 654億35百万円(同 +9.1%)、税引前利益は 617億34百万円(同 +10.1%)となり、最終的な四半期利益は 429億78百万円(同 +13.0%)へと拡大しています。

好業績の背景には、不動産業界を取り巻く厳しい環境への的確な対応があります。建築コストや地価の上昇により販売価格が高止まりするなか、地方部では購入マインドの冷え込みが見られましたが、首都圏を中心とした潜在需要は依然として底堅く推移しました。同社は 「コア事業の競争力強化」 を基本戦略に掲げ、エリアごとの需給特性や在庫状況に合わせた機動的な土地仕入と販売を徹底しました。その結果、無理な値引きを抑制し、収益性の改善を実現したことが増益の主な要因となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の戸建分譲事業を展開するグループ各社で、収益力の差が鮮明となりました。最大手の 一建設グループ は、戸建分譲の販売件数が減少したことで売上収益が 2,787億93百万円(前年同期比 -3.9%)となりましたが、利益重視の経営によりセグメント利益は大幅な伸びを見せました。対照的に タクトホームグループ は、販売件数が好調に推移し、売上収益 1,499億80百万円(同 +17.5%)と、グループ内で最も高い成長を記録しました。

セグメント名売上収益(百万円)前年同期比セグメント利益(百万円)前年比(増減率)
一建設278,793△3.9%19,205+28.2%
飯田産業203,473+6.4%16,432+23.7%
東栄住宅152,396+3.0%13,154+16.9%
タクトホーム149,980+17.5%11,662+41.3%
アーネストワン200,882△1.2%14,056+4.7%
アイディホーム45,986△28.8%2,004△0.1%

飯田産業グループ は売上・利益ともに堅調でしたが、アイディホーム は戸建分譲事業の苦戦が響き、売上高が -28.8% と大幅な減収となりました。グループ全体では、マンション分譲事業や請負工事事業などの多角化も進めており、特にマンション分譲は一部の会社で大幅な増収を達成し、事業ポートフォリオの拡大に寄与しています。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
一建設グループ2,788億円26%192億円6.9%
飯田産業グループ2,035億円19%164億円8.1%
東栄住宅グループ1,524億円14%132億円8.6%
タクトホームグループ1,500億円14%117億円7.8%
アーネストワングループ2,009億円19%141億円7.0%
アイディホーム460億円4%20億円4.4%

財務状況と資本政策

財務状態については、2025年12月末時点の総資産が 1兆9,227億56百万円 となり、前期末比で 689億25百万円 増加しました。この主な要因は、今後の販売用物件となる 棚卸資産が1,716億64百万円増加 したことによるものです。一方で、積極的な用地取得や事業投資に伴い、現金及び預金は 1,315億23百万円 減少しています。

負債面では、社債及び借入金が 777億54百万円 増加しており、運転資金の確保を優先した財務運営が見て取れます。資本面では、親会社の所有者に帰属する持分が 9,943億77百万円 となり、自己資本比率は 51.7% を維持しています。配当については、設立10周年の記念配当10円を含む年間 100円(前期比 +10円)の予想を維持しており、株主還元への積極的な姿勢を継続しています。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、従来公表していた数値を据え置いています。売上収益は前期比 +4.8%1兆5,300億円、営業利益は +15.6%930億円 を見込んでいます。第3四半期時点での営業利益進捗率は約 70.4% となっており、最終四半期でのさらなる積み上げが期待されます。

項目前回予想当期実績(Q3累計)進捗率
売上収益1,530,0001,056,68369.1%
営業利益93,00065,43570.4%
税引前利益85,50061,73472.2%
当期利益58,00042,97874.1%

今後の焦点は、高止まりする建築コストの吸収と、春の需要期に向けた販売動向になります。同社は 適正在庫の維持 を最優先課題としており、市場環境の変化に応じた柔軟な価格設定と、付加価値の高い住宅供給を通じて目標達成を目指す方針です。

リスクと課題

今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられます。

  • 建築コストの継続的な上昇: 資材価格や労務費の高騰が、売上原価を圧迫するリスクがあります。
  • 消費マインドの停滞: 実質賃金の伸び悩みによる個人消費の足踏みが、特に地方部の一次取得者層の購買意欲に影響を与える可能性があります。
  • 金利動向: 国内の金利上昇局面においては、住宅ローン金利の上昇が買い控えを招く懸念があります。
  • 棚卸資産の積み上がり: 在庫が前期末比で大幅に増加しており、販売が計画を下回った場合には資金効率の低下や価格競争の激化に繋がる恐れがあります。
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、売上の伸びを大幅に上回る利益成長を達成した「収益性の質」の向上です。資材高騰という逆風下で、値引きに頼らず「適正価格」で売り切るエリア戦略が功を奏しています。

特に、グループ会社ごとに戦略の濃淡が見られる点が興味深く、タクトホームのように攻める会社と、一建設のように利益重視に舵を切る会社が混在することで、グループ全体としてのリスクヘッジが機能している印象を受けます。

一方で、棚卸資産(在庫)が約1,700億円も増加している点は注視が必要です。これは将来の売上への「仕込み」であると同時に、販売が停滞した場合には重荷となる諸刃の剣です。春の商戦期にこれをどれだけ効率的にキャッシュ化できるかが、通期目標達成の鍵を握るでしょう。