業界ダイジェスト
飯田グループホールディングス株式会社 の会社詳細
飯田グループホールディングス株式会社
飯田グループホールディングス
2026年3月期 通期

飯田グループHD・2026年3月期、営業利益17.4%増の944億円——在庫適正化と首都圏需要が寄与、10円の記念増配も発表

飯田グループホールディングス
増収増益
戸建分譲
記念配当
在庫適正化
不動産業界
IFRS
2026年3月期
中期経営計画
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1.5兆円

+3.4%

通期予想

1.7兆円

進捗率91%

営業利益

944億円

+17.4%

通期予想

1,036億円

進捗率91%

純利益

633億円

+24.9%

通期予想

655億円

進捗率97%

営業利益率

6.3%

戸建分譲住宅で国内最大手の飯田グループホールディングスは、2026年3月期の連結決算(IFRS)で、営業利益が前期比17.4%増944億円に達したと発表しました。資材価格の高騰が続く厳しい環境下ながら、エリア戦略の精緻化と機動的な土地仕入れ、さらには在庫水準の適正化を徹底したことで収益性が大幅に改善しました。好調な業績を背景に、期末配当に10円の記念配当を上乗せし、年間配当は前期比10円増の100円とすることを決めています。

業績のポイント

当連結会計年度の売上収益は、前期比3.4%増1兆5,088億円となりました。国内経済が緩やかな回復基調にあるなか、不動産業界では建築コストの高騰や地価上昇により販売価格が高止まりする厳しい局面が続きましたが、首都圏を中心とした一次取得者層の潜在的な住宅需要は依然として底堅く推移しました。同社はこの良好な需要を背景に、コア事業である戸建分譲事業において在庫回転率を意識した機動的な販売戦略を推進しました。

利益面では、営業利益が944億円(前年比+17.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は633億円(前年比+24.9%)と、大幅な増益を達成しました。前期に実施した価格調整や在庫処分が一服し、高付加価値物件の投入やエリア特性に応じた細やかな値付けが奏功した格好です。売上収益営業利益率は前年度の5.5%から6.3%へと改善しており、コスト増を吸収しながらも稼ぐ力を高める経営体制が鮮明になっています。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力である戸建分譲事業は、グループ各社で明暗が分かれつつも、全体としては堅調さを維持しました。特にタクトホームグループは売上収益が前期比17.7%増2,207億円と大きく伸長し、利益成長を牽引しました。飯田産業グループも戸建分譲の販売件数を伸ばし、売上収益は前期比9.7%増2,939億円と好調でした。

一方で、一建設グループは売上収益が3,923億円(前期比3.7%減)と微減となり、アイディホームも戸建分譲事業の苦戦から売上収益が636億円(前期比20.9%減)と大きく落ち込みました。これは競争の激化や一部エリアでの需要減退が影響したとみられます。しかし、グループ全体でのセグメント利益(営業利益)は1,101億円と、前期の851億円から大幅に積み上がっており、一部の不振を他社がカバーする多ブランド戦略の強みが発揮されています。

セグメント名売上収益(百万円)前期比セグメント利益(営業利益・百万円)
一建設グループ392,324△3.7%29,731
飯田産業グループ293,962+9.7%23,830
東栄住宅グループ212,121+5.7%18,016
タクトホームグループ220,741+17.7%16,261
アーネストワングループ292,298+3.6%19,576
アイディホーム63,675△20.9%2,697
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
一建設グループ3,923億円26%297億円7.6%
飯田産業グループ2,940億円20%238億円8.1%
東栄住宅グループ2,121億円14%180億円8.5%
タクトホームグループ2,207億円15%163億円7.4%
アーネストワングループ2,923億円19%196億円6.7%
アイディホーム637億円4%27億円4.2%

財務状況と資本政策

財務状態については、総資産が前期末比1,549億円増2兆87億円となりました。これは主に、将来の販売用物件となる棚卸資産が1,746億円増加したことによるものです。積極的な土地仕入れを継続した結果、営業活動によるキャッシュ・フローは974億円の支出(前年度は922億円の収入)となりましたが、これは将来の成長に向けた在庫積み増しを意味する前向きな投資と評価できます。

資本政策では、株主還元を重視する姿勢を強調しています。2026年3月期の年間配当は、普通配当90円に加え、設立等の節目を記念した10円の記念配当を実施し、合計100円としました。配当性向は43.6%と高い水準を維持しています。また、借入金が1,065億円増加した一方で、現預金残高も3,907億円を確保しており、機動的な事業展開を支える財務基盤を維持しています。

リスクと課題

今後の経営課題として、同社は原材料価格の高止まりと国内の金融資本政策の動向を挙げています。特に金利の上昇は、住宅ローン金利の引き上げを通じて消費者の購買意欲を冷え込ませる直接的なリスク要因となります。また、一部の建築原材料において供給不安が懸念されており、サプライチェーンの安定化も不可欠な課題です。

同社はこれらのリスクに対し、2030年3月期を見据えた長期目標として「オーガニック成長率4.0%」「ROE10.0%以上」を掲げています。具体的には、戸建分譲への依存率を70%程度に保ちつつ、マンション事業や請負工事事業の拡大を図る事業ポートフォリオの多角化を推進する方針です。さらに、米国やインドネシア、ロシアといった海外市場の動向も注視し、国内市場の飽和に備えた成長基盤の構築を急いでいます。

通期見通し

2027年3月期の通期業績予想については、売上収益が前期比10.2%増1兆6,630億円、営業利益が前期比9.7%増1,036億円と、増収増益の継続を見込んでいます。戸建分譲事業において、適正な在庫水準を維持しながらエリア戦略を深掘りすることで、さらなる収益向上を目指します。

項目2027年3月期 予想2026年3月期 実績前期比(増減率)
売上収益1兆6,630億円1兆5,088億円+10.2%
営業利益1,036億円944億円+9.7%
親会社の所有者に帰属する当期利益655億円633億円+3.5%
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、建築コストの高騰という逆風の中でも、営業利益率を前年度の5.5%から6.3%へと着実に改善させている点です。これは、かつての「数を売る」戦略から、「エリアごとの需給特性を見極めた利益重視」の戦略へシフトしていることが数字に表れています。

営業キャッシュ・フローが赤字に転じている点は一見ネガティブに見えますが、内訳を見ると1,389億円の棚卸資産増加が主因です。これは将来の収益源となる土地を積極的に確保している証左であり、2027年3月期の売上収益10%増という強気な予想を支える裏付けとなっています。

一方で、アイディホームのようにセグメント間で業績の乖離が出ている点は注意が必要です。グループ全体としては補完し合っていますが、金利上昇局面でどのブランドが最も耐性を示すかが今後の投資判断のポイントになるでしょう。株主還元についても、記念配含め100円の大台に乗せてきたことは、同社の自信の表れと受け取れます。