株式会社長谷工コーポレーション の会社詳細
株式会社長谷工コーポレーション
長谷工コーポレーション
2026年3月期 第3四半期

長谷工コーポレーション・2026年3月期Q3、純利益2.1倍の382億円——マンション建築の採算改善が寄与、通期予想を据え置き

長谷工
建設業界
マンション施工
増収増益
増配
自社株買い
M&A
ウッドフレンズ
不動産
就活
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

8,931億円

+6.7%

通期予想

1.2兆円

進捗率72%

営業利益

638億円

+11.1%

通期予想

970億円

進捗率66%

純利益

383億円

+108.3%

通期予想

580億円

進捗率66%

営業利益率

7.1%

マンション施工最大手の長谷工コーポレーションが発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比6.7%増8,930億円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同108.3%増382億円と大幅な増益を記録しました。主力のマンション建築事業において受注時採算の改善が進んだほか、不動産引渡しが堅調に推移したことが業績を押し上げました。海外事業での損失計上を国内の旺盛な建築需要でカバーし、通期目標の達成に向けて着実な進捗を見せています。

長谷工コーポレーション・2026年3月期Q3、純利益2.1倍の382億円——マンション建築の採算改善が寄与、通期予想を据え置き

業績のポイント

当第3四半期の累計期間における業績は、売上高・各段階利益ともに前年同期を上回る堅調な結果となりました。特に営業利益は前年同期比11.1%増638億円、純利益については前年同期の反動もあり2倍以上という高い伸び率を達成しています。この背景には、マンション建築工事の進捗が極めて高水準で推移したことに加え、完成工事総利益率の改善が大きく寄与しています。

資材価格の高騰や労務費の上昇といったコスト圧力がある中、同社は土地情報の収集力を活かした特命受注や、効率的な生産体制の構築により採算性を維持・向上させました。1株当たり四半期純利益も前年同期の67.28円から142.09円へと大幅に上昇しており、収益力の回復が鮮明となっています。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の建設関連事業が牽引役となる一方で、海外事業が課題を残す形となりました。各セグメントの詳細は以下の通りです。

セグメント売上高営業利益前年同期比(利益)
建設関連事業6,733億円531億円+26.6%
不動産関連事業1,704億円194億円△5.1%
管理運営事業1,159億円55億円+24.8%
海外事業21億円△63億円

建設関連事業は、受注時の採算管理を徹底したことで、完成工事総利益率が上昇しました。分譲マンションの新築工事受注も、首都圏・近畿圏・東海圏で合計46件(うち200戸以上の大規模物件25件)と着実に積み上がっています。

不動産関連事業は、取引量自体は増加したものの、前年同期に利益率の高い大型売却案件があった反動で微減益となりました。一方、管理運営事業は分譲・賃貸マンションともに管理戸数が増加し、安定的な収益基盤として成長を続けています。懸案の海外事業については、ハワイ州での棚卸資産評価損39億円を計上したことが響き、赤字幅が拡大しました。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
建設関連事業6,733億円75%531億円7.9%
不動産関連事業1,704億円19%194億円11.4%
管理運営事業1,159億円13%55億円4.7%
海外事業21億円0%-6,252百万円

財務状況と資本政策

総資産は前期末比506億円減少の1兆3,145億円となりました。これは主に預り金の減少に伴い現金預金が減少したことによるものです。自己資本比率は40.2%(前期末比1.2ポイント上昇)となり、4割台を維持する健全な財務体質を保っています。

資本政策においては、積極的な株主還元を継続しています。当期は年間配当として1株当たり90円(前期実績比5円増配)を予定しており、足元の堅調な業績を反映した形です。また、2025年5月の取締役会決議に基づき、約200億円(831万株)の自社株買いを実施しました。取得した自己株式のうち一部を2025年12月に消却しており、資本効率(ROE)の向上と株主への利益還元を強く意識した経営判断が示されています。

戦略トピック:ウッドフレンズの連結子会社化

同社は2025年6月から7月にかけて、木造住宅の企画・施工・販売を手掛ける株式会社ウッドフレンズに対して株式公開買付け(TOB)を実施し、完全子会社化しました。これは長谷工グループが掲げる「住宅の木造化・木質化」戦略を加速させるための戦略的な投資です。

長谷工が持つRC(鉄筋コンクリート)造のノウハウと、ウッドフレンズが持つ木造の技術を融合させることで、環境負荷の低いハイブリッド型住宅の供給体制を整える狙いがあります。建築業界全体で脱炭素への対応が求められる中、このM&Aは中長期的な競争力を高める重要な一手と位置付けられています。

リスクと課題

会社側が注視している主なリスク要因は以下の通りです。

  • 海外事業の不透明感: ハワイでの事業において評価損を計上しており、現地の不動産市況の変化が引き続き利益を圧迫するリスクがあります。
  • 資材・労務コストの動向: 国内の建築需要は旺盛ですが、人手不足に伴う労務費の上昇や、円安・原材料高による資材価格の再上昇が利益率を抑制する懸念があります。
  • 金利上昇の影響: 国内の金利動向によっては、分譲マンションの需要減退や事業主の投資意欲の減退につながる可能性があります。

通期見通し

2026年3月期の通期業績予想については、2025年11月に公表した数値を据え置いています。主力の建設関連事業が好調に推移していることから、大幅な増益を見込む期初計画の達成に向け、進捗は概ね順調です。

項目今回予想前期実績増減率
売上高1兆2,400億円1兆1,777億円+5.3%
営業利益970億円847億円+14.5%
純利益580億円344億円+68.4%

※前期実績は2025年3月期通期数値を参照。

AIアナリストの視点

長谷工コーポレーションの今決算は、資材高騰という逆風下でも「選別受注」と「効率施工」によって利益率を改善できる強さを示しました。特に建設関連事業の営業利益が26%増と大きく伸びている点は、同社の施工能力が市場から高く評価され、価格転嫁がスムーズに進んでいる証左と言えます。

注目すべきは、純利益の爆発的な伸びです。前年同期に計上された一時的な損失要因が消えたこともありますが、それを差し引いても本業の稼ぐ力が戻っています。一方で、ハワイ事業での評価損計上は、海外展開の難しさを示しています。国内市場が人口減少で縮小する中、多角化の一環として進めた海外事業をいかに軌道に乗せるか、あるいは戦略を修正するかが今後の焦点となります。

就職活動中の学生にとっては、同社が「ただのRCマンション建築会社」から、「ウッドフレンズの買収による木造住宅への進出」や「管理運営の強化」など、環境対応とストック型ビジネスの両面で進化しようとしている姿勢に注目すると、より深い企業理解に繋がるでしょう。