大手ハウスメーカー・マンションデベ3社・2026年3月期Q3——米国シフトの明暗とマンション専業の快走
今期の総括
海外投資の「産みの苦しみ」と国内効率化の明暗
大和ハウス工業が売上4兆円を突破し首位を独走する一方、利益面では各社の「戦略の差」が鮮明となりました。巨額買収で海外へ打って出た積水ハウスは、金利高とコスト増で「産みの苦しみ」の真っ只中です。対照的に、国内マンション建築に特化した長谷工は、純利益が前年比2倍を超える驚異的な回復を見せています。
業界全体の動き
この期間、業界を動かした共通テーマは3つあります。
- 米国市場への依存度上昇
国内の住宅着工が減る中、各社は米国市場に活路を求めました。現地の旺盛な需要が収益の柱となっています。
- 金利上昇とコスト管理
米国の高金利が販促費を押し上げ、利益を削る要因となりました。国内でも資材高が続き、価格転嫁の成否が分かれ道です。
- 環境性能(ZEH)の標準化
省エネ住宅へのニーズが一段と高まりました。環境対応が遅れた企業は、顧客の選択肢から外れるリスクが出ています。
売上高ランキング
大和ハウスが4兆円超えで圧倒的な規模を誇ります。積水ハウスも3兆円に迫り、2強の存在感が際立つ結果となりました。
営業利益ランキング
売上規模に比例して大和ハウスが首位を堅持。積水ハウスは海外投資の影響で足踏みし、2社の差が拡大しています。
営業利益率ランキング
大和ハウスが9%と高い効率を維持。長谷工は7.1%まで上昇し、マンション専業としての収益力の高さを示しました。
売上高 前年同期比
長谷工が6.7%増と最も高い伸びを記録。マンション建築の受注がスムーズに進んだことが、全社的な増収を牽引しています。
純利益 前年同期比
長谷工が100%超えと突出しています。前期の損失解消という特殊要因もありますが、本業の回復ぶりは目を見張るものがあります。
勝者と敗者
今期の「勝者」は、効率経営が光った長谷工コーポレーションです。
- 長谷工の純利益は383億円で、前年比108.3%増と急増しました。マンション建築の採算管理を徹底し、利益率を改善させています。
一方で「苦戦」が目立ったのは積水ハウスです。
- 売上は2.5%増と伸ばしましたが、純利益は1,471億円で10.8%減となりました。米国企業の巨額買収に伴う費用が、一時的に重石となっています。
勝者
長谷工コーポレーション
苦戦
積水ハウス
注目の動き・戦略比較
3社はそれぞれ異なる成長シナリオを描いています。
- 大和ハウス工業:「再生と循環」モデル
物流施設などを自社で開発し、最適な時期に売却します。今期は売却を抑え、将来の利益を蓄える動きを見せました。
- 積水ハウス:「グローバル・メジャー」への挑戦
米国のM.D.C.社を買収し、一気に世界規模へ拡大しました。短期的には利益を圧迫しますが、将来の爆発力を狙っています。
- 長谷工コーポレーション:「脱・RC専業」の加速
ウッドフレンズ社を傘下に収め、木造分野へ進出しました。環境意識の高い層を取り込み、事業の幅を広げています。
業界共通のリスク
- 人手不足による工期遅延
職人の高齢化が進み、現場の労働力確保が難しくなっています。工期の遅れは、そのままコスト増に直結します。
- 米国の利下げタイミング
海外事業の成否は、米国の金融政策に左右されます。利下げが遅れれば、住宅ローンの負担増が続き販売を冷やします。
- 国内景気と実質賃金
国内では物価高が続いています。賃金が上がらなければ、高価格帯の住宅需要がしぼむ懸念があります。
就活生・転職希望者へ
安定を求めるなら、多角化が進む大和ハウスが有力です。グローバルな活躍を夢見るなら、米国シフトを強める積水ハウスが面白いでしょう。建設現場の生産性革命に興味があるなら、高収益体質へ進化した長谷工が狙い目です。
