デンソー・2026年3月期Q3、売上高は3.9%増の5.4兆円で過去最高——米国関税の影響で営業利益は6.4%減
売上高
5.5兆円
+3.9%
通期予想
7.4兆円
営業利益
3,759億円
-6.4%
通期予想
5,350億円
純利益
2,737億円
-12.5%
通期予想
4,200億円
営業利益率
6.8%
売上高は主要顧客の増産や価格転嫁が進み、前年比 3.9%増 の 5兆4,955億円 となりました。一方で営業利益は、米国関税や部材費の高騰が響き、前年比 6.4%減 の 3,758億円 にとどまっています。利益は減りましたが、積極的な自社株買いで株主還元を強化しています。
業績のポイント
売上高は前年同期の 5兆2,884億円 から 3.9%増 の 5兆4,955億円 となりました。主要なお客さんの自動車生産が増えたことが追い風です。製品への価格転嫁も進み、売上を押し上げました。
利益面では厳しい状況が続いています。営業利益は前年の 4,015億円 から 6.4%減 の 3,758億円 でした。効率化を進めたものの、米国での関税や材料費の値上がりが重荷となりました。将来のための開発投資を増やしたことも、利益が減った要因です。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 日本: 売上高は 3兆2,251億円(3.3%増)。顧客の増産で売上は伸びましたが、材料費の高騰や将来への投資で利益は 34.2%減 と苦戦しました。
- 北米: 売上高は 1兆4,755億円(8.0%増)。米国関税によるコスト増がありましたが、合理化を進めたことで利益は 3.3%増 を確保しました。
- 欧州: 売上高は 5,577億円(3.9%増)。円安の効果もあり、徹底した効率化によって利益は前年比 246.8%増 と大きく伸びました。
- アジア: 売上高は 1兆4,669億円(0.3%増)。車両販売の増加や工場の稼働率が上がったことで、利益は 15.6%増 と好調でした。
- その他: 売上高は 918億円(2.1%増)。南米などの拠点が含まれますが、利益は 2.8%減 と微減しました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 3.2兆円 | 59% | 1,170億円 | 3.6% |
| 北米 | 1.5兆円 | 27% | 749億円 | 5.1% |
| 欧州 | 5,577億円 | 10% | 170億円 | 3.0% |
| アジア | 1.5兆円 | 27% | 1,454億円 | 9.9% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末より 5,241億円 増えて 8兆6,490億円 になりました。株価上昇により、保有している株式の価値が上がったことが主な理由です。
配当金は年間で 64円(中間32円・期末予想32円)を維持します。注目すべきは自社株買いです。今期だけで約 2,533億円 の自己株式を取得しました。利益が減る中でも、投資家への還元を重視する姿勢を鮮明にしています。
通期見通し
2026年3月期の通期予想を修正しました。売上高は円安や費用の回収が進むため、7兆4,200億円 に上方修正します。一方で、利益面は下方修正となりました。
営業利益は、当初予想から引き下げ 5,350億円(前年比 3.1%増)を見込みます。米国関税の負担や部材費の高騰が想定より厳しいためです。為替レートは1ドル155円、1ユーロ180円を前提としています。
リスクと課題
- 米国の通商政策: 関税の引き上げが直接的なコスト増となり、北米事業の利益を圧迫しています。
- 部材費の高騰: 原材料価格の高止まりが続いており、さらなる価格転嫁やコスト削減が求められます。
- 次世代投資の負担: 電気自動車(EV)や自動運転などの開発費が膨らみ、短期的には利益を削る要因となります。
デンソーの決算は、売上が伸びる一方で利益が削られる「増収減益」という難しい局面を映し出しています。特に米国関税の影響が営業利益を押し下げており、地政学リスクが実業に影を落としている点が懸念されます。
一方で、約2,500億円規模の自社株買いを断行している点は、資本効率の向上を求める投資家から評価されるでしょう。トヨタグループ内での株式持ち合い解消が進む中、自立した企業として株主還元を強化する姿勢が鮮明です。
今後は、売上の伸びをいかに「稼ぐ力(利益)」に変えられるかが焦点です。価格転嫁の継続と、次世代技術への投資が実を結ぶ時期に注目が集まります。
