東京ガス株式会社 の会社詳細
東京ガス株式会社
東京瓦斯
2026年3月期 第3四半期

東京瓦斯・2026年3月期Q3、純利益4.9倍の1,662億円——電力販売増と資産売却が寄与、通期予想を上方修正

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東京ガス
インフラ
エネルギー
増収増益
上方修正
自社株買い
電力販売
資産売却
就活対策
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2.0兆円

+10.6%

通期予想

2.9兆円

進捗率71%

営業利益

1,383億円

+87.5%

通期予想

1,850億円

進捗率75%

純利益

1,663億円

+395.8%

通期予想

1,940億円

進捗率86%

営業利益率

6.8%

東京瓦斯が発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)決算は、売上高が前年同期比 10.6%増2兆396億円 、親会社株主に帰属する純利益が 395.8%増1,662億円 と、歴史的な増益を達成しました。電力販売量の 22.4%増加 に加え、為替換算調整勘定の取崩益(680億円)や固定資産売却益(482億円)などの一過性利益が大きく寄与しています。この好調な進捗を受け、同社は通期の業績予想を上方修正し、年間配当も前期比20円増の 100円 を維持する方針です。

業績のポイント

2026年3月期第3四半期の連結業績は、主力事業の拡大と資産ポートフォリオの最適化が功を奏し、大幅な増収増益となりました。売上高は 2兆396億円 (前年同期比 +10.6% )、営業利益は 1,382億円 (同 +87.5% )に達しています。都市ガスの販売量は低気温の影響で家庭用が伸びたものの、他事業者向け供給が減少したことで全体では 0.2%減 と微減にとどまりました。

一方で利益面を大きく押し上げたのは、電力事業の成長と巨額の特別利益です。電力販売量は小売・卸ともに大幅に伸び、全体で前年同期比 22.4%増 と躍進しました。また、海外事業における為替換算調整勘定の取崩益 680億円 や、固定資産売却益 482億円 を特別利益に計上したことで、純利益は 1,662億円 (同 +395.8% )と前年同期から約5倍に膨れ上がっています。これらは事業構造の転換を裏付ける結果となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

中核のエネルギー・ソリューション事業に加え、海外事業が収益の柱として存在感を高めています。各セグメントの状況は以下の通りです。

エネルギー・ソリューション セグメントは、売上高 1兆8,090億円 (前年同期比 +9.3% )、セグメント利益 1,359億円 (同 +41.0% )となりました。都市ガスの販売単価上昇や、電力販売量の増加が寄与しています。特に電力事業は、小売顧客件数が 5.3%増429万件 に達するなど、顧客基盤の拡大が利益貢献に繋がっています。

海外 セグメントは、売上高 1,683億円 (同 +41.9% )、利益 483億円 (同 +252.9% )と驚異的な成長を見せました。北米等での事業展開が収益化フェーズに入っており、為替換算の影響も加わって利益を大きく底上げしました。

一方、ネットワーク セグメントは 190億円の損失 となりましたが、前年同期の221億円の損失からは改善しています。また、都市ビジネス セグメントは持分法投資損失の影響などで利益が 18億円 (同 -82.8% )と苦戦しました。

セグメント名売上高 (百万円)セグメント利益 (百万円)利益増減率
エネルギー・ソリューション1,809,057135,929+41.0%
ネットワーク220,363△19,057改善
海外168,34448,366+252.9%
都市ビジネス43,0711,887△82.8%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
エネルギー・ソリューション1.8兆円81%1,359億円7.5%
ネットワーク2,204億円10%-19,057百万円-8.6%
海外1,683億円8%484億円28.7%
都市ビジネス431億円2%19億円4.4%

通期見通しの修正

第3四半期までの利益超過を受け、同社は通期(2026年3月期)の連結業績予想を上方修正しました。売上高は下方修正したものの、利益面では当初予想を大きく上回る見込みです。背景には、期初の想定を上回る資産売却益の計上や、電力事業の採算改善があります。

項目前回発表予想今回修正予想前期実績 (2025/3)
売上高3兆円規模2兆8,900億円2兆6,368億円
営業利益-1,850億円1,330億円
経常利益-1,710億円1,135億円
親会社株主に帰属する純利益-1,940億円741億円

修正後の通期純利益予想 1,940億円 は、前期実績の 約2.6倍 に相当する高い水準です。これに伴い、1株当たりの当期純利益も 560.15円 に達する見通しです。「脱炭素社会」への移行期において、ガス以外の収益源を確立しつつあることが業績予想にも反映されています。

財務状況と資本政策

財務面では、自己株式の取得を通じた株主還元を積極的に進めています。当第3四半期末の総資産は 3兆7,158億円 と前期末から約1,392億円減少しました。これは長期借入金の返済や自己株式の取得が影響しています。自己資本比率は43.4%(前期末比1.4ポイント低下)と、依然として健全な水準を維持しています。

特筆すべきは株主還元の強化です。同社は2025年11月から2026年3月末にかけて、総額800億円(2,000万株) を上限とする大規模な 自社株買い を実施しており、資本効率(ROE)の向上を意識した経営姿勢を鮮明にしています。配当についても、年間 100円 (中間50円、期末50円)を予定しており、前期実績の80円から大幅な増配となる見込みです。これは投資家にとって極めてポジティブな材料と言えます。

リスクと課題

好決算の一方で、今後の経営に影響を与える不透明な要因も存在します。会社側は以下のリスクに言及しています。

  • エネルギー価格の変動: 原油価格(JCC価格)の変動はガスの原料費や電力調達コストに直結するため、世界情勢によるボラティリティに注視が必要です。
  • 為替レートの影響: 円安・円高の進行は海外事業の評価額や原料輸入コストを左右します。足元では1ドル150円前後を想定した慎重な見通しを立てています。
  • 競争環境の激化: 電力・ガスの小売自由化が進む中で、顧客獲得競争が激しくなっています。小売件数の維持・拡大が将来の安定収益のカギとなります。
  • 脱炭素への投資負担: 「脱炭素」実現に向けた技術開発やインフラ整備には多額のR&D費・設備投資が必要であり、これらの中長期的な投資効率が課題となります。
AIアナリストの視点

今回の東京瓦斯の決算で最も注目すべきは、もはや「単なるガス会社」ではないという実態が鮮明になった点です。電力販売量の22%増という数字は、総合エネルギー企業としての地位を固めた証左と言えます。

また、為替換算調整勘定の取崩しや資産売却といった「出口戦略」的な利益が純利益を押し上げていますが、これは古い資産を整理し、次世代の成長投資(海外や再エネ)へ資金を振り向けるサイクルが回っていると解釈できます。

投資家視点では、800億円規模の自社株買いと大幅増配(80円→100円)がセットになっており、株主還元へのコミットメントは極めて強いと感じます。就職活動中の学生にとっても、安定したガス事業の土台の上で、電力や海外という成長領域にダイナミックに舵を切っている「変革期の面白さ」を感じさせる決算内容となっています。