タマホーム・2026年5月期Q3、売上高2.5%減の1,208億円――住宅事業の苦戦で営業赤字継続も、不動産事業が下支え
売上高
1,208億円
-2.5%
通期予想
2,090億円
営業利益
-3,375百万円
通期予想
47億円
純利益
-2,668百万円
通期予想
14億円
営業利益率
-2.8%
タマホームが発表した2026年5月期第3四半期累計(2025年6月〜2026年2月)の連結決算は、売上高が前年同期比 2.5%減 の 1,208億2,400万円 、営業損益は 33億7,500万円の赤字 となった。主力である注文住宅の引き渡し棟数が減少したことが響き、住宅事業が赤字を計上した一方、販売用不動産が好調な「不動産事業」が利益を大きく伸ばし、全体の赤字幅は前年同期の49億3,900万円から縮小した。通期では売上高 2,090億円 の達成と黒字転換を見込むが、配当予想は前期実績から大幅な減配となる 年間125円 を据え置いている。
タマホーム 2026年5月期 第3四半期決算
さくら × けんじ の対話形式解説
業績のポイント
当第3四半期累計期間の業績は、売上高が 1,208億2,400万円 (前年同期比 2.5%減 )、営業損失が 33億7,500万円 (前年同期は 49億3,900万円の赤字 )を記録し、依然として厳しい収益状況が続いている。親会社株主に帰属する四半期純損失は 26億6,800万円 (前年同期は 39億7,300万円の赤字 )となった。赤字の主因は、売上の約7割を占める主力の「住宅事業」における苦戦にある。
資材価格の高騰や人件費の上昇といった外部環境の変化に対し、同社は販売価格の適正化や販管費の抑制に努めている。その結果、営業赤字の幅は前年同期から 15億6,300万円改善 した。しかし、肝心の注文住宅の引き渡しが伸び悩んでおり、売上総利益が 295億5,500万円 (同 3.9%減 )と減少したことが利益面での重石となっている。第4四半期に向けて、不動産事業の利益貢献と住宅事業のコスト効率改善が黒字転換の鍵となる。
業績推移(通期)
セグメント別動向
事業別では、住宅市場の冷え込みと競争激化を反映し、セグメント間で明暗が分かれる形となった。
「住宅事業」の売上高は 816億600万円 (前年同期比 6.3%減 )、セグメント損失は 61億1,400万円 (前年同期は 70億2,200万円の赤字 )となった。内訳をみると、主力である注文住宅の売上が 734億6,500万円 (同 6.0%減 )と低迷している。物価高の影響で消費者の住宅購買意欲が減退しており、受注残の消化スピードが鈍化したことが大きく影響した。
一方、「不動産事業」はグループの収益を下支えする成長エンジンとなっている。売上高は 347億900万円 (前年同期比 7.6%増 )、セグメント利益は 19億1,600万円 (同 63.5%増 )と、大幅な増収増益を達成した。分譲宅地や戸建分譲、さらにはオフィスビルの区分所有権販売などが順調に推移しており、収益の多様化が進んでいる。金融事業やエネルギー事業は概ね横ばいの推移となった。
| セグメント | 売上高 | 営業利益(損失) | 売上高前年比 | 利益前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅事業 | 81,606百万円 | △6,114百万円 | △6.3% | - |
| 不動産事業 | 34,709百万円 | 1,916百万円 | +7.6% | +63.5% |
| 金融事業 | 632百万円 | 99百万円 | △0.1% | +110.6% |
| エネルギー事業 | 586百万円 | 178百万円 | △2.8% | △2.7% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅事業 | 816億円 | 68% | -6,114百万円 | -7.5% |
| 不動産事業 | 347億円 | 29% | 19億円 | 5.5% |
| 金融事業 | 6億円 | 1% | 99百万円 | 15.7% |
| エネルギー事業 | 6億円 | 1% | 2億円 | 30.4% |
財務状況と資本政策
財務状態においては、資産構成と自己資本の減少に注意が必要な動きが見られる。当第3四半期末の総資産は前期末比 51億7,200万円増 の 974億7,500万円 となった。これは未成工事支出金(施工中の物件費用)が 92億9,900万円増加 したことや、仕掛販売用不動産が 90億6,500万円増加 したことによるものである。一方で、現金及び預金は 120億9,400万円減少 し、 189億600万円 となっている。
純資産については、前期末比 83億9,400万円減 の 258億8,000万円 と大幅に減少した。主な要因は、四半期純損失の計上に加え、前期の利益を原資とした配当金の支払いに伴う利益剰余金の減少である。この結果、 自己資本比率は前期末の 37.1% から 26.5% へと 10.6ポイント低下 している。配当政策については、年間の配当予想を 125円 としており、前期実績の 195円 からの大幅な減配を計画している。これは現在の厳しい収益状況と財務基盤の健全性維持を優先した判断といえる。
通期見通し
同社は通期の連結業績予想を据え置いている。第4四半期に注文住宅の引き渡しが集中する傾向があるため、現時点では売上高 2,090億円 、営業利益 47億円 の達成を目指すとしている。しかし、第3四半期までの営業損失が33億円を超えていることから、計画達成には最終四半期で約80億円規模の営業利益を積み上げる必要があり、ハードルは決して低くない。受注残の着実な工事進捗と、高利益率な不動産物件の売却が計画達成の鍵を握る。
| 項目 | 前回予想 | 当期目標 | 前期実績 (2025/5) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 209,000 | 209,000百万円 | 200,817百万円 |
| 営業利益 | 4,700 | 4,700百万円 | 4,113百万円 |
| 親会社株主に帰属する純利益 | 1,350 | 1,350百万円 | 1,478百万円 |
| 年間配当金 | 125円 | 125円 | 195円 |
リスクと課題
今後、同社が注視すべきリスク要因として以下の点が挙げられる。
- 住宅需要の冷え込み: 物価高騰や住宅ローン金利の先行き不透明感から、消費者の購買意欲がさらに減退するリスクがある。
- 建設コストの上昇: 建築資材の価格高騰や人件費の上昇が、低価格を強みとする同社の利益率を圧迫する懸念がある。
- 自己資本の低下: 継続的な赤字計上と配当支払いが重なったことで自己資本比率が低下しており、財務の安定性確保が課題となっている。
- 競争環境の変化: 大手ハウスメーカーとの価格競争に加え、中堅ビルダーによる攻勢により注文住宅のシェア維持が困難になるリスクがある。
タマホームの今次決算は、主力の注文住宅事業が市場環境の悪化により赤字から脱却できていない現状を露呈しました。特筆すべきは、赤字幅は縮小しているものの、 自己資本比率が 37.1% から 26.5% へと急低下 している点です。これは純損失の計上と並行して、高水準だった配当支払いが資本を削っているためであり、今回の 年間125円への大幅な減配判断 は、むしろ財務の維持に向けた緊急措置といえます。
- 強みは 不動産事業の収益貢献 です。分譲宅地や戸建分譲が好調で、住宅事業の赤字を一定程度相殺しています。従来の「家を建てる」会社から、土地を含めた「住まいを売る」モデルへの転換が試されています。
- 懸念点は、通期黒字化に向けた第4四半期の負担が極めて重いことです。注文住宅の引き渡しが期末に集中するビジネスモデルとはいえ、第3四半期までのビハインドをどこまで挽回できるかが注視されます。投資家にとっては、利益の質とともに、低下した財務の健全性が再び回復に向かうのかが焦点となるでしょう。
