業界ダイジェスト
株式会社タカラトミー の会社詳細
株式会社タカラトミー
タカラトミー
2026年3月期 通期

タカラトミー・2026年3月期、売上高は過去最高の2,704億円――「にじさんじ」コラボや大人向けトミカが牽引、純利益は減損で28.6%減

タカラトミー
過去最高売上
減損損失
トミカ
にじさんじ
玩具業界
増配予想
自己株買い
Kidults
海外展開
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2,705億円

+8.1%

通期予想

2,850億円

進捗率95%

営業利益

242億円

-2.5%

通期予想

260億円

進捗率93%

純利益

117億円

-28.6%

通期予想

180億円

進捗率65%

営業利益率

9.0%

玩具大手のタカラトミーは5月12日、2026年3月期の連結売上高が前期比 8.1%増2,704億5,500万円 となり、過去最高を更新したと発表しました。大人向け市場を開拓する「年齢軸」戦略が奏功し、VTuberグループ「にじさんじ」とのコラボ商品や「トミカ」のハイターゲット向けモデルが業績を牽引しました。一方で、米国子会社の のれん減損損失48億6,200万円 を特別損失として計上した(前年比28.6%減)影響により、親会社株主に帰属する当期純利益は 116億7,900万円 に留まりました。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、主力市場である日本での旺盛な需要が全体を押し上げました。売上高は 2,704億5,500万円(前期比 +8.1%)と好調でしたが、営業利益は戦略的な映像・人財投資の増加や関税影響により、242億4,600万円(前期比 -2.5%)と微減しました。経常利益については、為替差益の発生などにより 245億5,100万円(前期比 +2.2%)と増益を確保しています。

利益面での最大の懸念点は、米国子会社の業績不振に伴う減損処理です。第3四半期に「TOMY International, Inc.」にかかる のれんの減損損失 を計上したことで、最終的な当期純利益は 116億7,900万円(前期比 -28.6%)と大幅な減益となりました。しかし、売上高は着実に伸びており、本業の稼ぐ力は維持されている状況です。

指標2025年3月期実績2026年3月期実績前期比状況
売上高2,502億円2,704億円+8.1%過去最高
営業利益248億円242億円-2.5%投資先行
純利益163億円116億円-28.6%減損影響

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

日本セグメントは売上高 2,262億2,800万円(前期比 +7.2%)、営業利益 283億800万円(前期比 +2.3%)と、グループ全体の成長を支える柱となりました。トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」での VTuberグループ「にじさんじ」とのコラボ が爆発的なヒットを記録したほか、大人向けトミカ「トミカプレミアム」等の販売も伸長しました。インバウンド需要を取り込んだ「キデイランド」や、北米展開を開始した「ガチャ」などの周辺事業も好調に推移しています。

海外セグメントでは地域ごとに明暗が分かれました。アメリカズは、ベビー用品の販売が伸び悩んだものの、ライセンス収入の増加や利益率の高いオリジナル玩具の寄与により、営業利益 5億7,600万円 と前期の赤字から 黒字転換 を果たしました。一方、アジアセグメントは、北米向け生産子会社の出荷減少が響き、営業利益は 21億3,300万円(前期比 -20.1%)と苦戦しました。

セグメント売上高前期比営業利益前期比
日本2,262億円+7.2%283億円+2.3%
アメリカズ304億円-2.1%5億円黒字化
アジア675億円-1.1%21億円-20.1%
欧州77億円+9.0%△3億円継続
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
日本2,262億円84%283億円12.5%
アメリカズ304億円11%6億円1.9%
アジア675億円25%21億円3.2%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 24億900万円 減少の 1,633億6,000万円 となりました。これは自己株式の取得による純資産の変動や、のれんの減損による固定資産の減少が主な要因です。一方で、自己資本比率は 68.0%(前期末は64.2%)に上昇しており、依然として 強固な財務基盤 を維持しています。

株主還元については、2026年3月期の配当金を年間 64円(中間32円、期末32円)とし、安定的な配当を継続しました。また、2026年2月には自己株式の取得を決議しており、資本効率の向上と株主への利益還元に積極的な姿勢を見せています。次期の配当予想については、業績の回復を見込み年間 70円 への増配を計画しています。

リスクと課題

今後の懸念材料として、以下のリスクが挙げられています。

  • 米国通商政策と景気動向: 米国の追加関税やインフレに伴う消費者の買い控えが、北米事業の収益性を圧迫するリスクがあります。
  • 少子化と競争激化: 国内の少子化進行に対し、大人向け市場(Kidults)の獲得競争が激化しており、継続的なヒット商品の創出が求められます。
  • 為替・地政学リスク: 円安や原材料費の高騰、不安定な国際情勢が製造コストや物流網に与える影響を会社側は注視しています。

通期見通し

2027年3月期の連結業績は、売上高 2,850億円(前期比 +5.4%)、当期純利益 180億円(前期比 +54.1%)と、大幅な増収増益を見込んでいます。今期計上した減損損失という一時的要因が解消されることに加え、国内IP(知的財産)の海外展開をさらに加速させる方針です。特に「トミカ」55周年に関連した施策や、新型アミューズメントマシンの稼働が寄与する見通しです。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想変化率
売上高2,704億円2,850億円+5.4%
営業利益242億円26,0億円+7.2%
純利益116億円180億円+54.1%
AIアナリストの視点

タカラトミーの今決算は、実態としての「稼ぐ力」の強さと、過去の負の遺産処理という二面性がはっきりと出た内容です。特筆すべきは、国内での「年齢軸(大人向け)」戦略の完全な定着です。子供向け玩具に依存せず、TCGやハイターゲット向けトミカ、ガチャといった高単価・多頻度購入のカテゴリーで成功を収めている点は、少子化が進む日本市場において非常に強力な生存戦略と言えます。

一方で、米国事業での巨額減損は、海外M&Aの難しさを示しています。しかし、アメリカズセグメントが営業黒字に転換したことはポジティブな兆しであり、次期予想で純利益がV字回復を見込んでいる点は、市場からも一定の評価を得るでしょう。就活生にとっては、玩具メーカーという枠を超え、IP(知的財産)を活用した多角的なエンタメ企業へと変貌を遂げている点は、将来性を測る上で重要なポイントです。