業界ダイジェスト
株式会社バンダイナムコホールディングス の会社詳細
株式会社バンダイナムコホールディングス
バンダイナムコホールディングス
2026年3月期 通期

バンダイナムコ・2026年3月期FY、売上高1.3兆円で増収増益——ガンプラ・カード好調でトイホビー事業が過去最高水準

増収増益
IP軸戦略
ガンダム
ガンプラ
自社株買い
増配
ハイターゲット商材
2026年3月期
玩具業界
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

1.3兆円

+8.6%

通期予想

1.4兆円

進捗率100%

営業利益

1,895億円

+5.2%

通期予想

1,850億円

進捗率102%

純利益

1,407億円

+8.8%

通期予想

1,300億円

進捗率108%

営業利益率

14.1%

バンダイナムコホールディングスの2026年3月期通期連結決算は、売上高が前期比 8.6%増1兆3,482億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同 8.8%増1,406億円 となり、<u>増収増益で着地した</u>。世界的な「ガンダム」シリーズの人気拡大や、ハイターゲット層向け商品の国内外での浸透により、トイホビー事業が収益を大きく牽引。デジタル事業での開発費負担などはあったものの、グループ全体の「IP軸戦略」が奏功し、強固な業績基盤を示した。

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、売上高が 1,348,246百万円(前期比 8.6%増)、営業利益が 189,517百万円(同 5.2%増)と、主要指標で前期を上回った。原材料価格や物価上昇という逆風はあったものの、映像配信の普及を背景に日本発のIP(知的財産)への需要がグローバルで高まったことが追い風となった。

特に、グループの最重要戦略である 「IP軸戦略」 が各事業セグメントで効果を発揮した。ガンダムシリーズの新作映像ヒットが関連商品の販売を押し上げ、セグメントを跨いだ横断的な展開が収益の最大化に寄与した。経常利益についても 201,923百万円(同 8.3%増)と、持分法投資損益の改善などにより 2,000億円 の大台を突破している。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績前期比
売上高1,241,513百万円1,348,246百万円+8.6%
営業利益180,229百万円189,517百万円+5.2%
経常利益186,470百万円201,923百万円+8.3%
当期純利益129,301百万円140,651百万円+8.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

主力の トイホビー事業 は、売上高 673,968百万円(前期比 12.9%増)、セグメント利益 126,938百万円(同 24.2%増)と、驚異的な成長を見せた。ガンプラやコレクターズフィギュア、一番くじといった大人向け(ハイターゲット)商材が国内外で好調だったほか、「たまごっち」やカード商材が市場を席巻した。生産体制の強化とグローバルな流通網の整備が、需要の取りこぼしを防いだ格好だ。

デジタル事業 は、売上高 476,592百万円(前期比 4.6%増)と増収を確保したものの、セグメント利益は 56,682百万円(同 17.3%減)と二桁減益に沈んだ。ネットワークコンテンツでは新作アプリ「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」が好スタートを切ったが、家庭用ゲームにおける前年同期とのタイトル構成の差異や、次期大型タイトルに向けた開発費の計上などが利益を押し下げた。

映像音楽事業(旧IPプロデュース事業)は、売上高 95,506百万円(前期比 5.3%増)、利益 12,181百万円(同 3.4%増)と安定して推移した。「機動戦士ガンダム」シリーズの新作劇場版や、ライブイベントの再開が寄与している。また、アミューズメント事業 も既存店売上高が前期比 107.0% と好調で、利益は 10,106百万円(同 19.8%増)と大幅な伸びを記録した。

セグメント名売上高営業利益営業利益率
トイホビー673,968126,93818.8%
デジタル476,59256,68211.9%
映像音楽95,50612,18112.8%
アミューズメント152,74710,1066.6%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
トイホビー事業6,740億円50%1,269億円18.8%
デジタル事業4,766億円35%567億円11.9%
映像音楽事業955億円7%122億円12.8%
アミューズメント事業1,527億円11%101億円6.6%

財務状況と資本政策

期末時点の総資産は 1,190,494百万円 となり、前期末から 87,857百万円 増加した。現金及び預金が 44,802百万円 増加した一方で、自己株式の取得などにより純資産も 861,424百万円 へと積み上がった。この結果、自己資本比率は前期末の 71.9% から 72.3% へと上昇し、極めて強固な財務健全性を維持している。

株主還元については、「総還元性向50%以上」 の方針に基づき、年間配当を前期の71円から2円増配の 73円(中間23円、期末50円)とした。また、機動的な資本政策として、約 247億円 を投じて 600万株 の自社株買いを実施。資本効率(ROE)の向上と、株主への利益還元を同時に推進する姿勢を鮮明にしている。

通期見通し

2027年3月期の通期見通しについては、売上高 1,350,000百万円(前期比 0.1%増)、営業利益 185,000百万円(同 2.4%減)と、慎重な予想 を打ち出した。世界各地での政情不安や物価上昇に伴う消費動向の変化をリスクとして織り込んでいる。

利益面での微減予想は、中長期的な成長に向けた 「IP軸戦略」の深化 に伴う投資や、クオリティを重視した次世代タイトルへの開発投資を継続するためだ。2025年4月からスタートした新中期計画では、2028年3月期に売上高1兆4,500億円、営業利益2,000億円を目指しており、今期はそのための「仕込み」の期間と位置づけている。

項目2026年3月期実績2027年3月期予想増減率
売上高1,348,246百万円1,350,000百万円+0.1%
営業利益189,517百万円185,000百万円-2.4%
親会社株主純利益140,651百万円130,000百万円-7.6%

リスクと課題

同社が挙げている主な経営リスクは以下の通りである。これらは国内外の不透明な経済環境に起因するものが中心となっている。

  • 外部環境リスク: 世界的な政情不安、米国の通称政策の影響、為替変動による収益への打撃。
  • 事業リスク: 原材料価格の高騰、エネルギーコストの上昇による生産・輸送コストの増加。
  • 競争環境: ゲーム市場におけるタイトル開発の大型化・長期化に伴うヒット率の変動リスク。
  • IPの維持・育成: 主力IPへの依存度の高さと、新規IP創出の不確実性。
AIアナリストの視点

バンダイナムコHDの強みは、何と言っても「ガンダム」を筆頭とする強力なIP群を、玩具・ゲーム・映像・店舗といった多角的なチャネルで展開できる点にあります。今回の決算では、特にデジタル(ゲーム)事業の減益を、トイホビー事業の圧倒的な利益成長がカバーするという、ポートフォリオ経営の理想的な形が見て取れます。

投資家としての注目点は、2027年3月期の減益予想をどう捉えるかです。これは将来の大型タイトルへの「投資」であり、悲観すべき材料ではありませんが、市場の期待値が極めて高い企業だけに、進捗には注目が集まるでしょう。

就活生にとっては、同社が「Fun for All into the Future」というパーパスを掲げ、単なる玩具メーカーから、世界中のファンと繋がる「エンターテインメント企業」へと進化しようとしている戦略(中期計画)を理解することが重要です。特に海外売上比率50%以上を目指すグローバル展開は、今後の大きな成長エンジンとなるはずです。