業界ダイジェスト
株式会社レゾナック・ホールディングス の会社詳細
株式会社レゾナック・ホールディングス
レゾナック・ホールディングス
2026年12月期 第1四半期

レゾナック・2026年12月期Q1、コア営業利益2.3倍の336億円——AI向け半導体材料が牽引、上期予想を上方修正

レゾナック
増益
半導体材料
AI需要
上方修正
構造改革
モビリティ
定期修繕
IFRS
化学業界
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

3,079億円

-4.1%

通期予想

1.3兆円

進捗率24%

営業利益

221億円

+58.4%

通期予想

1,050億円

進捗率21%

純利益

153億円

+74.6%

通期予想

770億円

進捗率20%

営業利益率

7.2%

化学大手のレゾナック・ホールディングスが発表した2026年12月期第1四半期決算は、本業の稼ぎを示すコア営業利益が前年同期比126.4%増の336億円と大幅な増益を記録しました。AI(人工知能)向けの先端半導体材料が強力な牽引役となったほか、モビリティ事業の回復も寄与し、石油化学事業の定期修繕による減収影響を利益面で補いました。同社は足元の好調を受け、上期の業績予想を上方修正しており、構造改革の成果が鮮明になっています。

業績のポイント

当第1四半期の連結業績は、売上収益が 3,078億9,200万円(前年同期比 4.1%減)となった一方で、収益性は劇的に改善しました。最重要指標であるコア営業利益は 336億1,600万円(同 126.4%増)に達し、親会社の所有者に帰属する四半期利益も 152億8,300万円(同 74.6%増)と大幅な伸びを見せています。

売上高が微減となった主な要因は、旧昭和電工系の「クラサスケミカル」セグメントにおいて4年に一度の大型定期修繕が実施されたことや、事業譲渡に伴う連結除外の影響です。しかし、半導体・電子材料セグメントがこれを上回る利益成長を達成しました。特にAI等の先端用途向け半導体材料が着実に成長し、マージンの高い製品構成へシフトしたことが利益を押し上げています。

項目2025年12月期 Q12026年12月期 Q1前年同期比
売上収益3,211億円3,079億円△4.1%
コア営業利益148億円336億円+126.4%
営業利益140億円221億円+58.4%
四半期利益88億円153億円+74.6%

営業利益(IFRS)については、退職給付制度の改定に伴う非経常的な損失を計上した(前年同期比増)ものの、コア営業利益の力強い伸びがこれを十分にカバーしました。世界経済が緩やかに回復する中、先端半導体への集中投資という同社の戦略が結実しつつあることを示す内容となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力5セグメントのうち、半導体・モビリティ・イノベーション材料・ケミカルの4事業が増収を確保しました。特に利益貢献が顕著なのは半導体関連です。

半導体・電子材料セグメントは、売上収益 1,346億6,200万円(前年同期比 21.1%増)、コア営業利益 339億9,700万円(同 73.7%増)と圧倒的な成長を遂げました。メモリ市況の緩やかな回復に加え、AI向け先端半導体後工程材料の販売数量が大幅に増加したことが主因です。データセンター向けの需要も堅調に推移しており、同社の成長エンジンとしての地位を固めています。

モビリティセグメントは、タイにおける自動車市場の回復や顧客需要の取り込みにより、コア営業利益が 29億2,300万円(同 159.4%増)とV字回復を見せました。また、ケミカルセグメントについても、黒鉛電極の販売数量回復と構造改革の効果により、赤字幅が前年の △63億円から △16億円へと大幅に縮小しています。

一方で、クラサスケミカルセグメントは売上収益 517億1,100万円(同 34.3%減)と苦戦しました。これは前述の通り、石油化学プラントの4年に一度の大規模定期修繕による操列停止が影響したものであり、一過性の要因として捉えられています。

セグメント売上収益 (億円)前年比コア営業利益 (億円)前年比
半導体・電子材料1,347+21.1%340+73.7%
モビリティ473+0.9%29+159.4%
イノベーション材料227+3.4%24+14.0%
ケミカル408+8.3%△16赤字縮小
クラサスケミカル517△34.3%△5減益
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
半導体・電子材料1,347億円44%340億円25.2%
モビリティ473億円15%29億円6.2%
イノベーション材料227億円7%24億円10.7%
ケミカル408億円13%-1,596百万円-3.9%
クラサスケミカル517億円17%-539百万円-1.0%

財務状況と資本政策

財務基盤については、資産合計が前期末比 26億円増2兆1,093億円 となりました。売上債権の減少があった一方で、現金及び現金同等物が 2,819億円 へと増加(前期末比 200億円増)しており、手元流動性は厚みを増しています。また、円安の進行により在外営業活動体の換算差額が増加したことで、自己資本も着実に積み上がっています。

有利子負債残高は9,633億円と、前期末の9,695億円から微減しました。統合後の有利子負債圧縮は経営の重要課題の一つですが、着実なキャッシュ生成により財務健全化を進めています。親会社所有者帰属持分比率は 33.7% と、前期末の33.2%から0.5ポイント改善しました。

株主還元については、年間配当65円の予想を据え置いています。中長期的な成長投資と財務体質の改善を優先しつつ、安定的な配当を維持する方針です。2026年4月には、ポートフォリオ改革の一環として「自動車成形部材事業」の譲渡を完了しており、資本効率の向上に向けた資産の入れ替えも着実に実行されています。

通期見通し

2026年12月期の通期予想については、売上収益 1兆3,100億円、コア営業利益 1,400億円 を据え置いていますが、上期(第2四半期累計)の予想を上方修正しました。半導体材料の需要が想定を上回って推移していることが背景にあります。下期以降は不透明な外部環境を慎重に見極める方針ですが、現時点では前期実績を大きく上回る利益成長を見込んでいます。

項目前回予想(上期)今回修正(上期)前期実績(上期)
売上収益6,450億円6,600億円6,155億円
コア営業利益520億円740億円346億円
営業利益370億円570億円326億円

リスクと課題

好調な決算の一方で、同社は以下のリスク要因を注視しています。

  • 原料価格の変動: 国産ナフサ価格は65,700円/KLと前年同期比で下落していますが、中東情勢の影響による原油価格の再上昇はコスト圧迫要因となります。
  • 為替レートの影響: Q1平均は156.9円/$と円安に推移し、輸出や外貨換算でプラスに働きましたが、急激な円高反転は利益を押し下げるリスクがあります。
  • 半導体市況の持続性: AI向けは強力ですが、SiCエピタキシャルウェハーの一部在庫調整など、製品ごとの需要の濃淡には注意が必要です。
  • 構造改革の完遂: 石炭化学や一部事業の譲渡・再編が計画通りに進むか、実行力が問われます。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、半導体・電子材料セグメントの利益率の高さです。コア営業利益率は約25%に達しており、単なる素材メーカーから「高付加価値な先端材料パートナー」への変貌が数字に現れています。

懸念された旧昭和電工側の石油化学(クラサス)についても、定期修繕という一過性要因を除けば、ケミカル事業の赤字縮小など底打ち感が見えます。一方で、有利子負債は約9,600億円と依然として重く、成長投資を継続しながらいかにDEレシオを改善させていくかが、投資家が長期的に評価する上での焦点となるでしょう。

  • AIブームという追い風を確実に利益に変換できている点は高く評価できます。
  • 自動車成形部材の譲渡など、低収益事業の切り離しスピードも加速しており、経営陣の「選択と集中」への意志の強さが感じられます。