業界ダイジェスト
株式会社丸井グループ の会社詳細
株式会社丸井グループ
丸井グループ
2026年3月期 通期

丸井グループ・2026年3月期通期、営業利益13%増の502億円——5期連続の増収増益、EPS・取扱高は過去最高を更新

丸井グループ
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増収増益
過去最高益
連続増配
フィンテック
小売再生
株主還元
ROE
LTV経営
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2,769億円

+8.8%

通期予想

2,960億円

進捗率94%

営業利益

502億円

+12.8%

通期予想

550億円

進捗率91%

純利益

285億円

+7.1%

通期予想

295億円

進捗率97%

営業利益率

18.1%

丸井グループが発表した2026年3月期通期決算は、売上収益が前期比8.8%増2,768億円、営業利益が同12.8%増502億円となり、5期連続の増収増益を達成しました。グループ総取扱高は5兆3,921億円、1株当たり当期純利益(EPS)は158.4円と共に過去最高を更新しており、小売・フィンテックの両セグメントが牽引する形で力強い成長を遂げています。特にフィンテック事業における「家計シェア最大化」戦略や、小売事業での「売らない店」への転換が着実に成果を結び、自己資本利益率(ROE)は11.6%と株主資本コストを大きく上回る高水準を維持しています。

業績のポイント

当期の連結業績は、売上収益から純利益まで全ての主要指標で前年を上回る好調な着地となりました。売上収益は2,768億6,200万円(前期比+8.8%)、営業利益は502億1,100万円(前期比+12.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は284億7,600万円(前期比+7.1%)を記録しています。増益の背景には、小売セグメントにおける体験型テナントへのカテゴリー転換による収益改善と、フィンテックセグメントでのカードクレジット取扱高の拡大があります。

経営効率を示す指標も改善しており、ROE(自己資本利益率)は11.6%(前期比+1.0ポイント)、ROIC(投下資本利益率)は4.0%(同+0.2ポイント)と共に上昇しました。これは同社が掲げる資本コストを上回る利益創出が着実に実行されていることを示しています。また、将来の収益の源泉となる継続的な収入(リカーリングレベニュー)は売上総利益の67.1%を占めており、安定した収益基盤の構築が進んでいます。

項目前期実績当期実績前年同期比
売上収益2,543億円2,768億円+8.8%
営業利益445億円502億円+12.8%
経常利益399億円426億円+6.8%
当期純利益265億円284億円+7.1%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

小売セグメントは、売上収益810億円(前期比+7.3%)、営業利益112億円(前期比+30%)と大幅な増益を達成しました。同社が進める「売ることを目的としない体験型テナント」や飲食・サービスなどの非物販テナントの面積構成比が70%(前年比+5%)まで拡大し、店舗のバリューアップが奏功しました。オンライン出店サービス「OMEMIE」の活用により未稼働区画が減少し、5期連続の増益に寄与しています。

フィンテックセグメントは、売上収益1,958億円(前期比+9.5%)、営業利益470億円(前期比+7%)となりました。戦略的に進める「家計シェア最大化」により、家賃払いや公共料金の定期払いが伸長し、カードクレジット取扱高は過去最高の4兆9,640億円に達しました。特にアニメやゲームとのコラボレーションによる「好き」を応援するカードの新規会員数が38万人と好調で、LTV(生涯利益)の高い若年層の取り込みに成功しています。

セグメント売上収益前期比営業利益前期比
小売810億円+7.3%112億円+30%
フィンテック1,958億円+9.5%470億円+7%
全社・消去△89億円-△80億円-
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
小売810億円29%112億円13.8%
フィンテック1,958億円71%470億円24.0%

財務状況と資本政策

資産合計は、カード取扱高の拡大に伴う営業債権(割賦売掛金・営業貸付金)の増加により、前期末から879億円増加し1兆1,412億円となりました。自己資本比率は21.4%(前期比△2.0ポイント)と低下していますが、これは成長投資に向けた有利子負債の増加によるものです。一方で、株主還元については極めて積極的な姿勢を維持しており、当期の年間配当は前期から25円増配の131円(14期連続増配)となりました。

資本政策の新たな柱として、2031年3月期に向けた長期目標では「ROE15%以上」を掲げています。当期は77億円の自社株買いを実施し、配当と合わせた株主資本配当率(DOE)は10.1%に達しました。同社は「高成長」と「高還元」の両立を標榜しており、今後もEPSの成長に連動した継続的な増配と、機動的な自己株式取得を組み合わせて企業価値の向上を目指す方針です。

リスクと課題

経営陣が注視する主なリスクとして、金利上昇による金融費用の増加が挙げられています。これに対し、同社は2025年10月より分割・リボ手数料率の変更を実施し、収益性の確保を図る方針です。また、調達金利の抑制に向けて平均調達年限の短縮や格付機関との対話強化を進めています。

事業面では、既存の小売ビジネスの転換が順調な一方で、将来の成長を担う「未来投資」の成果創出が課題となります。特に人的資本への投資(当期実績97億円)やDX推進による専門人材の採用が、中長期的な収益性にどう結びつくかが焦点となります。外部環境では、個人消費の動向やクレジットカード業界の競争激化、キャッシュレス決済手段の多様化が事業リスクとして認識されています。

通期見通し

2027年3月期の通期連結業績予想は、売上収益2,960億円(前期比+6.9%)、営業利益550億円(同+9.5%)と、さらなる増収増益を見込んでいます。小売セグメントでの新規テナント導入と、フィンテックセグメントでの定期払い利用のさらなる拡大を織り込んでいます。

配当についても、15期連続の増配となる年間134円(前期比+3円)を予定しており、株主還元への強いコミットメントを継続します。2031年までの経営ビジョン「『好き』が駆動する経済」の実現に向け、既存事業のブラッシュアップと新規事業への投資を加速させる計画です。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績2027年3月期予想
売上収益2,543億円2,768億円2,960億円
営業利益445億円502億円550億円
当期純利益265億円284億円295億円
1株当たり配当106円131円134円
AIアナリストの視点

丸井グループの決算は、伝統的な「百貨店モデル」から「金融×体験型小売」への構造転換が完全に成功したことを象徴しています。特に注目すべきは小売セグメントの営業利益率の改善で、従来の手数料ビジネスから、より安定した不動産賃貸に近い形態へのシフトが利益の底上げに寄与しています。

一方で、フィンテック事業はグループの成長エンジンとして非常に強力ですが、金利上昇局面における調達コストの管理が今後の最大の焦点となります。同社が「家計シェア最大化」と呼ぶ戦略は、顧客の生活インフラ(家賃・公共料金)に深く入り込むことで解約率を下げ、高いLTVを維持する優れたモデルです。

投資家視点では、DOE(株主資本配当率)を指標とした積極的な還元姿勢が評価されます。14期連続増配という実績は、国内上場企業の中でも屈指の安定性を誇り、中長期の資産形成を目指す個人投資家にとっても魅力的な銘柄と言えるでしょう。