株式会社クラレ の会社詳細
株式会社クラレ
クラレ
2025年12月期 通期

クラレ・2025年12月期通期、純利益76%減の **74億円** —— 減損損失が響くも、次期は大幅増益と増配を予想

減収減益
大幅増益予想
増配
記念配当
自社株買い
減損損失
化学業界
構造改革
株主還元
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

8,084億円

-2.2%

通期予想

8,500億円

進捗率95%

営業利益

589億円

-30.8%

通期予想

700億円

進捗率84%

純利益

75億円

-76.5%

通期予想

400億円

進捗率19%

営業利益率

7.3%

売上高は前年比 2.2%減、営業利益は 30.8%減 と苦戦しました。イソプレン事業などの 減損損失 が利益を大きく押し下げましたが、本業の稼ぐ力は維持しています。次期は創立100周年の 記念配当 や100億円の 自社株買い を発表し、積極的な株主還元姿勢を示しました。

業績のポイント

当期の売上高は 8,084億円(前年比 2.2%減)、営業利益は 588億円(同 30.8%減)となりました。

  • 利益が大きく減った最大の理由は、特別損失として 296億円減損損失 を出したことです。イソプレン事業などの収益性が低下したため、資産の価値を削り落としました。
  • 本業では、欧米経済の停滞で看板製品の「ポバール樹脂」の需要が低迷しました。
  • 原燃料価格の上昇や、米国工場でのトラブルによる生産停止もマイナスに働きました。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

  • ビニルアセテート: 売上高 4,044億円(前年比 2.5%減)。欧州の需要低迷や米国工場の不具合で利益が 28.6%減 と大きく落ち込みました。
  • イソプレン: 売上高 803億円(前年比 5.3%増)。タイの新拠点が動き出し売上は伸びましたが、中国の需要不足や競争激化で 48億円 の営業赤字となりました。
  • 機能材料: 売上高 2,069億円(前年比 0.5%減)。米国の寒波や生産トラブルが響き、利益は 16.4%減 でした。
  • 繊維: 売上高 607億円(前年比 3.1%減)。売上は減りましたが、高付加価値品へのシフトが進み、利益は 118.1%増 と倍増しました。
  • トレーディング: 売上高 687億円(前年比 1.7%増)。スポーツ用品向けなどが堅調で、利益は 2.1%増 と安定しています。
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ビニルアセテート4,045億円50%625億円15.5%
イソプレン804億円10%-4,864百万円
機能材料2,069億円26%108億円5.2%
繊維607億円8%26億円4.3%
トレーディング688億円9%60億円8.8%

財務状況と資本政策

総資産は 1兆3,035億円 となり、前期より 122億円 増えました。自己資本比率は 57.0%(前期は 59.2%)と健全な水準を保っています。

  • 配当は年間 54円 を維持しました。利益が減ったため配当性向は 228.7% と一時的に高まっています。
  • 自社株買い を継続しており、当期は約300億円分を取得しました。
  • さらに本日、2026年5月までに最大 100億円 の追加自社株買いを行うと決めました。

通期見通しと戦略トピック

2026年12月期の売上高は 8,500億円(前年比 5.1%増)、純利益は 400億円(同 435.6%増)と急回復を見込んでいます。

  • 創立100周年を迎え、年間配当を 64円(前期比 10円増)に増やす予定です。これには記念配当10円が含まれます。
  • PASSION 2026 という経営計画のもと、成長分野への投資を加速させます。
  • 一方で、改善が見込めない事業からは 撤退や縮小 を進め、収益力を高める方針です。

リスクと課題

  • 中国市場の停滞: 不動産市況の低迷により、建築向け材料などの需要回復が遅れるリスクがあります。
  • 地政学リスク: 貿易政策の変化や紅海などの物流混乱が、コスト増につながる恐れがあります。
  • 原燃料価格: 天然ガスやナフサの価格が想定を超えて上がると、利益を圧迫します。
AIアナリストの視点

今回の決算は、将来の懸念を「減損損失」として一気に処理し、2026年の創立100周年に向けて 「膿を出し切った」 という印象が強い内容です。

数値だけ見ると純利益76%減と衝撃的ですが、その裏で10円の増配予想と100億円の自社株買いを発表した点は、投資家にとって非常にポジティブなメッセージです。会社側が「次期からの反転」に強い自信を持っている証拠と言えます。

就活生にとっては、同社が「ポバール」という世界トップシェア製品に安住せず、不採算事業の整理や高付加価値化(繊維部門の利益倍増など)をスピーディーに進めている姿勢に注目すべきでしょう。景気変動に強い体質への転換期にある企業として評価できます。