
INPEX・2025年12月期通期、純利益7.8%減の3,938億円——油価下落が響くも100円へ増配、次期は累進配当を導入
売上高
2.0兆円
-11.2%
通期予想
1.9兆円
営業利益
1.1兆円
-10.7%
通期予想
9,570億円
純利益
3,938億円
-7.8%
通期予想
3,300億円
営業利益率
56.5%
売上・利益ともに前期を下回りました。主な原因は原油価格の下落です。一方、経営基盤は安定しており、配当は前期の86円から100円へ増やしました。新中期経営計画では、さらなる株主還元の強化を打ち出しています。
業績のポイント
売上収益は 2兆113億円(前年比 11.2%減)となりました。
営業利益は 1兆1,354億円(前年比 10.7%減)です。
純利益は 3,938億円(前年比 7.8%減)となりました。
利益が減った最大の理由は、原油の販売価格が下がったためです。
ブレント原油は1バレル 70ドル台 で推移しました。
前期より10ドル以上安くなり、売上を大きく押し下げました。
円安による利益の底上げ効果もありましたが、油価安を補えませんでした。
業績推移(通期)
セグメント別動向
- 国内石油・天然ガス:売上は 1,921億円(11.4%減)ですが、利益は 224億円(64.3%増)と大幅に伸びました。販売量は減りましたが、コストを抑えたことが効いています。
- 海外(イクシス):売上は 3,150億円(15.6%減)でした。一方、利益は 2,708億円(9.1%増)です。探鉱費などの費用が減り、増益を確保しました。
- 海外(その他):売上は 1兆4,869億円(10.3%減)、利益は 1,317億円(20.5%減)です。世界的な油価安の影響を最も大きく受けました。
- その他(再生エネ等):電力事業などが含まれます。営業損益は 287億円の赤字(前期は145億円の赤字)となりました。
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 国内O&G | 1,922億円 | 10% | 225億円 | 11.7% |
| 海外O&G(イクシス) | 3,151億円 | 16% | 2,708億円 | 86.0% |
| 海外O&G(その他) | 1.5兆円 | 74% | 1,318億円 | 8.9% |
財務状況と資本政策
資産合計は 7兆7,351億円 となり、前期から 3,543億円 増えました。
自己資本比率は 61.4% と、非常に高い水準を維持しています。
株主還元を一段と強めています。
年間配当は前期より14円多い 100円 を達成しました。
さらに 904億円 の自社株買いも実施済みです。
新方針では「1株あたり90円」を起点とする累進配当を導入します。
総還元性向は 50%以上 を目指し、投資家への還元を重視する構えです。
リスクと課題
- 原油・ガス価格の変動:市場価格が下がると、業績に直接マイナスとなります。
- 為替の影響:円高が進むと、円建ての利益が目減りします。
- プロジェクトの遅延:海外での開発スケジュールが遅れるリスクがあります。
- 脱炭素の流れ:世界的な環境規制が、長期的な需要に影響する可能性があります。
通期見通し
2026年12月期の通期予想は以下の通りです。
売上収益: 1兆8,930億円(前期比 5.9%減)
純利益: 3,300億円(前期比 16.2%減)
前提となる油価を 63ドル、為替を 151円 と慎重に見積もっています。
減益予想ではありますが、配当はさらに増やして 108円 とする計画です。
INPEXの決算は、原油価格の下落という逆風の中でも、コスト管理と円安効果で利益の落ち込みを最小限に食い止めた印象です。
特筆すべきは株主還元の姿勢です。減益決算でありながら増配を継続し、次期もさらなる増配(108円)を予告しています。新中期経営計画で掲げた「累進配当」の導入は、業績が市況に左右されやすい同社にとって、投資家を安心させる強いメッセージとなります。
就活生にとっては、従来の石油・ガス開発だけでなく、セグメント情報にある「再生可能エネルギー」や「水素事業」への投資加速に注目です。化石燃料への依存度をどう下げていくかが、同社の長期的な成長性を左右する焦点となるでしょう。
