株式会社INPEX の会社詳細
株式会社INPEX
INPEX
2025年12月期 通期

INPEX・2025年12月期通期、営業利益10.7%減の1兆1,354億円——油価下落響くも累進配当を継続、次期も増配へ

INPEX
石油開発
減収減益
増配
累進配当
株主還元
原油価格
イクシス
アバディLNG
エネルギー
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2.0兆円

-11.2%

通期予想

1.9兆円

進捗率106%

営業利益

1.1兆円

-10.7%

通期予想

9,570億円

進捗率119%

純利益

3,938億円

-7.8%

通期予想

3,300億円

進捗率119%

営業利益率

56.5%

日本最大の石油・天然ガス開発企業であるINPEX(旧国際石油開発帝石)の2025年12月期連結決算は、売上収益が前年比 11.2%減2兆113億円 、営業利益が同 10.7%減1兆1,354億円 となりました。世界的なインフレ抑制に向けた利上げや経済停滞懸念により、指標となるブレント原油価格が下落したことが主因です。一方で、同社は 累進的な株主還元方針 を堅持しており、年間配当を前期の86円から 100円 へ大幅に増配したほか、次期も 108円 への増配を計画しています。

INPEX・2025年12月期通期、営業利益10.7%減の1兆1,354億円——油価下落響くも累進配当を継続、次期も増配へ

業績のポイント

2025年12月期の業績は、外部環境の悪化が直撃する形となりました。売上収益は 2兆113億円(前年比-11.2%) 、営業利益は 1兆1,354億円(同-10.7%) 、親会社株主に帰属する当期純利益は 3,938億円(同-7.8%) となっています。最大の減益要因は、主力製品である原油の平均販売価格が1バレルあたり 70.69ドル と、前年の81.20ドルから 12.9%下落 したことです。

また、為替相場が前期の1ドル=151円台から平均 149.60円 へと円高方向に振れたことも、円建ての収益を押し下げる要因となりました。一方で、販売数量面では主力の豪州イクシス・プロジェクトなどで原油販売量が前年比 4.1%増 と堅調に推移し、価格下落による減収分を一部カバーしました。厳しい外部環境下でも、生産活動を安定的に維持することで、 1兆円を超える高い営業利益水準 を確保しています。

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

各セグメントの動向は以下の通りです。主力である海外事業が価格変動の影響を大きく受けた一方、国内事業は堅実な動きを見せました。

国内石油・天然ガス事業 は、売上収益が 1,921億円(前年比-11.4%) と減少したものの、セグメント利益は 224億円(同+64.3%) と大幅な増益を達成しました。販売数量の減少による減収を、売上原価の低減や効率的な操業によって補った形です。

海外石油・天然ガス事業(イクシス) は、売上収益が 3,150億円(前年比-15.6%) となりましたが、セグメント利益は 2,708億円(同+9.1%) と増益を確保しました。これは主に探鉱費の減少や税制上の要因が寄与したものです。

セグメント売上収益前年比セグメント利益前年比
国内O&G1,921億円△11.4%224億円+64.3%
海外O&G(イクシス)3,150億円△15.6%2,708億円+9.1%
海外O&G(その他)1兆4,869億円△10.3%1,317億円△20.5%
その他(再エネ等)171億円△2.9%△287億円
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内O&G1,922億円10%225億円11.7%
海外O&G(イクシス)3,349億円17%2,708億円80.9%
海外O&G(その他)1.5兆円74%1,318億円8.9%

財務状況と資本政策

財務基盤は引き続き強固で、総資産は前期末比 3,543億円増7兆7,351億円 に拡大しました。キャッシュフロー面では、営業活動により 6,938億円 の現金を創出しましたが、イクシスやアバディLNGなどの次世代プロジェクトへの投資拡大により、投資キャッシュフローは 6,687億円の支出 となっています。

同社は2025年2月に「2025-2027中期経営計画」を発表し、 累進配当の導入と総還元性向50%以上 の目標を掲げました。これに基づき、当期の年間配当は 100円(配当性向30.2%) とし、さらに自己株式取得も機動的に実施しています。国策企業としての安定性を背景に、株主への還元意欲を一段と強める姿勢が鮮明になっています。

通期見通し

2026年12月期の業績予想については、保守的な外部環境を前提とした減収減益を見込んでいます。想定油価(ブレント原油)を1バレルあたり 63ドル 、為替レートを1ドル= 151円 と設定しています。油価前提を当期の実績(約70ドル)から引き下げたことが、予想数値の減少に反映されています。

項目2025年12月期実績2026年12月期予想増減率
売上収益2兆113億円1兆8,930億円△5.9%
営業利益1兆1,354億円9,570億円△15.7%
親会社株主純利益3,938億円3,300億円△16.2%
年間配当金100円108円+8.0%

業績予想は減益ながらも、配当は前期の100円から 8円増配の108円 を予定しており、業績の変動に左右されず配当を維持・増加させる 累進配当方針 を実行する計画です。

リスクと課題

同社の事業は外部要因による影響を避けられず、以下のリスクを注視する必要があります。

  • 商品価格の変動: 原油・天然ガス価格の下落は直接的に利益を圧迫します。2026年度予想では油価下落を織り込んでいますが、さらなる下落は下方修正リスクとなります。
  • 地政学リスク: 産油国での紛争や制裁は、供給網の寸断やコスト増を招く可能性があります。
  • 脱炭素への対応: エネルギー転換に伴う長期的な需要減退に対し、CCS(二酸化炭素回収・貯留)や水素、再生可能エネルギーへの投資(その他セグメント)をいかに収益化するかが中長期的な課題です。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、業績が減益局面にあるにもかかわらず、配当を大幅に引き上げた点です。これは、同社が「ボラティリティの高いエネルギー企業」から「安定した配当成長を提供する企業」への脱皮を図っていることを示唆しています。

  • 強み: 1兆円を超える圧倒的な営業利益。ネット有利子負債のコントロールが効いており、キャッシュ創出力が高い。
  • 懸念点: 「その他」セグメント(再エネ・水素等)の赤字が 287億円 へ拡大しており、脱炭素投資が収益貢献するまでの足踏み状態が続いている。
  • 注目点: 2026年予想の油価前提「63ドル」は比較的保守的(慎重)な設定に見えます。実勢価格がこれより高く推移すれば、期中の上方修正の余地があると考えられます。

就職活動中の学生にとっては、同社が石油・天然ガスの安定供給という社会的使命と、脱炭素への構造転換という二極の戦略をどう両立させるかが最大の分析ポイントになるでしょう。