HOYA株式会社 の会社詳細
HOYA株式会社
HOYA
2026年3月期 第3四半期

HOYA・2026年3月期Q3、純利益32%増の1,988億円——半導体部材好調、1,000億円の自社株買いも発表

7741
増収増益
半導体関連
自社株買い
EUV
マスクブランクス
ライフケア
株主還元
IFRS
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

6,996億円

+7.8%

通期予想

9,400億円

進捗率74%

営業利益

2,501億円

+30.1%

通期予想

3,240億円

進捗率77%

純利益

1,989億円

+32.1%

通期予想

2,540億円

進捗率78%

営業利益率

35.7%

HOYAが30日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、親会社の所有者に帰属する四半期利益が前年同期比 32.1%増1,988億円 と大幅な増益を記録しました。主力の半導体用マスクブランクスがEUV(極端端紫外線)向けを中心に好調を維持したほか、中国の合弁会社に関連する一過性の利益計上も寄与しました。併せて、発行済株式数の1.48%にあたる 1,000億円 を上限とした 自己株式の取得(自社株買い) を発表し、株主還元の姿勢を一段と強めています。

業績のポイント

2026年3月期第3四半期の累計業績は、売上収益が前年同期比 7.8%増6,996億円、税引前利益が同 30.1%増2,500億円 となりました。ライフケア事業と情報・通信事業の双方が堅調に推移し、増収増益を牽引しました。特に利益面では、過去に中国で設立した白内障用眼内レンズ合弁会社の買い取り義務(長期金融負債)について、市場環境の変化に伴い見積額を下方修正したことで、差額を 一過性の収益 として計上したことが大きく寄与しています。

また、前年同期に計上した減損損失の反動や、事業譲渡益の発生といった一時的な要因も重なり、利益成長率が売上成長率を大きく上回る結果となりました。為替相場が円安基調で推移したことも、海外売上比率の高い同社にとって追い風となっています。基本的な1株当たり四半期利益(EPS)は 582.87円(前年同期は431.99円)へと大きく改善し、収益性の高さが際立つ決算となりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力2事業がいずれも成長を維持しています。特に情報・通信事業は、利益率が5割を超える極めて高い収益性を維持しており、グループ全体の稼ぎ頭としての地位を強固にしています。

ライフケア事業は、売上収益が 4,356億円(前年同期比 +6.1%)、セグメント利益が 1,024億円(同 +66.0%)となりました。メガネレンズは欧州市場で累進レンズ等の高付加価値品が安定して推移し、コンタクトレンズもプライベートブランド「hoyaONE」の販売が好調でした。医療用内視鏡は米州での価格競争による影響を受けたものの、白内障用眼内レンズが日本および欧州で順調に成長しています。

情報・通信事業は、売上収益が 2,616億円(同 +11.1%)、セグメント利益が 1,419億円(同 +8.4%)でした。半導体用マスクブランクスは、最先端のEUV露光向け開発需要が高位で安定していることに加え、DUV(深紫外線)向けの需要も増加基調にあります。HDD用ガラス基板は、データセンター向けの3.5インチ製品が ニアラインストレージ需要 の回復を背景に増収を記録しました。

セグメント売上収益前年同期比セグメント利益利益率
ライフケア4,356億円+6.1%1,024億円23.5%
情報・通信2,616億円+11.1%1,419億円54.2%
その他23億円△22.9%43億円186.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ライフケア4,356億円62%1,025億円23.5%
情報・通信2,617億円37%1,419億円54.2%
その他23億円0%43億円186.4%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 717億円 増の 1兆3,060億円 となりました。現金及び現金同等物は 5,805億円 と潤沢な水準を維持しており、強固な財務基盤を背景に機動的な資本政策を推進しています。親会社所有者帰属持分比率は 78.7% と、依然として極めて高い水準にあります。

株主還元策として、2026年1月30日の取締役会において、最大 1,000億円自己株式取得 を決議しました。取得期間は2026年2月2日から7月17日までを予定しており、取得した株式はすべて消却する方針です。配当については、中間配当を1株当たり 125円 としましたが、期末配当予想は「最終利益や資金需要とのバランスを考慮する」として現時点では未定としています。

リスクと課題

HOYAが直面するリスクとして、以下の要因が挙げられます。

  • 為替変動リスク: 海外売上高比率が高いため、円高進行は業績の下押し要因となります。
  • 価格競争の激化: 医療用内視鏡における米州市場での価格低下圧力など、競合他社とのシェア争いが利益率に影響する可能性があります。
  • 最終製品市場の影響: 情報・通信事業の製品は中間生産材であるため、スマートフォンやPC、データセンター投資といった 最終消費財の景況感 に大きく左右されます。
  • 地政学リスク: 中国など特定の地域における市場環境の変化や規制動向が、現地事業の評価額に影響を与えるリスクがあります。

通期見通し

HOYAは第3四半期決算の発表に合わせ、2026年3月期の通期連結業績予想を公表しました。売上収益は前期比 8.5%増9,400億円、税引前利益は同 24.6%増3,240億円 を見込んでいます。ライフケア事業のシステム障害からの回復や、半導体・データセンター向け市場の好調持続、そして継続的な円安基調が業績を押し上げる見通しです。

項目2025年3月期実績2026年3月期予想増減率
売上収益8,660億円9,400億円+8.5%
税引前利益2,599億円3,240億円+24.6%
親会社株主帰属当期利益2,021億円2,540億円+25.7%
AIアナリストの視点

HOYAの強みである「高収益なニッチトップ事業の集合体」という特性が如実に出た決算です。特に情報・通信セグメントの利益率54%という数字は、製造業としては驚異的な水準であり、EUV向けマスクブランクスにおける圧倒的なシェアが参入障壁として機能していることを示しています。

今回の注目点は、中国合弁会社の負債再評価に伴う一過性の利益計上(約328億円規模の「その他の収益」への寄与と推測)ですが、これを除いた巡航速度の業績でもライフケアの回復と情報通信の成長が両立しており、非常に健全です。

1,000億円の自社株買い発表は、昨年同期の決算発表時と同様のタイミングであり、同社がキャッシュ創出能力に自信を持っていることの証左です。投資家にとっては、半導体サイクルの恩恵を受けつつ、ヘルスケアの安定収益も享受できるバランスの良さが改めて評価される内容と言えるでしょう。今後は米州の内視鏡事業の立て直しと、次世代EUV関連製品の立ち上がりが焦点となります。