精密機器
精密機器・医療機器
2026年3月期 第3四半期
3社精密機器・医療機器3社・2026年3月期Q3——利益率35%超のHOYAが独走、苦境のオリンパスと攻めのテルモで明暗
精密機器
医療機器
テルモ
オリンパス
HOYA
2026年3月期
決算比較
半導体部材
M&A
米国関税
営業利益率
今期の総括
収益力の差が拡大。ニッチ独占のHOYAが独走状態へ
精密機器大手3社の決算は、収益力の格差が鮮明となりました。HOYAが35.7%という驚異的な利益率で独走する一方、オリンパスは米国での苦戦が響き35.4%の大幅減益。堅実な成長を続けるテルモは売上高8,316億円を記録。外部環境の変化への対応力が、各社の明暗を大きく分ける結果となりました。
業界全体の動き
この期間、業界を動かした共通テーマは以下の3点です。
- 世界的な医療需要の拡大:高齢化を背景に、手術件数や検査数が増加しました。特に北米市場が各社の業績を左右する主戦場となっています。
- 地政学リスクと関税の影:米国の関税引き上げが、輸出主体の日本企業に重いコスト負担を強いています。オリンパスの減益はこの影響を強く受けました。
- AI半導体ブームの恩恵:医療機器の枠を超え、半導体製造に不可欠な精密部材を持つ企業が利益を大きく伸ばしました。HOYAがその筆頭です。
売上高 前年同期比
1位 最下位 業界平均
HOYAとテルモが約8%の増収を確保。世界的な医療需要の波に乗れた2社と、不祥事や関税に苦しむオリンパスで明暗が分かれました。
純利益 前年同期比
1位 最下位 業界平均
HOYAの32.1%増は一過性利益も貢献。一方、オリンパスは43.2%減と、構造改革に伴う「産みの苦しみ」が数字に直結しました。
勝者と敗者:収益性のHOYA、コストに泣くオリンパス
今回の「勝者」は、圧倒的な稼ぐ力を見せたHOYAです。
- HOYAは売上高が7.8%増に対し、純利益は32.1%増と急成長しました。営業利益率は35.7%に達し、製造業として極めて高い水準です。
対照的に「敗者」となったのは、利益が激減したオリンパスです。
- 売上高は1.4%減の微減ですが、営業利益は35.4%減の703億円まで落ち込みました。北米での出荷停止や、197億円もの関税負担が利益を押し下げた形です。
勝者
HOYA
苦戦
オリンパス
売上高ランキング
1位 最下位 業界平均
売上高では8,316億円のテルモが首位。オリンパスは米国での出荷制限が響き、前年割れの足踏み状態となっています。
営業利益ランキング
1位 最下位 業界平均
利益額ではHOYAが2,501億円と、2位テルモに1,000億円以上の大差をつけて圧勝。効率性の違いが如実に現れました。
営業利益率ランキング
1位 最下位 業界平均
HOYAの35.7%は、業界平均を大きく上回る異次元の数字。オリンパスは一時的費用により1桁台まで低下しています。
注目の動き・戦略比較
各社は次なる成長に向けた「攻め」の姿勢で違いを見せています。
- テルモ:M&Aによる新市場開拓。英国企業の買収で臓器移植分野へ参入したほか、ドイツ工場取得で受託製造も強化。売上の8割を海外で稼ぐ体制を固めています。
- オリンパス:組織の最適化と還元。構造改革費用を125億円出すなど「産みの苦しみ」の最中ですが、自社株買いで投資家への配慮も見せています。
- HOYA:ニッチ市場の独占。EUV向け半導体部材など、代えのきかない技術で高単価を維持。さらに1,000億円の自社株買いを決定し、成長と還元の両立を徹底しています。
業界共通のリスク
好調な企業も、以下のリスクには警戒を強めています。
- トランプ政権下の通商政策:米国によるさらなる関税強化は、全社の利益を削る最大の懸念点です。
- 品質管理と規制対応:医療機器は規制が厳しく、一度の出荷停止が数件の利益を吹き飛ばす威力を持っています。
- 為替変動の不確実性:海外売上比率が高いため、円高に振れた際の利益目減りは避けられません。
就活生・転職希望者へ:安定のテルモ、高待遇のHOYA、変革のオリンパス
キャリア形成の観点では、各社の「カラー」が明確です。
- 安定と挑戦を求めるなら、多角化と海外展開が成功しているテルモが有力です。
- 圧倒的な生産性と高利益なビジネスを学びたいなら、HOYA一択でしょう。
- 再生フェーズに興味があり、グローバルな組織変革に立ち会いたいなら、今のオリンパスは刺激的な環境と言えます。
