株式会社バンダイナムコホールディングス の会社詳細
株式会社バンダイナムコホールディングス
バンダイナムコホールディングス
2026年3月期 第3四半期

バンダイナムコ・2026年3月期Q3、売上高1兆円突破で過去最高——トイホビー好調、通期予想を上方修正

バンダイナムコ
増収増益
上方修正
自社株買い
IP軸戦略
ガンダム
トイホビー
株主還元
グローバル展開
決算短信
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.0兆円

+4.9%

通期予想

1.3兆円

進捗率77%

営業利益

1,574億円

-12.2%

通期予想

1,810億円

進捗率87%

純利益

1,150億円

-10.6%

通期予想

1,300億円

進捗率88%

営業利益率

15.7%

バンダイナムコホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期決算は、売上高が前年同期比 4.9%増1兆22億4,300万円 となり、第3四半期として初めて1兆円の大台を突破しました。トイホビー事業が国内外で好調を維持した一方、営業利益は前年の大型ヒットの反動や開発費の影響で 1,573億9,500万円(前年同期比 12.2%減)に留まりました。しかし、足元の好調な推移を受け、同社は 通期業績予想の上方修正 と、300億円を上限とする 自社株買い を発表しています。

業績のポイント

当第3四半期累計期間は、売上高が 1兆22億4,300万円(前年同期比 +4.9%)と増収を確保し、成長軌道を維持しました。主力のトイホビー事業において、ガンダムシリーズのプラモデル(ガンプラ)やハイターゲット向けのコレクターズフィギュアが、日本のみならずグローバル市場で高い人気を博したことが増収に大きく寄与しています。

利益面では、営業利益が 1,573億9,500万円(同 12.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益が 1,150億4,400万円(同 10.6%減)となりました。これは、前年同期にデジタル事業において大型タイトルが極めて高い利益を創出したことへの反動や、新作タイトルの開発に伴う償却費の増加が主な要因です。ただし、利益率は 15.7% と依然として高い水準を維持しており、経営陣は事業基盤が着実に強化されていると判断しています。

特筆すべきは、同社が掲げる 「IP軸戦略」 の進化です。映像作品「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」の公開に合わせ、プラモデルや家庭用ゲーム、アミューズメント施設での展開をグループ横断で連動させることで、単一の作品から多角的な収益を生み出す体制がより強固になりました。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力セグメントであるトイホビー事業は、売上高 5,036億5,800万円(前年同期比 8.5%増)、セグメント利益 1,035億7,700万円(同 6.1%増)と、増収増益で全体を牽引しました。特に「ガンダムシリーズ」のほか、「ワンピース」や「ドラゴンボール」といった強力なIPのカード商材、カプセルトイの「ガシャポン」が国内外のタッチポイント拡大により大きく伸長しています。原材料価格の上昇が続く中、生産体制の効率化と商品ラインナップの拡充により収益性を確保しました。

デジタル事業は、売上高 3,588億5,300万円(前年同期比 0.5%増)と横ばいながら、セグメント利益は 498億8,900万円(同 29.3%減)と苦戦しました。ネットワークコンテンツでは「SDガンダム ジージェネレーション エターナル」が好調なスタートを切りましたが、家庭用ゲームにおいてリピートタイトルの販売本数が前年を下回ったことが利益を押し下げる要因となりました。今後はクオリティ重視の開発体制を強化し、安定的なタイトルポートフォリオの構築を急ぐ方針です。

セグメント名売上高前年同期比セグメント利益利益増減率
トイホビー5,036億円+8.5%1,035億円+6.1%
デジタル3,588億円+0.5%498億円△29.3%
映像音楽636億円+4.3%89億円△4.8%
アミューズメント1,117億円+6.7%79億円△2.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
トイホビー事業5,037億円50%1,036億円20.6%
デジタル事業3,589億円36%499億円13.9%
映像音楽事業636億円6%90億円14.1%
アミューズメント事業1,117億円11%79億円7.1%

財務状況と資本政策

総資産は、前連結会計年度末比で 667億7,800万円 増加し、1兆1,694億1,500万円 となりました。売掛金や在庫(商品及び製品)の増加が主な要因であり、活発な事業展開を裏付けています。純資産についても利益剰余金の積み上げにより 8,551億3,600万円 に拡大し、自己資本比率は 73.1%(前期末は71.9%)と、極めて強固な財務体質を維持しています。

株主還元策については、積極的な姿勢を打ち出しています。同社は2026年2月5日の取締役会において、上限 300億円(または600万株)の 自己株式取得(自社株買い) を決議しました。また、年間配当予想についても、第2四半期末の 23円(前年同期は11円)に続き、期末配当を 50円(前回予想比 +10円)に増額修正し、年間合計では 73円(前期実績は71円)とする計画です。資本効率の向上と株主への利益還元を両立させる経営判断を示しています。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想について、同社は売上高・各利益ともに上方修正を行いました。トイホビー事業の好調持続に加え、第4四半期に予定している大型施策やマーケティング計画の進捗を反映したものです。修正後の売上高は 1兆3,000億円 と、過去最高を更新する見通しです。

項目前回発表予想今回修正予想前期実績 (2025/3)
売上高1兆2,500億円1兆3,000億円1兆2,415億円
営業利益1,650億円1,810億円1,802億円
親会社株主帰属純利益1,200億円1,300億円1,293億円
1株当たり当期純利益185.38円200.83円197.88円

修正の背景には、国内の雇用所得環境の改善や、グローバルでの日本IP人気の高まりがあります。一方で、米国の通商政策や為替変動、原材料価格の動向など、外部環境の不透明感は依然として高く、同社は引き続き 「IP軸戦略」 の深化とグローバル展開の加速により、リスクへの対応力を高めていく構えです。

リスクと課題

成長を続ける一方で、同社は以下のリスクを注視しています。まず、原材料価格や物価の上昇による製造コストの増加と、それが消費者の購買意欲に与える影響です。次に、デジタル事業における開発費の高騰と、競争の激化です。特に家庭用ゲーム市場ではタイトルの成否が業績を大きく左右するため、安定したヒット作の創出が課題となっています。

また、地政学的なリスクや米国の通商政策の変化も、グローバル展開を進める同社にとって無視できない要因です。同社はこれらに対し、データの活用による需要予測精度の向上や、サプライチェーンの強化を通じて、機動的に対応していく方針を掲げています。

AIアナリストの視点

バンダイナムコの今決算で最も注目すべきは、売上高が第3四半期累計で1兆円を突破したという「規模の拡大」です。特にトイホビー事業の強さが際立っており、かつて「子供のおもちゃ」だったプラモデルやフィギュアを、世界中の大人(ハイターゲット層)向けの高付加価値商品として昇華させた功績は大きいと言えます。

一方で、デジタル事業の利益率低下は懸念材料です。前年のヒット作の反動があるとはいえ、家庭用ゲームの開発費増大とリピート販売の減少は、他社のゲーム大手とも共通する課題です。今後はELDEN RINGのような世界的大ヒットをいかに継続的に出せるか、あるいはネットワークコンテンツで安定収益を維持できるかが焦点となります。

300億円規模の自社株買いと増配のセットは、市場の期待を上回る株主還元策であり、経営陣の「株価意識」の高さが伺えます。自己資本比率も70%を超えており、財務的な余裕を成長投資と還元にバランスよく配分している点は、投資家にとって好印象を与えるでしょう。