株式会社エービーシー・マート の会社詳細
株式会社エービーシー・マート
エービーシー・マート
2026年2月期 第3四半期

ABCマート・2026年2月期Q3、売上高0.8%増の2,792億円——国内好調も海外不振が重石、通期予想は据え置き

ABCマート
2670
インバウンド
国内消費
免税売上
ハンズフリーシューズ
韓国市場不振
米国景気
安定配当
小売決算
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

2,793億円

+0.8%

通期予想

3,839億円

進捗率73%

営業利益

466億円

-2.8%

通期予想

640億円

進捗率73%

純利益

337億円

-1.3%

通期予想

455億円

進捗率74%

営業利益率

16.7%

靴小売最大手のエービーシー・マートが発表した2026年2月期第3四半期(2025年3月〜11月)連結決算は、売上高が前年同期比 0.8%増2,792億8,500万円 となった。国内事業では「ハンズフリーシューズ」などの高付加価値商品が牽引し増益を確保した一方、韓国での回復遅れや米国市場の環境悪化が響き、営業利益は 2.8%減466億3,300万円減益を記録 した。通期の業績予想については、概ね計画通りに推移しているとして従来予想を据え置いている。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の連結業績は、国内需要の底堅さとインバウンド需要の拡大が寄与し、売上高は 2,792億8,500万円 (前年同期比 +0.8% )と増収を維持した。一方で、利益面では物価高による光熱費や人件費の上昇が利益を圧迫した。営業利益は 466億3,300万円 (同 2.8%減 )、親会社株主に帰属する四半期純利益は 337億円 (同 1.3%減 )となり、好調だった前年同期の反動も重なって 足踏み状態 となっている。

既存店売上高は国内で前年同期比 5.1%増 と堅調に推移しており、客単価も 4%上昇 している。これは、新作スニーカーやアパレルの「プロパー販売(正価販売)」が好調だったことが背景にある。一方で、後述する海外事業の苦戦が連結全体の利益成長を押し下げる格好となった。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

国内事業は増収増益と健闘した。売上高は 2,034億5,100万円 (前年同期比 5.7%増 )、セグメント利益は 424億8,600万円 (同 4.3%増 )となった。SNSを活用したタレント広告や、手を使わずに履ける「ハンズフリーシューズ」の展開拡大が功を奏した。特に免税売上高が前年比で 約2割増加 するなど、インバウンド需要を取り込んだことが寄与している。店舗展開では「GRANDSTAGE」や複合業態店舗の拡大を継続し、期末の国内店舗数は1,113店舗となった。

対照的に、海外事業は大幅な減益に見舞われた。売上高は 800億4,800万円 (前年同期比 7.5%減 )、セグメント利益は 41億9,400万円 (同 42.7%減 )と落ち込んだ。韓国では物価高に伴う消費回復の遅れが響き、米国ではマーケット環境の悪化に加え、主にアジアから調達している「ラクロス社」の業績が低迷した。円ベースでの換算も影響したが、米国・韓国市場の不振 が全体の利益を押し下げた要因である。

セグメント売上高前年同期比営業利益前年同期比
国内2,034億円+5.7%424億円+4.3%
海外800億円△7.5%41億円△42.7%
調整額△42億円△0.4億円
連結合計2,792億円+0.8%466億円△2.8%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内2,035億円72%425億円20.9%
海外800億円28%42億円5.2%

財務状況と資本政策

2025年11月末時点の総資産は、前連結会計年度末から 311億1,400万円 増加し、 4,498億3,900万円 となった。主な要因は、仕入れの強化に伴う棚卸資産(在庫)の 248億6,500万円 増加である。自己資本比率は 85.0% (前期末比2.7ポイント低下)と依然として極めて高い水準を維持しており、盤石な財務基盤を誇っている。

株主還元については、当初の配当予想に変更はなく、年間配当は1株当たり 70円 (中間35円、期末35円予想)を見込む。同社は安定的な配当継続を重視しており、利益剰余金が 158億7,200万円 増加していることも、今後の還元維持に向けた安心材料といえる。

通期見通し

2026年2月期の通期連結業績予想は、2025年4月に公表した数値を据え置いた。第3四半期までの進捗は概ね順調であり、下期も国内の堅調な消費を武器に増収増益を目指す方針だ。ただし、米国や韓国の景気動向、および為替の変動が海外事業に与える影響については引き続き注視が必要である。

項目前回予想今回修正前期実績増減率
売上高3,839億円据え置き3,724億円+3.1%
営業利益640億円据え置き625億円+2.3%
純利益455億円据え置き453億円+0.4%

リスクと課題

経営陣が注視するリスク要因として、以下の点が挙げられる。

  • 地政学・通商政策の影響: 米国の通商政策の変化による景気下振れリスクが顕在化している。
  • 物価上昇と消費マインド: 継続的な物価高により、消費者の節約志向が一段と強まる可能性。特に国内での買い控え動向を注視している。
  • 海外拠点の回復力: 韓国市場の回復遅延や、アジア生産拠点からの調達・物流コストの変動。
AIアナリストの視点

今回の決算は、「内強外弱」の構図が鮮明となった。国内では「ハンズフリー」という新たな付加価値をヒットさせ、客単価を向上させることでインフレ局面を乗り切る底力を見せている。就活生にとっては、デジタルと実店舗(GRANDSTAGE)を融合させる戦略や、アパレル分野の拡大による「ライフスタイル提案」へのシフトが注目点だろう。

投資家の視点では、海外利益の4割減が懸念材料だ。特に米国のラクロス社など、特定の海外拠点のテコ入れが今後の株価を左右する焦点になるだろう。財務面では、自己資本比率85%という圧倒的な健全性を維持しており、不透明な経済環境下での 高い防御力 は大きな強みと言える。