ユー・エス・エス・2026年3月期第3四半期、営業利益10.2%増の438億円——手数料改定と取扱高増加が寄与、通期予想を上方修正
売上高
830億円
+8.2%
通期予想
1,119億円
営業利益
439億円
+10.2%
通期予想
580億円
純利益
304億円
+10.2%
通期予想
400億円
営業利益率
52.9%
中古車オークション最大手のユー・エス・エスは10日、2026年3月期第3四半期の連結営業利益が前年同期比 10.2%増 の 438億95百万円 になったと発表しました。新車販売の伸び悩みにより国内流通が停滞するなか、中古車輸出の好調や 手数料体系の改定 が利益を押し上げました。好調な業績を背景に、通期予想の 上方修正 と配当予想の 増額 も同時に公表しており、株主還元への積極姿勢を鮮明にしています。
業績のポイント
当第3四半期累計期間の売上高は前年同期比 8.2%増 の 829億69百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は 10.2%増 の 304億31百万円 となりました。国内の自動車市場ではメーカーの認証不正問題に伴う出荷停止が解消されたものの、新車登録台数は 0.3%減 と低迷が続いています。一方で、アフリカや中東向けの中古車輸出市場が 11.2%増 と大きく伸長し、これが国内オークション市場の活性化につながりました。
利益面では、主力のオートオークション事業において出品台数と成約台数がともに増加したことに加え、落札手数料の改定 が収益性を高める要因となりました。営業利益率は 52.9% と極めて高い水準を維持しており、効率的な事業運営が継続しています。こうした好調な推移を受け、通期の営業利益予想を従来の 574億円 から 580億円 へと上方修正しました。
| 指標 | 2025年3月期Q3 | 2026年3月期Q3 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 76,652百万円 | 82,969百万円 | +8.2% |
| 営業利益 | 39,825百万円 | 43,895百万円 | +10.2% |
| 経常利益 | 40,365百万円 | 44,436百万円 | +10.1% |
| 四半期純利益 | 27,610百万円 | 30,431百万円 | +10.2% |
業績推移(通期)
セグメント別動向
主力であるオートオークション事業は、売上高 660億17百万円(前年同期比 9.8%増)、セグメント利益 431億47百万円(同 10.6%増)と大幅な増収増益を記録しました。出品台数は 11.3%増 の 2,588千台 と好調に推移し、独自の電子成約システム「USS JAPAN」における手数料改定も収益増に大きく寄与しています。市場シェアの拡大とともに、成約台数も 9.2%増 と堅調に推移しました。
中古自動車等買取販売事業は、売上高 89億68百万円(同 4.6%減)、セグメント利益 2億43百万円(同 14.7%減)と苦戦しました。中古車買取専門店「ラビット」において販売台数が減少したことが響いています。ただし、事故現状車買取事業では新規取引先の開拓が進み、オークション相場の上昇に伴って 台当たりの粗利益 は改善傾向にあります。
リサイクル事業は、売上高 69億47百万円(同 9.9%増)を確保した一方、セグメント利益は 3億2百万円(同 20.8%減)となりました。非鉄金属相場の上昇やプラント解体工事の受注増が売上を牽引しましたが、設備投資に伴う減価償却費の増加が利益を圧迫しました。また、2025年11月に発生したプラスチックリサイクル工場の火災による一時的な稼働停止も影響しています。
| セグメント | 売上高 | 前年同期比 | 営業利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| オートオークション | 66,017 | +9.8% | 43,147 | +10.6% |
| 中古車買取販売 | 8,968 | △4.6% | 243 | △14.7% |
| リサイクル | 6,947 | +9.9% | 302 | △20.8% |
| セグメント | 売上高 | 構成比 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| オートオークション | 660億円 | 80% | 431億円 | 65.4% |
| 中古自動車等買取販売 | 90億円 | 11% | 2億円 | 2.7% |
| リサイクル | 69億円 | 8% | 3億円 | 4.3% |
財務状況と資本政策
総資産は前期末比 214億4百万円 減の 2,459億43百万円 となりました。これは主に、自己株式の取得や配当金の支払いにより現金及び預金が減少したことによるものです。自己資本比率は 79.7% と前期末(76.2%)からさらに上昇し、盤石な財務基盤を誇っています。
特筆すべきは、極めて積極的な株主還元策です。当期は自己株式の立会外買付取引(ToSTNeT-3)等により、総額 160億円 の 自己株式取得 を実施しました。さらに、配当予想を従来の年間43.40円から 51.80円 へと大幅に引き上げています。利益成長を確実に株主へ分配する姿勢が明確に示されています。
通期見通し
2026年3月期の連結業績予想について、直近の市場環境の好転やオークションでの成約状況が想定を上回ったことを反映し、上方修正を行いました。新車販売が期待ほど伸びないなかでも、中古車輸出の活況が同社のプラットフォーム価値を高めています。
| 項目 | 前回予想 | 今回修正 | 前期実績 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,118億円 | 1,119億円 | 1,040億円 |
| 営業利益 | 574億円 | 580億円 | 542億円 |
| 経常利益 | 581億円 | 587億円 | 548億円 |
| 純利益 | 396.5億円 | 400億円 | 376億円 |
リスクと課題
今後の懸念材料として、以下の要因が挙げられます。
- 国内新車流通の低迷: メーカーの供給網は回復しつつありますが、消費マインドの冷え込みによる新車登録台数の減少が続けば、中古車の下取り供給が減り、オークション出品台数に悪影響を及ぼすリスクがあります。
- 中古車輸出の動向: 現在の成長を支えている海外輸出ですが、為替変動や主要輸出先の輸入規制、国際物流コストの上昇により、成約価格や台数が変動する可能性があります。
- リサイクル事業の復旧: 火災のあったプラスチックリサイクル工場の完全復旧と、安定稼働による利益率の回復が課題となります。
ユー・エス・エス(USS)の強さは、なんと言ってもその 圧倒的な市場シェアと価格決定権 にあります。今回の決算でも、成約台数の増加に加えて「落札手数料の改定」という、強い立場にあるプラットフォーマーならではの施策が利益成長に直結しています。
- 営業利益率50%超という驚異的な収益性は、装置産業としてのAA事業が成熟期にあり、追加コストを抑えながら取扱高を増やせる構造にあることを示しています。
- 資本政策の面でも、160億円の自社株買いと大幅増配を同時に行うなど、投資家からの評価を非常に意識した経営判断が下されています。
- 懸念点としてはリサイクル事業の利益低下がありますが、グループ全体に占める利益貢献度は限定的であり、AA事業の圧倒的な稼働率がそれを十分に補っています。今後、新車販売が本格的に回復すれば、さらに出品台数が増加する「追い風」も期待できるでしょう。
