東急不動産ホールディングス株式会社 の会社詳細
東急不動産ホールディングス株式会社
東急不動産ホールディングス
2026年3月期 第3四半期

東急不動産HD・2026年3月期Q3、営業利益18.5%増の1,041億円——都市開発事業が大幅増益を牽引、通期増配も公表通り

東急不動産HD
3289
不動産デベロッパー
増収増益
増配
マンション分譲
都市再開発
再生可能エネルギー
投資家向け情報
就職活動
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

8,322億円

+9.0%

通期予想

1.3兆円

進捗率64%

営業利益

1,041億円

+18.5%

通期予想

1,600億円

進捗率65%

純利益

622億円

+31.1%

通期予想

900億円

進捗率69%

営業利益率

12.5%

東急不動産ホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 9.0%増8,322億円、営業利益が同 18.5%増1,041億円 と大幅な増収増益を記録しました。主力の都市開発事業における住宅分譲の引き渡しが好調に推移したほか、不動産流通事業における仲介件数の増加が収益を押し上げました。親会社株主に帰属する四半期純利益は、関係会社株式売却益の計上もあり、同 31.1%増621億円 と過去最高水準で推移しています。

東急不動産HD・2026年3月期Q3、営業利益18.5%増の1,041億円——都市開発事業が大幅増益を牽引、通期増配も公表通り

業績のポイント

当第3四半期の業績は、不動産市場の活況を背景に主力事業が力強く成長しました。売上高は 8,322億2,100万円(前年同期比 +9.0%)、営業利益は 1,041億2,500万円(同 +18.5%)と、いずれも前年を大きく上回るペースで推移しています。これは、オフィスビルや商業施設の賃貸収益が安定的に寄与したことに加え、マンション分譲における高付加価値物件の供給が順調に進んだ結果です。

利益面では、営業利益率が前年同期の 11.5% から 12.5% へと 1ポイント改善 しており、収益性の向上が鮮明となっています。経常利益についても 904億4,300万円(同 +14.3%)を確保しました。特別利益として、グループ内の事業再編に伴う関係会社株式売却益 94億円 を計上したことで、純利益の伸び率は利益項目の中で最も高い 31.1%増 となっています。

指標2025年3月期 Q32026年3月期 Q3前年同期比
売上高7,632億円8,322億円+9.0%
営業利益878億円1,041億円+18.5%
経常利益791億円904億円+14.3%
四半期純利益474億円621億円+31.1%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別では、都市開発事業が圧倒的な成長を見せました。同セグメントの売上高は 2,636億円(前年同期比 +41.0%)、営業利益は 491億円(同 +80.2%)と、全社の利益成長を牽引しています。都心の好立地における分譲マンションの引き渡しが進んだほか、オフィスビルの空室率が低水準で推移し、賃料収入が着実に積み上がったことが主要因です。

不動産流通事業も底堅く推移し、営業利益は 472億円(同 +23.4%)となりました。売買仲介業務において法人・個人ともに取引が活発化しており、仲介手数料収入が拡大しました。一方で、戦略投資事業については売上高 646億円(同 -23.0%)、営業損益は 8億円の赤字(前年同期は 103億円の黒字)となりました。これは再生可能エネルギー施設や物流施設の売却時期が翌四半期以降に集中しているという期ズレの影響が大きく、事業自体は計画通りの進捗としています。

セグメント名売上高営業利益前年同期比(利益)
都市開発2,636億円491億円+80.2%
戦略投資646億円▲8億円赤字転落
管理運営2,608億円185億円-6.3%
不動産流通2,659億円472億円+23.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
都市開発事業2,637億円32%492億円18.7%
戦略投資事業647億円8%-890百万円-1.4%
管理運営事業2,609億円31%185億円7.1%
不動産流通事業2,660億円32%473億円17.8%

財務状況と資本政策

財務基盤については、資産規模の拡大に伴い総資産が 3兆4,139億円 と、前期末比で 1,592億円 増加しました。主に販売用不動産や仕掛販売用不動産の積み増し、および戦略的な物件取得に向けた投資が進んだことによるものです。自己資本比率は 24.7% となり、前期末の 25.3% から微減したものの、依然として不動産デベロッパーとして健全な水準を維持しています。

株主還元については、積極的な姿勢を継続しています。2026年3月期の年間配当は、前期実績の 36.5円 から 8.0円増配 となる 44.5円 を予定しています。中間配当として既に 22.0円 の支払いを決定しており、期末配当も 22.5円 とする方針に変更はありません。これは中長期的な利益成長を背景に、安定的な増配を目指す経営判断によるものです。

通期見通しと今後の展望

2026年3月期の通期連結業績予想については、前回発表の数値を据え置いています。売上高は 1兆3,000億円(前期比 +13.0%)、営業利益は 1,600億円(同 +13.7%)を見込んでいます。第3四半期時点での営業利益の進捗率は約 65% ですが、不動産売却案件が集中する第4四半期の特性を考慮すると、目標達成に向けた射程圏内にあります。

今後の課題は、人件費や資材価格の上昇への対応です。同社は「環境」を軸とした付加価値戦略を強化しており、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)化の推進などによる差別化でコスト上昇分を価格転嫁する方針です。また、戦略投資事業における再生可能エネルギー施設の売却進捗が、期末の利益上振れの鍵を握ることになります。

項目通期予想前期実績増減率
売上高1兆3,000億円1兆1,501億円+13.0%
営業利益1,600億円1,406億円+13.7%
当期純利益900億円775億円+16.0%

リスクと課題

東急不動産HDが直面する主な経営リスクは以下の通りです。

  • 金利変動リスク: 長期的な金利上昇局面においては、不動産購入意欲の減退や、有利子負債の利払い負担増が利益を圧迫する可能性があります。
  • 建設コストの上昇: 人手不足や原材料費の高騰が、新規開発プロジェクトの採算性を悪化させる懸念があります。
  • 地政学リスクと海外展開: 海外における不動産開発投資を強化しているため、進出国の経済状況や為替変動の影響を直接的に受けるリスクを抱えています。
  • 災害リスク: 首都圏に多くの資産を集中させているため、大規模地震等の災害発生時には保有資産の毀損や収益の減少が発生する可能性があります。
AIアナリストの視点

今回の決算で特筆すべきは、都市開発事業の収益爆発です。前年同期比で利益が8割増というのは、単なる市況の追い風だけでなく、大型物件の引き渡し時期を戦略的にコントロールし、かつ高価格帯での成約を勝ち取っている証左といえます。

一方で、戦略投資事業の赤字転落は一見懸念材料に見えますが、これは不動産デベロッパー特有の「売却タイミングによる期ズレ」である可能性が高いです。第4四半期にどれだけの売却益を積めるかが、通期での上方修正の有無を左右するでしょう。

就活生の視点では、同社が「環境」を単なる社会貢献ではなく、不動産の資産価値を高めるビジネスモデルへと昇華させている点に注目すべきです。単なるビル管理にとどまらない、再生可能エネルギーやDXを融合させた「広義のデベロッパー」への進化が読み取れる決算内容でした。