東京海上ホールディングス株式会社 の会社詳細
東京海上ホールディングス株式会社
東京海上ホールディングス
2026年3月期 第3四半期

東京海上HD・2026年3月期Q3、純利益8,992億円で微増——海外・生保が牽引、通期予想を上方修正

東京海上ホールディングス
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保険業界
増収増益
上方修正
海外展開
政策株式売却
高配当
決算レポート
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

6.7兆円

+6.8%

営業利益

1.2兆円

-1.4%

通期予想

1.4兆円

進捗率87%

純利益

8,993億円

+0.5%

通期予想

1.0兆円

進捗率88%

営業利益率

18.0%

東京海上ホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算は、最終的な儲けを示す純利益が前年同期比 0.5%増8,992億円 となりました。国内損害保険事業での準備金戻入額の減少が利益を押し下げた一方、好調な海外事業と国内生命保険の利益急増が全体を支える構図となっています。同社はこれを受け、通期の純利益予想を1兆200億円へ上方修正し、積極的な政策株式の売却など資本効率の向上を加速させる方針を明確にしました。

業績のポイント

当第3四半期の連結累計期間における経常収益は、前年同期比 6.8%増6兆6,742億円 と増収を確保しました。主要な収益源である保険引受収益が 4兆8,249億円(前年同期比 +6.3%)と堅調に推移したほか、利息及び配当金収入の増加により資産運用収益も 1兆6,012億円(同 +1.3%)と伸びを見せています。

一方で、経常利益は 1兆2,024億円(同 1.4%減)と微減となりました。これは主に国内損害保険セグメントにおいて、前期に発生した責任準備金の戻入(利益へのプラス要因)が今期は縮小したことなどの会計上のテクニカルな要因が影響しています。しかし、事業の本質的な稼ぐ力は損なわれておらず、海外保険事業の利益成長が国内の減益分をカバーする形で、純利益ベースでは 8,992億円 と前年並みの水準を維持しました。

指標2026年3月期Q3(累計)前年同期実績前年同期比
経常収益6兆6,742億円6兆2,496億円+6.8%
経常利益1兆2,024億円1兆2,191億円△1.4%
親会社株主に帰属する四半期純利益8,992億円8,952億円+0.5%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別の状況を見ると、海外事業の稼ぎ頭としての存在感がさらに強まっています。海外保険事業は、経常収益が 3兆3,813億円(前年同期比 +10.6%)、セグメント利益が 3,863億円(同 +9.4%)と力強い成長を遂げました。北米を中心とした好調なマーケット環境に加え、アンダーライティング(保険引受)の規律維持が功を奏しています。

国内損害保険事業は、経常収益が 2兆9,334億円(前年同期比 3.8%減)、セグメント利益が 6,904億円(同 16.2%減)と苦戦しました。収益減少は主に前期の反動によるもので、利益面でも責任準備金の積み増しなどが重荷となりました。一方、国内生命保険事業はセグメント利益が 1,172億円 と、前年同期の 359億円 から約 3.2倍 に急増しました。これは資産運用環境の改善や、保険金支払いの落ち着きが背景にあります。

セグメント名経常収益(前年比)セグメント利益(前年比)
国内損害保険2兆9,334億円 (△3.8%)6,904億円 (△16.2%)
国内生命保険4,239億円 (+22.5%)1,172億円 (+226.2%)
海外保険3兆3,813億円 (+10.6%)3,863億円 (+9.4%)
ソリューション・その他1,952億円 (+144.8%)83億円 (+30.6%)
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
国内損害保険事業2.9兆円44%6,904億円23.5%
国内生命保険事業4,239億円6%1,173億円27.7%
海外保険事業3.4兆円51%3,863億円11.4%

通期見通し

同社は第3四半期までの好調な推移と外部環境の変化を反映し、通期の連結業績予想を上方修正しました。通期の親会社株主に帰属する当期純利益は、前回予想から 1,100億円 引き上げ、1兆200億円 となる見通しです。これは、海外事業での保険引受利益の積み上がりや、戦略的な政策株式の売却加速による利益確定が寄与するものです。

修正の背景には、国内の自然災害に係る正味発生保険金を 740億円、海外を 730億円 と見込むなど、一定のリスクを織り込みつつも、海外での金利水準の維持が資産運用収益にプラスに働くとの判断があります。年間配当金については、前回予想から据え置きの 211.00円(前期比 +39円)を予定しており、高い株主還元意欲を維持しています。

項目前回発表予想今回修正予想前期実績修正率
経常利益1兆2,300億円1兆3,800億円1兆4,600億円+12.2%
当期純利益9,100億円1兆200億円1兆552億円+12.1%
1株当たり純利益477.01円534.61円540.45円-

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末から 6,168億円 増加し、31兆8,541億円 となりました。純資産も 5兆3,514億円 へと拡大し、自己資本比率は 16.7%(前期末比 +0.4ポイント)と健全な水準を維持しています。

資本政策における最大の注目点は、政策保有株式の削減加速です。2026年3月期通期で 7,210億円 の売却を計画しており、これにより捻出した資金を成長投資や株主還元に充てるサイクルを強化しています。また、1株当たり配当金は中間・期末ともに 105.50円 を予定しており、配当性向を意識した安定的な増配姿勢が鮮明となっています。

リスクと課題

今後の懸念材料として、会社側は以下のリスクに言及しています。

  • 自然災害の激甚化: 国内外での大規模な台風やハリケーンの発生は、正味発生保険金の急増に直結する最大のリスク要因です。
  • インフレの持続: 事故時の修理費や医療費の上昇(クレーム・インフレ)が、保険引受利益を圧迫する可能性があります。
  • 為替および金融市場の変動: 資産運用の多くを占める有価証券の価値は、市場金利や株価、為替レートの影響を強く受けます。
  • 海外規制の動向: 売上の約半分を占める海外事業において、各国の規制変更や地政学リスクが事業継続に影響を及ぼすリスクがあります。
AIアナリストの視点

東京海上HDの決算は、日本を代表する「グローバル保険企業」への脱皮が着実に進んでいることを裏付ける内容でした。

注目すべきは、国内の利益が減少する中で、海外と生保がそれを補って余りある成長を見せ、通期純利益1兆円の大台維持を狙える位置にいる点です。

特に、金融庁からの指導も背景にある「政策保有株式の全廃」に向けた売却スピードの速さは、資本効率(ROE)の向上に直結するため、投資家からはポジティブに受け止められるでしょう。

就職活動中の学生にとっても、単なる損害保険会社ではなく、売上の半分を海外で稼ぐグローバル金融グループとしての実態を理解する上で、今回の決算は非常に示唆に富んでいます。