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オリックス株式会社 の会社詳細
オリックス株式会社
オリックス
2026年3月期 通期

オリックス・2026年3月期通期、純利益27%増の4,472億円——投資売却益や保険好調、次期配当は大幅増額へ

オリックス
増収増益
資産売却
環境エネルギー
米国事業
配当増額
事業譲渡
米国GAAP
投資家向け
就活生向け
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

3.3兆円

+15.9%

営業利益

4,562億円

+37.5%

純利益

4,473億円

+27.2%

通期予想

5,300億円

進捗率84%

営業利益率

13.7%

オリックスが11日に発表した2026年3月期通期連結決算は、営業収益が前期比15.9%増3兆3,308億円、当社株主に帰属する当期純利益が同27.2%増4,472億円と、大幅な増収増益を記録しました。米国子会社におけるファンド評価益の計上や、インドの再生可能エネルギー大手Greenko社の株式譲渡に伴う多額の売却益が業績を大きく牽引しました。好調な業績を背景に、次期の配当予想は1株当たり187.36円と、今期の156.10円から大幅な増額を見込んでいます。

トーク

オリックス 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

当連結会計年度は、積極的な資産の入れ替え(アセット・リサイクル)が功を奏し、各利益項目で大幅な成長を遂げました。売上高にあたる営業収益は3兆3,308億円(前期比+15.9%)、営業利益は4,562億円(同+37.5%)となりました。特に、持分法投資損益が1,238億円(同+116.6%)と倍増しており、投資事業の収益力が際立つ結果となっています。

増益の主因は、外部環境を捉えた戦略的な利益確定です。インドのGreenko Energy Holdingsの株式譲渡により831億円の売却益を計上したほか、米国でのファンド評価益、生命保険料収入の増加などが寄与しました。一方で、営業費用も2兆8,745億円(同+13.0%)と増加しましたが、収益の伸びがこれを上回り、税引前当期純利益は6,914億円(同+43.9%)に達しています。

項目前期実績当期実績前年比
営業収益2兆8,748億円3兆3,308億円+15.9%
営業利益3,318億円4,562億円+37.5%
税引前当期純利益4,804億円6,914億円+43.9%
当期純利益3,516億円4,472億円+27.2%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

全10セグメントのうち、環境エネルギーや保険など7セグメントが増益となりました。特に注目すべきは環境エネルギーで、前期の49億円の赤字から1,157億円の黒字へと劇的なV字回復を遂げました。これは、前述のGreenko社の株式譲渡益に加え、長期性資産の評価損が減少したことが要因です。

一方で、ORIX USAはセグメント利益が9億円(前期比-97.6%)と大幅な減益に沈みました。有価証券売却益は増加したものの、営業権および無形資産の減損を計上したことや、信用損失費用の増加が利益を押し下げました。また、銀行・クレジットも、有価証券売却益の減少により272億円(同-7.1%)と微減となっています。

セグメントセグメント利益前年同期比主な要因
法人営業・メンテ1,007億円+11.5%オペレーティング・リース収益増
不動産785億円+11.3%サービス収入および持分法投資損益増
環境エネルギー1,157億円黒字転換Greenko社売却益の計上
保険1,028億円+38.3%保険料収入および運用益の増加
ORIX USA9億円△97.6%営業権等の減損損失の計上
アジア・豪州512億円+48.8%持分法投資損益および売却益の増加
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
法人営業・メンテナンスリース4,878億円15%1,007億円20.6%
環境エネルギー2,092億円6%1,158億円55.3%
保険6,430億円19%1,029億円16.0%
ORIX USA2,722億円8%10億円0.4%

財務状況と資本政策

総資産は、リース投資や営業貸付金の増加、為替影響などにより、前期末比7%増18兆27億円となりました。自己資本比率(株主資本比率)は24.9%と、前期の24.2%から微増し、強固な財務基盤を維持しています。1株当たり株主資本も4,080.24円に上昇しました。

株主還元については、累進的な配当政策を鮮明にしています。2026年3月期の年間配当は前期から36.09円増配の156.10円を決定しました。さらに、2027年3月期の配当予想では、「配当性向39%」または「1株当たり156.10円」のいずれか高い方を適用する方針を示しており、現時点では187.36円への大幅な増配を計画しています。これは、経営陣が将来の利益成長に強い自信を持っていることの表れと言えます。

戦略トピック:オリックス銀行の譲渡

オリックスは、連結子会社であるオリックス銀行の全持分を大和ネクスト銀行へ譲渡することを決定しました(2026年4月公表)。この取引は2026年10月(2027年3月期中)に実行される予定で、譲渡に伴う損益として約1,242億円(税引前)を計上する見込みです。

この判断は、グループ全体の資本効率を高め、より成長性の高い分野へ経営資源を再配分する「事業ポートフォリオの入れ替え」の一環です。銀行事業という安定収益源を放出する一方で、巨額のキャッシュと売却益を得ることで、次世代の成長投資や株主還元を加速させる狙いがあります。

リスクと課題

好決算の一方で、いくつかの課題も浮き彫りになっています。一つは、ORIX USAに見られる資産の減損リスクです。米国の高金利環境や景気減速が続く中、保有資産の評価調整が今後も発生する可能性があります。また、為替相場の変動も無視できません。今期の純利益のうち、為替換算調整勘定は1,719億円のプラスに寄与しており、円高局面では逆に利益を押し下げる要因となります。

  • 海外事業リスク: 米国事業における信用損失の動向や資産価格の下落。
  • 金利・為替リスク: 調達金利の上昇による利ざやの縮小、および円高による海外利益の目減り。
  • Exit戦略の不確実性: 投資先の売却タイミングが市場環境により左右されること。

通期見通し

2027年3月期の連結純利益は、前期比18.5%増5,300億円を予想しています。オリックス銀行の譲渡益に加え、引き続きグローバルなアセットマネジメント事業や国内の不動産・リース事業の安定成長を見込んでいます。既存ビジネスの成長と、戦略的なアセット・リサイクルにより、さらなる利益水準の引き上げを目指します。

項目2025年3月期実績2026年3月期実績2027年3月期予想
当社株主に帰属する純利益3,516億円4,472億円5,300億円
1株当たり純利益307.74円400.27円480.41円
AIアナリストの視点

オリックスの「投資と運営の二刀流」が極めて高いレベルで機能した決算と言えます。特にインドのGreenko社の売却による巨額利益は、ESG投資が単なる社会貢献ではなく、確実な利益を生むビジネスモデルであることを証明しました。

注目すべきは、銀行事業(オリックス銀行)の売却判断です。銀行という安定的な預金基盤を捨てるのは勇気がいる判断ですが、より資本効率の高い再エネやPE投資へシフトするという意思決定の速さは、他の総合金融グループにはない強みです。

懸念点は米国事業の不透明感ですが、今回の決算で営業権の減損をある程度出し切った(「膿を出した」)形であれば、次期の5,300億円という強気な目標も現実味を帯びてきます。就活生にとっては、変化を恐れずポートフォリオを組み替え続ける「動的な組織文化」を感じ取れる決算内容ではないでしょうか。