業界ダイジェストレポート一覧
保険
損害保険大手3社
2026年3月期 第2四半期
3

損害保険大手3社・2026年3月期 第2四半期決算——SOMPOが利益倍増で猛追、東京海上は還元で王者の貫禄

損害保険
2026年3月期
東京海上ホールディングス
MS&AD
SOMPOホールディングス
政策保有株式
資産運用
株主還元
中間決算
金融業界

今期の総括

政策保有株売却で利益が異次元化し、還元競争が激化

損保3社の2026年3月期中間決算は、政策保有株式の売却が利益を大きく押し上げる結果となりました。SOMPOが純利益を前年比97.4%増とほぼ倍増させ、王者東京海上は配当予想を大幅に引き上げるなど、各社が資本効率の向上を競っています。本業の保険引受に加え、資産運用での稼ぎが勝敗を分けるフェーズに入りました。

業界全体の動き

この期間、損保業界を動かした共通テーマは主に4点です。

  • 政策保有株式の売却加速: 金融庁の指導を受け、持ち合い株の売却益が各社の利益を劇的に押し上げました。
  • 国内保険料の値上げ: 火災保険や自動車保険の収益性が、相次ぐ価格改定によって改善傾向にあります。
  • 資産運用へのシフト: 単なる保険引受から、海外運用会社への出資など「総合金融グループ」への転換が進みました。
  • 株主還元の強化: 利益の積み上がりを背景に、増配や自社株買いが投資家への強いメッセージとなっています。

売上高 前年同期比

1位 最下位 業界平均

MS&ADの19.3%増が突出。生保事業の伸びや資産運用の好調が寄与しており、売上規模を追うフェーズにあることが鮮明です。

純利益 前年同期比

1位 最下位 業界平均

SOMPOの97.4%増という驚異的な伸びが際立ちます。政策保有株の売却益という一過性の要因はあるものの、利益水準が一段上にシフトしました。

勝者と敗者

今期の「利益の伸び」で圧倒的な勝者となったのはSOMPOホールディングスです。

  • SOMPOは純利益が前年比97.4%増3,604億円に到達しました。不祥事からの再生に向け、国内損保事業の収益改善が数字に表れています。
  • 一方で、東京海上ホールディングスは純利益が0.2%減6,868億円と横ばいでした。しかし、営業利益率は20.2%と断トツの首位。利益の「額」と「質」では依然として他社を寄せ付けない強さを誇ります。
  • MS&ADは売上高が19.3%増と急成長しましたが、営業利益率は15.9%に留まり、効率性の面で課題を残しました。
SOMPO

勝者

SOMPOホールディングス

東京海上HD

苦戦

東京海上ホールディングス(増益率の観点)

売上高ランキング

1位 最下位 業界平均

東京海上とMS&ADが4兆円超えで2強を形成。特にMS&ADは前年比19.3%増と、規模の拡大において他を圧倒する勢いを見せています。

営業利益ランキング

1位 最下位 業界平均

東京海上が8,803億円と他社を大きく引き離して独走。SOMPOは前年比2倍超の伸びを見せ、利益創出力が急回復していることがわかります。

営業利益率ランキング

1位 最下位 業界平均

東京海上が20.2%と唯一の20%台を記録。高収益な海外事業や効率的な経営が、2位以下との4〜5ポイント近い差に直結しています。

注目の動き・戦略比較

各社は異なる成長シナリオを描いています。

  • 東京海上: 国内外の分散が効いたポートフォリオが強みです。今回は配当を従来の172円から211円へ一気に引き上げ、投資家を驚かせました。
  • MS&AD: 米国の運用会社Baringsへの出資を決めました。保険料収入を海外で運用し、利回りを稼ぐ「攻め」の姿勢を鮮明にしています。
  • SOMPO: 政策保有株の売却益を原資に、不適切行為の改善と資本効率の向上を同時に進める「筋肉質」な体制への転換を図っています。

業界共通のリスク

好決算の裏には、無視できないリスクも潜んでいます。

  • 激甚化する自然災害: 台風や豪雨による支払い増加は、依然として最大の不安定要因です。
  • 金利・為替の変動: 海外事業や資産運用の比率が高まったことで、世界経済の影響をより受けやすくなっています。
  • 規制の厳格化: 代理店構造や価格決定プロセスに対し、当局の監視の目がかつてないほど厳しくなっています。

就活生・転職希望者へ

損保業界は今、単なる「事故の補償」から「データと金融のプロ」へと変革しています。東京海上はグローバルな資本経営、MS&ADは海外投資、SOMPOは事業再生と、各社で働く醍醐味が異なります。高い給与水準に加え、社会インフラを支える誇りと、ダイナミックな金融ビジネスの両方を経験できる環境と言えるでしょう。