TIS株式会社 の会社詳細
TIS株式会社
TIS
2026年3月期 第3四半期

TIS・2026年3月期Q3、営業利益12.1%増の548億円——IT投資需要を捉え2桁増益、420億円の自己株買いを完了

TIS
ITサービス
DX需要
増収増益
自己株買い
株式消却
インテック合併
営業利益率向上
高付加価値化
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

4,363億円

+4.7%

通期予想

5,880億円

進捗率74%

営業利益

548億円

+12.1%

通期予想

750億円

進捗率73%

純利益

382億円

+10.8%

通期予想

500億円

進捗率76%

営業利益率

12.6%

ITサービス大手のTISが発表した2026年3月期第3四半期累計(2025年4〜12月)の連結決算は、売上高が前年同期比 4.7%増4,362億円 、営業利益が同 12.1%増548億円 となりました。顧客企業のデジタル変革(DX)に向けた旺盛なIT投資需要を確実に取り込んだほか、不採算案件の抑制や生産性向上施策が奏功し、売上・利益ともに過去最高水準を更新しています。また、総額 420億円 にのぼる大規模な自己株式の取得を完了したことも併せて公表しました。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、売上高 4,36,251百万円(前年同期比 +4.7%)、営業利益 54,803百万円(同 +12.1%)と、堅調な増収増益を達成しました。日銀短観などの指標が示す通り、国内のソフトウェア投資計画は前年度比で2桁成長を維持しており、同社の主要顧客である金融・製造・流通の各業界においてシステム投資が加速しています。

利益面での伸びが売上高の成長を上回った点は特筆すべきポイントです。これは、高付加価値なサービス提供や生産性向上の推進に加え、不採算案件が減少したことが大きく寄与しました。その結果、営業利益率は 12.6% と前年同期の 11.7% から 0.9ポイント 改善し、収益性の向上が鮮明となっています。親会社株主に帰属する四半期純利益も 38,196百万円(同 +10.8%)と、主要な全利益項目で2桁の増益を確保しました。

項目前年同期当期(Q3累計)前年比営業利益率
売上高416,561百万円436,251百万円+4.7%-
営業利益48,884百万円54,803百万円+12.1%12.6%
経常利益50,583百万円55,707百万円+10.1%-
純利益34,474百万円38,196百万円+10.8%-

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

各セグメントにおいて、IT需要の波を捉えた収益拡大が見られました。主力の広域ITソリューションは、売上高 133,560百万円(同 +5.2%)、営業利益 15,578百万円(同 +11.3%)と好調でした。公共系案件での収益性悪化があったものの、医療や産業系などの幅広い需要増と、前期に発生した一過性費用の解消が利益を押し上げました。

産業ITセグメントは、サービス・製造・流通業など幅広い業種での投資拡大を背景に、営業利益が 16,627百万円(同 +17.7%)と大幅な伸びを記録しました。一方、金融ITセグメントは売上高が 73,340百万円(同 -1.7%)と微減となりました。これはクレジットカード系の大型開発案件がピークアウトしたことが要因ですが、高付加価値化の推進により営業利益は 9,593百万円(同 +5.3%)と増益を維持しています。

セグメント売上高前年比営業利益前年比
オファリングサービス116,244百万円+9.0%7,818百万円+5.7%
BPM32,716百万円+3.8%4,633百万円+23.1%
金融IT73,340百万円△1.7%9,593百万円+5.3%
産業IT97,851百万円+4.6%16,627百万円+17.7%
広域ITソリューション133,560百万円+5.2%15,578百万円+11.3%

オファリングサービスでは、決済分野やデジタルマーケティング需要が堅調だった一方、税理士事務所向けシステムの更新サイクル一巡が一部で見られました。BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)はDX案件の獲得やコスト削減策により、営業利益率が 14.2%(前年比 +2.3ポイント)と大きく伸長しています。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
オファリングサービス1,162億円27%78億円6.7%
BPM327億円8%46億円14.2%
金融IT733億円17%96億円13.1%
産業IT979億円22%166億円17.0%
広域ITソリューション1,336億円31%156億円11.7%

財務状況と資本政策

財務状態については、総資産は前期末比で 33,991百万円 減少の 524,060百万円 となりました。これは主に、自己株式の取得により純資産が減少したことや、有価証券の償還、売掛金の回収が進んだことによるものです。自己資本比率は 62.7% と前期末(61.5%)から上昇しており、依然として強固な財務基盤を維持しています。

資本政策では、2025年5月から12月にかけて実施した 約420億円(8,656,200株)の大規模な自己株式取得を完了しました。このうち、資本構成の適正化を目的とした 350億円相当(7,833,411株)については、2026年2月27日付で消却を行うことを決定しました。株主還元の強化と1株当たり価値の向上に向けた、経営側の強い意志が反映されています。

通期見通しと戦略トピック

2026年3月期の通期業績予想は据え置かれ、売上高 5,880億円(前期比 +2.9%)、営業利益 750億円(同 +8.6%)を見込んでいます。通期計画に対する第3四半期時点の営業利益進捗率は約 73.1% と概ね順調に推移しています。下期も引き続きDX需要の取り込みと、高付加価値サービスの拡大に注力する構えです。

戦略的なトピックとしては、2025年10月に決定した完全子会社インテックとの吸収合併(2025年7月基本方針決定)が挙げられます。グループ内リソースの最適化とシナジー創出を加速させ、商号を「TISI株式会社」に変更して、より強固な事業基盤の構築を目指します。中長期的な成長に向けた構造改革が着実に進められています。

項目前回予想今回修正前期実績
売上高588,000百万円変更なし571,687百万円
営業利益75,000百万円変更なし69,047百万円
純利益50,000百万円変更なし50,012百万円

リスクと課題

経営環境におけるリスクとして、同社は以下の点を挙げています。

  • 外部環境の変動: 米国の通商政策による製造業への影響や、物価高騰、金融資本市場の変動がIT投資を減速させるリスク。
  • 訴訟案件の進捗: 連結子会社インテックが三菱食品より受けている損害賠償請求訴訟(請求額約154億円)が現在も係争中であり、今後の展開を注視する必要があります。
  • 人材確保と投資: 競争激化に伴う高度IT人材の確保・育成が、成長投資の成否を分ける重要課題となっています。
AIアナリストの視点

全体として非常に「稼ぐ力」が強化されている決算と言えます。売上高の伸び以上に利益が伸びており、特筆すべきは営業利益率の向上です。かつて同社を含むSI業界の課題であった「不採算案件(赤字プロジェクト)」の発生が抑制され、生産性向上が実を結んでいます。

  • 株主還元姿勢の強さ: 420億円という大規模な自社株買いの完了と消却の決定は、ROE(自己資本利益率)への意識の高さを投資家に強く印象付けます。
  • 金融ITの軟着陸: カード業界の大型開発一段落という懸念材料がありながらも、高付加価値案件へのシフトで増益を守りきった点は、事業ポートフォリオの質の高さを証明しています。
  • 次なる焦点: 2026年3月に控えるインテックとの合併による、組織再編コストの吸収とシナジーの具現化が、次期以降の成長曲線を左右する焦点となるでしょう。