株式会社SHIFT の会社詳細
株式会社SHIFT
SHIFT
2026年8月期 第1四半期

SHIFT・2026年8月期Q1、売上高15.5%増の348億円――採用正常化に伴う投資先行で19.9%営業減益

SHIFT
ソフトウェアテスト
増収減益
採用強化
先行投資
SHIFT3000
DX需要
無配
成長投資
第1四半期累計期初から3ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

348億円

+15.5%

通期予想

1,500億円

進捗率23%

営業利益

28億円

-19.9%

通期予想

200億円

進捗率14%

純利益

18億円

-9.2%

通期予想

135億円

進捗率13%

営業利益率

8.1%

ソフトウェアテストの国内最大手、株式会社SHIFTが14日に発表した2026年8月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比 15.5%増348億4,500万円 と増収を確保しました。一方、営業利益は 28億1,700万円(同 19.9%減)と減益での着地となりました。これは前連結会計年度に戦略的に抑制していた 採用活動を正常化 したことで、人件費や採用関連費用が先行して発生したことが主な要因です。同社は長期成長戦略「SHIFT3000」の実現に向け、短期的な利益よりもエンジニア基盤の拡充を優先する経営判断を下しています。

SHIFT・2026年8月期Q1、売上高15.5%増の348億円――採用正常化に伴う投資先行で19.9%営業減益

業績のポイント

当第1四半期は、デジタルトランスフォーメーション(DX)需要の拡大や生成AIなどの新技術活用への期待を背景に、売上高は 348億4,500万円(前年同期比 +15.5%)と順調な伸びを見せました。しかし、利益面では営業利益が 28億1,700万円(同 19.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は 17億9,500万円(同 9.2%減)となりました。

この減益の背景には、明確な経営戦略の転換があります。前年同期は利益率を重視し採用活動を意図的に抑制していましたが、今期は成長スピードを再加速させるため、採用活動を例年通りの水準へ戻しました。その結果、採用費やエンジニアの教育コストが先行して発生し、利益を押し下げる形となりました。同社はこれを 「SHIFT3000」達成に向けた計画的な先行投資 と位置づけています。

項目前年同期実績当期実績前年同期比
売上高30,174百万円34,845百万円+15.5%
営業利益3,517百万円2,817百万円△19.9%
調整後営業利益4,067百万円3,316百万円△18.4%
親会社株主に帰属する純利益1,976百万円1,795百万円△9.2%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力である「ソフトウェアテスト関連サービス」セグメントは、売上高 226億4,900万円(前年同期比 +17.5%)、セグメント利益 42億6,200万円(同 10.4%減)となりました。顧客目線での提案徹底により売上は拡大したものの、エンジニアの採用加速に伴う採用費負担が増加し、利益率は前年の24.7%から18.8%へと低下しました。

「ソフトウェア開発関連サービス」セグメントでは、売上高 104億7,100万円(同 8.0%増)、セグメント利益 4億3,800万円(同 38.4%減)となりました。システム開発やデータ分析など上流工程への需要は根強いものの、こちらも採用費の先行投資が利益を圧迫する結果となりました。

一方で「その他近接サービス」セグメントは、売上高 32億2,700万円(同 39.0%増)、セグメント利益 3億3,400万円(同 838.9%増)と大幅な増益を達成しました。Windows11搭載PCへの入れ替え需要やM&A後のPMI(統合プロセス)が順調に進捗したことが寄与しており、多角化戦略が実を結び始めています。

セグメント名売上高前年同期比営業利益利益率
ソフトウェアテスト22,649+17.5%4,26218.8%
ソフトウェア開発10,471+8.0%4384.2%
その他近接3,227+39.0%33410.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
ソフトウェアテスト関連サービス226億円65%43億円18.8%
ソフトウェア開発関連サービス105億円30%4億円4.2%
その他近接サービス32億円9%3億円10.4%

財務状況と資本政策

2026年8月期第1四半期末の総資産は 791億200万円 となり、前期末比で 21億100万円増加 しました。主に新規借入による現金及び預金の増加(15億9,200万円増)が寄与しています。自己資本比率は 53.5% と、前期末の52.7%から微増し、高い財務健全性を維持しています。

負債項目では、運転資金の確保を目的とした短期借入金が 40億円 増加した一方で、長期借入金の返済が進んでいます。純資産については、四半期純利益の計上により利益剰余金が 17億9,500万円 増加しました。

配当については、従来の方針通り 「無配」 を継続する方針です。同社は現在を急成長フェーズと捉えており、獲得したキャッシュをM&Aやエンジニアの採用・教育といった 成長投資へ再配分 することで、中長期的な企業価値の最大化を目指しています。

通期見通し

2026年8月期の通期連結業績予想については、期初予想から据え置いています。通期では売上高 1,500億円(前期比 15.5%増)、調整後営業利益 200億円(同 13.4%増)を見込んでおり、第1四半期時点での進捗率は売上高が23.2%、調整後営業利益が16.6%となっています。

第1四半期は採用費が集中する傾向にあり、利益の進捗はやや緩やかですが、同社は例年下期に向けて利益が拡大する傾向があります。今後、採用したエンジニアの稼働率向上と、顧客単価の上昇が進むことで、通期目標の達成は十分に可能であると判断しています。

項目前回予想今回予想(不変)前期実績
売上高1,500億円150,000百万円129,829百万円
調整後営業利益200億円20,000百万円17,639百万円
親会社株主に帰属する純利益135億円13,500百万円10,865百万円

リスクと課題

同社が直面している主なリスクと課題は以下の通りです。

  • 人材確保と育成のリスク: 急激な増員に対して教育やPMI(買収後の統合)が追いつかない場合、サービス品質の低下や離職率の上昇を招く可能性があります。
  • マクロ経済の影響: 国内外の景気後退により、顧客企業のIT投資やDX予算が削減された場合、受注に影響を及ぼすリスクがあります。
  • 技術革新への対応: 生成AIなどの新技術がソフトウェアテスト工程を自動化し、既存のビジネスモデルを脅かす可能性があります。同社はAIを「競合」ではなく「ツール」として活用する戦略をとっていますが、市場の変化スピードには注視が必要です。
AIアナリストの視点

今回の決算は、まさに「成長のための屈伸」といった印象です。一見すると大幅な営業減益ですが、その理由は「前年の採用抑制の反動」と「正常な採用サイクルへの復帰」という戦略的なものです。

注目すべきは以下の2点です。

  • 調整後指標の導入: 今回から「調整後営業利益」など、のれん償却費やM&A関連費用を除いた指標を公表し始めました。これは頻繁にM&Aを行う同社にとって、より実態の現金創出力を投資家へ訴求するための布石と言えます。
  • KPIの推移: 顧客月額売上単価(単体)が 893万円、エンジニア単価が 103.5万円 と、いずれも右肩上がりのトレンドを維持しています。コスト高の中でもユニットエコノミクスが改善している点は評価に値します。

第1四半期で採用したエンジニアが実案件で稼働し始める第2四半期以降、どこまで利益率を回復させられるかが今後の焦点となるでしょう。