大塚ホールディングス株式会社 の会社詳細
大塚ホールディングス株式会社
大塚ホールディングス
2025年12月期 通期

大塚ホールディングス・2025年12月期通期、売上高2.4兆円で過去最高——主力薬伸長と500億円の自社株買いを発表

大塚ホールディングス
決算発表
過去最高益
増配
自社株買い
製薬
ポカリスエット
レキサルティ
M&A
ADC創薬
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

2.5兆円

+6.0%

通期予想

2.5兆円

進捗率98%

営業利益

4,794億円

+48.2%

通期予想

3,600億円

進捗率133%

純利益

3,632億円

+5.8%

通期予想

2,650億円

進捗率137%

営業利益率

19.4%

大塚ホールディングスが発表した2025年12月期の連結決算は、売上収益が前期比 6.0%増2兆4,688億円 となり、過去最高を更新しました。世界戦略製品の成長に加え、持分法投資利益の寄与や一過性の株式売却益が重なり、営業利益は前期比 48.2%増4793億円 と大幅な増益を記録しました。同社は好調な業績を背景に、年間配当を20円増配の140円とするとともに、上限 500億円の自社株買い の実施も公表し、積極的な株主還元姿勢を鮮明にしています。

大塚ホールディングス・2025年12月期通期、売上高2.4兆円で過去最高——主力薬伸長と500億円の自社株買いを発表

業績のポイント

当連結会計年度の業績は、主力の医療関連事業およびニュートラシューティカルズ関連事業の双方が牽引し、増収増益を達成しました。売上収益は 2兆4,688億円(前期比 +6.0%)、本業の稼ぐ力を示す事業利益は 4,461億円(同 +3.6%)と着実な成長を見せています。特に営業利益については、前期比 48.2%増4,793億円 と跳ね上がりましたが、これは事業利益の成長に加え、マイクロポート社株式の売却に伴う利益計上や、前期に膨らんだ減損損失が大幅に縮小したことが主因です。

親会社の所有者に帰属する当期利益は 3,631億円(前期比 +5.8%)となり、過去最高の水準を維持しました。第4次中期経営計画で掲げた「成長ドライバー」となる製品群が、特許切れによる減収影響を跳ね返す形で寄与しています。収益性の面でも、売上収益営業利益率は前期の 13.9% から 19.4% へと大きく向上しており、高付加価値製品へのシフトが進んでいることが伺えます。

項目2024年12月期(実)2025年12月期(実)前年比
売上収益2兆3,298億円2兆4,688億円+6.0%
事業利益4,304億円4,461億円+3.6%
営業利益3,235億円4,793億円+48.2%
当期利益3,431億円3,631億円+5.8%

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

医療関連事業は、売上収益 1兆7,442億円(前期比 +7.1%)、事業利益 4,020億円(同 +2.9%)と、グループ全体の7割以上を占める屋台骨として成長を支えました。抗精神病薬「レキサルティ」が、米国での適応追加や日本での新承認により売上高 3,313億円(前期比 +23.9%)と爆発的に成長。また、持続性注射剤「エビリファイ アシムトファイ」も欧米での切り替えが進み、同 83.7%増 と大きく飛躍しました。一方で、主力薬「サムスカ/ジンアーク」は米国での独占販売期間終了に伴い、同 21.1%減 の減収となりましたが、他の成長製品がこの穴を十分に埋める結果となりました。

ニュートラシューティカルズ(NC)関連事業は、売上収益 5,776億円(前期比 +3.7%)、事業利益 689億円(同 +7.4%)となりました。「ポカリスエット」がフィリピンなどの海外市場でブランド価値を高め、販売数量を大きく伸ばしています。また、女性の健康をサポートするサプリメント「エクエル」や、米国での「ネイチャーメイド」もeコマースを中心に好調を維持しました。原材料費の高騰という逆風があるものの、ブランド力の強化と適正な価格転嫁により、増益を確保しています。

セグメント名売上収益前年比事業利益前年比
医療関連1兆7,442億円+7.1%4,020億円+2.9%
NC関連5,776億円+3.7%689億円+7.4%
消費者関連346億円+2.6%251億円+6.4%
その他1,159億円+2.0%74億円+7.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
医療関連事業1.7兆円71%4,020億円23.0%
ニュートラシューティカルズ関連事業5,777億円23%689億円11.9%
消費者関連事業346億円1%252億円72.7%

財務状況と資本政策

財務基盤は極めて強固な状態にあります。総資産は前年末から 4,583億円 増加し、4兆1,975億円 となりました。これはM&Aによる資産増や、円安に伴う外貨建資産の値上がりによるものです。自己資本比率(親会社所有者帰属持分比率)は 72.3% と極めて高い水準を維持しており、将来の成長投資に向けた余力は十分と言えます。

特筆すべきは株主還元の拡充です。2025年12月期の年間配当は前期から 20円 増配の 140円 としました。さらに、2026年2月13日の取締役会において、自己株式の取得(自社株買い)を決定。取得総額は最大 500億円、期間は2026年12月までとしています。「資本効率の向上」と「安定的な還元」の両立を目指す経営姿勢が、今回の決定に反映されています。

キャッシュフローの面でも、営業活動により 4,035億円 の現金を創出(前期は3,546億円)。これを原資に、スイスのバイオ企業アラリス社の買収(約759億円)や、北米での輸液事業の強化といった戦略的な投資を実行しており、成長と還元のバランスが取れた資金配分が行われています。

研究開発・成長投資

持続的な成長に向けた研究開発投資も加速させています。当期の研究開発費は 3,528億円(前期比 +12.3%)を投入しました。現在は「ネクスト8」と称される次世代の主力候補製品の開発に注力しており、新規抗精神病薬「ウロタロント」のフェーズ3試験や、ADHD治療薬の承認申請など、パイプラインの進捗は順調です。

また、M&Aを通じた技術獲得にも積極的です。2025年3月に完了した アラリス社の買収 により、次世代の抗がん剤として期待される「ADC(抗体薬物複合体)」の創薬プラットフォームを手に入れました。既存の低分子医薬に加え、バイオ医薬品領域のポートフォリオを拡充することで、特許切れリスクを分散し、中長期的な収益源を育成する狙いがあります。

通期見通しとリスク要因

2026年12月期の連結業績予想については、増収減益を見込んでいます。売上収益は 2兆5,200億円(前期比 +2.1%)と増収を維持するものの、営業利益は 3,600億円(同 -24.9%)となる見通しです。この大幅な減益予想は、前期に計上された一過性の株式売却益がなくなることや、新薬開発に向けた研究開発費のさらなる積み増し(3,780億円、前期比+7.1%)を計画しているためです。

リスク要因としては、主力の「サムスカ/ジンアーク」に対する後発品(ジェネリック)の影響がさらに拡大する懸念があります。また、製薬業界共通の課題である新薬開発の成功確率や、米国における薬価抑制策などの規制環境の変化も注視する必要があります。ただし、会社側は「ネクスト8」製品群の立ち上げにより、これらのリスクを吸収し、持続的な利益成長へ回帰する自信を見せています。

項目2025年12月期(実)2026年12月期(予)修正率/前年比
売上収益2兆4,688億円2兆5,200億円+2.1%
事業利益4,461億円3,550億円-20.4%
営業利益4,793億円3,600億円-24.9%
当期利益3,631億円2,650億円-27.0%
AIアナリストの視点

大塚ホールディングスの2025年12月期決算は、まさに「攻めと守りの転換点」を象徴する内容でした。主力薬「サムスカ」のパテントクリフ(特許切れ)という大きな「守り」の課題に対し、「レキサルティ」などの新製品成長と「ADC技術」の買収という「攻め」で見事に応戦しています。

注目すべきは2026年度の減益予想です。一見ネガティブに見えますが、その背景には 将来の収益の柱を作るための研究開発費の増額 があります。一過性の売却益を除いた実力値で見れば、成長フェーズを維持するための必要な投資期間と言えるでしょう。

投資家にとっては、利益が一時的に落ち込む局面でも 20円の増配と500億円の自社株買い をセットで出したことが、経営陣の自信の表れと受け取られそうです。就活生にとっては、医薬品だけでなく「NC関連(ポカリスエット等)」が世界的に伸びている多角化経営の強みを再認識できる決算でしょう。