業界ダイジェスト
株式会社オープンアップグループ の会社詳細
株式会社オープンアップグループ
オープンアップグループ
2026年6月期 第3四半期

オープンアップG・2026年6月期Q3、純利益11.2%増の97億円——英国事業売却で売上減も、国内技術者派遣の収益性向上が寄与

増益
英国事業売却
技術者派遣
増配
自社株買い
M&A
AI需要
建設2024年問題
収益性向上
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1,253億円

-14.7%

通期予想

1,710億円

進捗率73%

営業利益

137億円

+6.0%

通期予想

165億円

進捗率83%

純利益

97億円

+11.2%

通期予想

118億円

進捗率82%

営業利益率

10.9%

オープンアップグループが発表した2026年6月期第3四半期決算は、売上収益が前年同期比 14.7%減1,252億6,900万円 となった一方、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同 11.2%増97億1,300万円 と増益を確保した。前期に実施した 英国事業の売却 に伴う売上剥落が表面上は減収要因となったものの、国内の主力3領域が着実に利益を積み増した形だ。好調な業績を背景に、通期の年間配当は前期比10円増の 85円 を据え置くほか、機動的な 自社株買い も実施しており、資本効率の向上を鮮明にしている。

業績のポイント

当第3四半期の連結累計期間は、事業ポートフォリオの最適化による「量から質への転換」が数字に表れる結果となった。売上収益は 1,252億6,900万円 (前年同期比 14.7%減 )と減少したが、これは前期に実施した英国事業の売却が主因であり、成長性の高い国内事業への集中が進んでいる。利益面では、売上総利益率が前期の24.7%から 27.7% へと 3.0ポイント上昇 し、高付加価値化が進行した。

営業利益は 136億7,900万円 (前年同期比 6.0%増 )を計上し、採用コストの抑制や生産性向上といったコストマネジメントが功を奏した。純利益についても、英国事業売却後の税負担の適正化や金融収益の増加により、 97億1,300万円 (同 11.2%増 )と大幅な伸びを見せている。主力である製造・IT・建設の国内3領域において、 先端技術領域へのシフト とM&Aによる事業規模拡大が着実に収益に結びついていることが示された。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

当期より「機電・IT領域」を分割し、より専門性の高い管理体制へ移行した。機電領域はAI・先端分野の需要を取り込み、IT領域は生産性重視の姿勢を強めている。

セグメント売上収益前年比営業利益前年比営業利益率
機電領域49,281百万円+10.3%6,275百万円+6.6%12.7%
IT領域30,690百万円△0.3%3,112百万円+6.7%10.1%
建設領域43,656百万円+3.0%6,048百万円+2.9%13.9%
海外領域523百万円△98.1%217百万円△75.5%41.5%

機電領域では、AI関連投資の拡大を背景に半導体や防衛分野の需要が底堅く推移した。未経験者採用に加え経験者採用を強化したほか、2025年10月に連結化した エイセブホールディングス の寄与もあり、増収増益を達成した。自動車分野では一部で投資見直しの動きがあるものの、在籍エンジニア数の増加が成長を支えた。

IT領域は、前年度の組織統合による一時的な生産性低下が響き、稼働人数が減少したため売上は微減となった。しかし、高付加価値領域へのシフトと徹底したコスト管理により、セグメント利益は同 6.7%増 と伸長した。建設領域は、2024年10月に連結化したアイアール株式会社の貢献で増収を確保したが、既存事業の組織再編に伴う退職率の改善が今後の課題となっている。

セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
機電領域493億円39%63億円12.7%
IT領域307億円25%31億円10.1%
建設領域437億円35%60億円13.9%
海外領域5億円0%2億円41.5%

財務状況と資本政策

総資産は前期末比 7億1,000万円減1,219億9,100万円 となり、英国事業売却後のスリムな財務体質を維持している。特筆すべきは 積極的な株主還元 と投資のバランスだ。当期間中に約 39億8,300万円自己株式の取得 を実施し、一株当たりの利益価値向上を図っている。負債面では、社債及び借入金が 50億300万円増加 したが、これはM&A等に向けた資金調達の結果であり、機動力のある投資余力を確保している。

キャッシュフローについては、営業活動によるキャッシュ・フローが 97億2,400万円 の収入となり、前期(65億7,900万円)から大幅に改善した。安定した現金創出力に基づき、配当金は期末予想を50円とし、年間合計で 85円 (前期比10円増)とする方針を維持している。親会社所有者帰属持分比率は 63.9% と高い水準にあり、盤石な財務基盤を背景とした成長投資と還元の両立を継続している。

通期見通し

2026年6月期の通期業績予想については、2025年8月に公表した数値を据え置いている。英国事業の売却による見かけ上の減収影響はあるものの、国内各事業のオーガニック成長とM&A効果が利益を下支えする見通しだ。

項目通期予想前期実績増減率
売上収益171,000百万円187,833百万円△9.0%
事業利益16,245百万円15,642百万円+3.9%
営業利益16,500百万円16,246百万円+1.6%
純利益11,800百万円12,548百万円△6.0%

通期では純利益が前期比 6.0%減 の予想となっているが、これは前期に計上された非継続事業からの利益剥落によるものであり、継続事業ベースでの 収益力は向上 している。不透明な外部環境下でも、高単価な技術者派遣へのシフトを加速させることで、利益成長の継続を目指す方針だ。

リスクと課題

同社は成長の裏側にある複数のリスクを挙げている。第一に、IT領域および建設領域における 組織統合後の生産性回復 だ。一部で稼働人数の減少や退職率の高止まりが見られており、採用の質向上とリテンション対策が急務となっている。第二に、外部環境の変化、特に 自動車業界の開発投資動向 が挙げられる。EVシフトの減速や地政学リスクに伴うメーカーの開発見直しが、エンジニア需要に影を落とす可能性がある。また、慢性的な人手不足を背景とした人件費の高騰も継続しており、これらを派遣単価へ適切に転嫁できるかが今後の焦点となる。

AIアナリストの視点

オープンアップグループの今期決算は、まさに「脱・規模」と「利益重視」を象徴する内容です。かつての成長を支えた英国事業を手放したことで売上高は二桁減となりましたが、営業利益・純利益がしっかりと伸びている点は投資家から評価されるポイントでしょう。

注目すべきは機電領域の強さです。半導体や防衛といった国策的な成長分野にリソースを集中させ、単なる人員供給ではなく「先端技術」へのシフトを明確に打ち出しています。一方で、課題はITと建設の「組織の筋肉質化」です。統合による混乱で一時的に稼働が落ちた局面を、今期中にどれだけリバウンドさせられるかが来期の成長角度を決めると見ています。

株主還元については非常に積極的です。85円への増配に加え、キャッシュフローを自社株買いに投じる姿勢は、資本効率(ROE)への意識の高さを感じさせます。人材サービスセクターの中でも、高付加価値領域への転換を最もドラスティックに進めている一社と言えるでしょう。