日本電信電話株式会社 の会社詳細
日本電信電話株式会社
NTT
2025年度 第3四半期

NTT・2025年度第3四半期、営業収益10.4兆円で増収増益——住信SBIネット銀行を連結、グローバル事業の利益が62%増と急成長

NTT
増収増益
住信SBIネット銀行
M&A
データセンター
通信業界
株主還元
DX
海外展開
金融事業
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

10.4兆円

+3.7%

通期予想

14.2兆円

進捗率74%

営業利益

1.5兆円

+4.1%

通期予想

1.7兆円

進捗率88%

純利益

9,261億円

+8.9%

通期予想

9,650億円

進捗率96%

営業利益率

14.0%

NTTが発表した2025年度第3四半期決算は、営業収益が前年同期比 3.7%増10兆4,210億円、当期利益が 8.9%増9,260億円 と増収増益を達成しました。特筆すべきは 住信SBIネット銀行の連結子会社化 に伴う金融事業の強化と、グローバル事業における大幅な増益です。データセンターやシステム統合への強い需要を背景に、海外展開が収益の柱として存在感を高めています。

業績のポイント

NTTグループの当第3四半期累計期間は、主力事業の底堅い推移に加え、構造改革が進むグローバル事業が全体を牽引する形となりました。営業収益は 10兆4,210億円(前年同期比 +3.7%)、営業利益は 1兆4,571億円(同 +4.1%)を確保しています。

利益面では、グローバル・ソリューション事業における不採算案件の縮小やコスト最適化が進展したことで、増益幅が拡大しました。また、法人向けデジタル・トランスフォーメーション(DX)需要が国内外で依然として旺盛であり、通信以外の成長領域が順調に伸びています。親会社の所有者に帰属する四半期利益も 9,260億円(同 +8.9%)となり、前年同期の減益傾向から一転して力強い回復を見せました。

項目当第3四半期実績前年同期実績増減率
営業収益10兆4,210億円10兆497億円+3.7%
営業利益1兆4,571億円1兆3,992億円+4.1%
税引前利益1兆3,736億円1兆3,416億円+2.4%
四半期利益9,260億円8,506億円+8.9%

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

セグメント別では、海外事業を担当する「グローバル・ソリューション事業」の利益成長が際立っています。同セグメントの営業利益は 3,842億円(前年同期比 +62.8%)と激増しました。これは、世界的なデータセンター需要の拡大に加え、システムインテグレーション事業における高付加価値案件の増加、および構造改革による収益性改善が寄与したためです。

一方で、ドコモを中心とする「総合ICT事業」は、営業収益こそ 4兆6,596億円(同 +2.0%)と増収を維持したものの、営業利益は 7,453億円(同 -10.6%)と減益を喫しました。これは主に新料金プランによるARPU(契約あたりの平均収入)への影響や、次世代ネットワーク構築に向けた先行投資、さらには顧客獲得競争に伴うマーケティング費用の増加が背景にあります。

地域通信事業(NTT東日本・西日本)は、営業収益 2兆3,467億円(同 +2.9%)、営業利益 3,032億円(同 +2.6%)と、固定ブロードバンドの安定した契約数を背景に底堅く推移しています。

セグメント名営業収益営業利益前年比(利益)
総合ICT4兆6,596億円7,453億円△10.6%
グローバル・ソリューション3,643億円3,842億円+62.8%
地域通信2兆3,467億円3,032億円+2.6%
その他1兆2,183億円546億円△0.1%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
総合ICT事業4.7兆円39%7,454億円16.0%
グローバル・ソリューション事業3.6兆円31%3,842億円10.5%
地域通信事業2.3兆円20%3,032億円12.9%
その他(不動産・エネルギー等)1.2兆円10%547億円4.5%

財務状況と資本政策

当四半期の連結バランスシートにおいて最も劇的な変化があったのは、資産合計です。前期末の約30兆円から 46兆8,347億円 へと約16.7兆円増加しました。この急拡大は、2025年10月に 住信SBIネット銀行を連結子会社化 したことによるものです。銀行業の貸出金や有価証券が資産として加算された結果、グループの資産規模は国内屈指のレベルに到達しました。

資本政策については、1株あたり年間配当金を前期から0.1円増配の 5.30円(予想)としており、株主還元への姿勢を維持しています。自己株式の取得も継続しており、当期間中に約 1,587億円 を投じて取得を実施しました。自己資本比率は、銀行子会社の連結により負債(預金)が増えたため 20.3%(前期末34.0%)へ低下していますが、これは銀行業を内包する企業グループ特有の財務構造への変化を反映したものであり、実質的な財務健全性が損なわれたわけではありません。

通期見通しと戦略トピック

NTTは通期の連結業績予想について、営業収益 14兆1,640億円 を据え置く一方、税引前利益以下の各段階利益を下方修正しました。当期利益は 9,650億円(前期比 -3.5%)となる見込みです。これは住信SBIネット銀行の連結に伴う一時的な会計処理や、競争激化に伴うコスト増を織り込んだものです。

戦略面では、「スマートライフ領域」における金融ビジネスの拡大 が最大の注目点です。住信SBIネット銀行が持つBaaS(Banking as a Service)のノウハウを、ドコモの1億人規模の顧客基盤と融合させることで、住宅ローンや決済サービスなどの金融体験を高度化させる狙いです。通信キャリアから「通信と金融を融合したライフスタイル企業」への転換が加速しています。

項目前回予想今回修正前期実績増減率
営業収益14兆4,000億円14兆1,640億円13兆6,990億円+3.4%
営業利益1兆8,100億円1兆6,600億円1兆6,500億円+0.6%
当期利益1兆1,000億円9,650億円1兆2億円△3.5%

リスクと課題

同社が直面する主なリスクとしては、以下の点が挙げられます。

  • モバイル市場の競争激化: 楽天モバイルを含む競合他社とのシェア争いや、ARPUの下落圧力が続いており、収益性の維持が課題となっています。
  • エネルギー価格の変動: 大規模な通信設備やデータセンターを保有するため、電力価格の高騰は営業費用の増加に直結するリスクがあります。
  • 金融事業の統合リスク: 新たに傘下に入れた住信SBIネット銀行とのシナジーを早期に創出できるかが、今後の成長の鍵を握ります。
  • グローバル環境の不透明感: 海外事業が成長している分、地政学リスクや為替変動の影響を受けやすくなっています。
AIアナリストの視点

今回の決算で最も注目すべきは、NTTがついに「銀行」を本格的に飲み込み、総資産が46兆円を超える巨大金融コングロマリットへと変貌を遂げた点です。住信SBIネット銀行の連結は、単なる投資ではなく、dポイント経済圏に強力な金融インフラを組み込む戦略的な布石といえます。

  • 評価すべき点: グローバル・ソリューション事業の利益率改善が著しく、国内通信への依存脱却が着実に進んでいます。特に海外データセンター需要を取り込めている点は長期的な強みです。
  • 懸念点: 総合ICT(ドコモ)事業の苦戦が続いています。通信単体での収益化が難しくなる中、新たに手に入れた金融事業をどれだけ早くドコモのサービスに紐付け、顧客離脱防止(チャーンレート低下)と収益向上に繋げられるかが焦点となるでしょう。

投資家にとっては、利益予想の下方修正はネガティブに見えますが、その要因が戦略的買収に伴うものであることを考慮すれば、中長期的な成長余力は高まったと判断できます。就活生にとっても、従来の「電話会社」から「IT・金融プラットフォーマー」へと急速に進化している姿は、キャリア形成の観点から非常に魅力的なトピックとなるはずです。