野村ホールディングス株式会社 の会社詳細
野村ホールディングス株式会社
野村ホールディングス
2026年3月期 第3四半期

野村ホールディングス・2026年3月期Q3、税引前利益15.5%増の4,321億円——全事業で増収、600億円の自社株買いも発表

増収増益
自社株買い
M&A
資産運用
ウェルス・マネジメント
海外展開
証券業界
株主還元
新NISA
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

3.5兆円

-3.1%

金融費用控除後

1.6兆円

+10.5%

営業利益

4,321億円

+15.5%

純利益

2,882億円

+7.2%

営業利益率

27.2%

野村ホールディングスが発表した2026年3月期第3四半期累計(2025年4〜12月)決算は、金融費用控除後の収益合計が前年同期比 10.5%増1兆5,905億円、税引前利益が 15.5%増4,321億円 と大幅な増収増益となった。国内外の証券市場の活況を背景に、富裕層向けビジネスやホールセール部門が業績を牽引した。あわせて、資本効率の向上を目的に最大 600億円自己株式取得(自社株買い)と、発行済株式の約2.4%に相当する自己株式の消却を決定し、積極的な株主還元姿勢を打ち出した。

野村ホールディングス・2026年3月期Q3、税引前利益15.5%増の4,321億円——全事業で増収、600億円の自社株買いも発表

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、主要な収益指標が軒並み前年を上回る好決算となった。金融費用控除後の収益合計は 1兆5,905億円(前年同期比 +10.5%)、税引前利益は 4,321億円(同 +15.5%)を記録している。背景には、世界的な株高と金利環境の変化に伴う投資活動の活発化がある。特に個人向けビジネスを展開するウェルス・マネジメント部門と、機関投資家向けのホールセール部門が力強く成長した。

最終的な利益水準を示す当社株主に帰属する四半期純利益は 2,882億円(同 +7.2%)となった。前年同期に比べ法人税等の負担が 33.1%増 と重くなったものの、本業の収益拡大がそれを十分に補った。1株当たり純利益(EPS)も 97.73円 と、前年同期の 90.95円 から着実に向上しており、収益力の底上げが鮮明になっている。

項目(億円)2025年3月期Q32026年3月期Q3前年同期比
収益合計(金融費用控除後)14,39815,905+10.5%
税引前当期純利益3,7424,321+15.5%
当社株主に帰属する純利益2,6882,882+7.2%
ROE(年率換算)10.4%10.8%+0.4pt

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計

セグメント別動向

全てのビジネスセグメントにおいて増収を達成し、多角化された収益構造が機能した。なかでも、ホールセール部門は収益合計が 8,542億円(前年同期比 +6.9%)、税引前利益が 1,573億円(同 +22.2%)と大きく伸長した。海外市場でのトレーディング業務や投資銀行業務の手数料収入が拡大し、グループ全体の利益成長を牽引するエンジンとなった。

ウェルス・マネジメント部門も好調を維持した。収益合計は 3,548億円(前年同期比 +6.3%)、税引前利益は 1,428億円(同 +9.6%)となった。株高を背景に顧客の投資マインドが改善し、投資信託の募集手数料や資産管理残高に連動したフィー収入が積み上がった。国内の個人投資家による新NISA等を活用した資産形成への関心が、引き続き追い風となっている。

一方で、インベストメント・マネジメント部門は、収益こそ 1,723億円(前年同期比 +15.3%)と伸ばしたが、税引前利益は 702億円(同 -5.2%)の減益となった。これは、後述する海外大手資産運用会社の買収に伴う経費増が一時的に押し下げ要因となったためだ。しかし、運用資産残高は買収効果もあり 134.7兆円 と過去最高水準に達しており、将来的な安定収益源の拡大に向けた布石を打っている。

セグメント名収益合計(純)前年比税引前利益前年比
ウェルス・マネジメント3,548億円+6.3%1,428億円+9.6%
インベストメント・マネジメント1,723億円+15.3%702億円△5.2%
ホールセール8,542億円+6.9%1,573億円+22.2%
バンキング394億円+10.2%110億円△17.6%
セグメント収益(控除後)構成比営業利益営業利益率
ウェルス・マネジメント3,548億円22%1,428億円40.2%
インベストメント・マネジメント1,723億円11%702億円40.7%
ホールセール8,542億円54%1,573億円18.4%
バンキング394億円3%110億円27.8%

※ セグメント収益は金融費用控除後ベース(収益合計のグロス値とは異なります)

戦略トピック:海外資産運用会社の大型買収

当期における最大の戦略的トピックは、2025年12月1日に完了したMacquarie(マッコーリー)グループ傘下の資産運用会社3社の取得である。取得価額は約 18億米ドル(約2,814億円) にのぼる大型案件となった。この買収により、野村グループのインベストメント・マネジメント事業は、グローバルな資産運用プラットフォームを大幅に強化することに成功した。

買収した会社は、米国や欧州を拠点に広範な投資ソリューションを提供しており、野村の既存の顧客基盤とのシナジーが期待される。短期的には統合プロセスに伴う人件費やシステム費用の増加が利益を圧迫するものの、長期的な視点では、相場変動に左右されにくい安定的な管理報酬(アセット・マネジメント・フィー)の比率を高めるという、経営戦略上の重要な転換点といえる。

財務状況と資本政策

総資産は2025年3月末比で 5兆1,330億円増61兆9,352億円 となった。主にトレーディング資産の増加によるもので、市場環境に応じた機動的なポジション管理を反映している。自己資本比率の目安となる株主資本比率は 5.9%(前期末比 0.2pt低下)となったが、これは総資産の拡大に伴うものであり、財務の健全性は維持されている。

資本政策においては、強力な還元策を打ち出した。2026年2月から9月にかけて、上限 1億株(発行済株式の3.2%) または 600億円 の自己株式取得を実施することを決定した。さらに、2026年3月には 7,500万株 の自己株式を消却する。配当についても、第2四半期末配当を前年同期比 4円増27円 とする(中間実績)など、「株主資本の効率的活用」と「株主への利益還元」の両立を加速させている。

リスクと課題

好調な決算の一方で、同社は業績予想を開示していない。これは、証券・金融ビジネスが国内外の経済情勢や相場環境の変動に極めて敏感であるためだ。主なリスク要因は以下の通りである。

  • 市場変動リスク: 株式市場の急落や金利の乱高下は、トレーディング損益の悪化や投資家の活動停滞を招く。特にホールセール部門への影響が大きい。
  • 統合・買収リスク: Macquarieから取得した資産運用会社のPMI(買収後の統合プロセス)が遅延した場合、期待されたシナジーが発現せず、コスト負担のみが継続する懸念がある。
  • 地政学リスク: 海外拠点が多いため、国際的な紛争や貿易摩擦が市場心理を冷え込ませ、取引量の減少に直結する可能性がある。
  • 競争激化: 国内外の金融大手との手数料競争や、デジタル金融分野での新興企業の台頭が収益率を低下させるリスクがある。
AIアナリストの視点

野村ホールディングスの今決算は、伝統的な証券業務(フロービジネス)の強さを維持しつつ、資産運用(ストックビジネス)へのシフトを加速させている点が非常に印象的です。

特筆すべきは、利益が拡大している局面で 600億円 もの自社株買いに踏み切ったことです。これは、Macquarieの大型買収後であっても、さらなる株主還元を行う余力があるという強い自信の表れと見て取れます。ROE(自己資本利益率)も 10.8% と二桁台に乗せてきており、長年の課題であった資本効率の改善が実を結びつつあります。

今後の注目点は、買収した資産運用会社がどれだけ早期に利益貢献を始めるか、そして新NISAで活気づく国内個人市場でのシェアをどこまで伸ばせるかでしょう。相場環境が追い風なうちに、より強固な収益基盤を構築できるかが、次のステージ(ROEの恒常的な向上)への鍵となります。