業界ダイジェスト
野村ホールディングス株式会社 の会社詳細
野村ホールディングス株式会社
野村ホールディングス
2026年3月期 通期

野村ホールディングス・2026年3月期通期、税引前利益14%増の5,398億円——ROE10.1%に改善、海外資産運用会社を2,814億円で買収

野村ホールディングス
証券大手
増収増益
ROE10%達成
M&A
資産運用
配当維持
グローバル展開
決算レポート
通期1年間の確定値(前年比)

売上高

4.8兆円

+0.5%

金融費用控除後

2.2兆円

+14.5%

営業利益

5,398億円

+14.4%

純利益

3,621億円

+6.3%

営業利益率

11.3%

野村ホールディングスが発表した2026年3月期通期決算は、収益合計(金融費用控除後)が前期比 14.5%増2兆1,677億円、税引前利益が 14.4%増5,398億円 と大幅な増益となりました。株主資本利益率(ROE)は前期の10.0%から 10.1% へと上昇し、目標水準を維持しています。好調なウェルス・マネジメント部門が全体を牽引したほか、グローバル展開を加速させるため マッコーリー・グループの資産運用事業を約2,814億円で取得 したことが大きなトピックとなりました。

トーク

野村ホールディングス 2026年3月期 通期決算

さくら × けんじ の対話形式解説

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業績のポイント

当期の業績は、主力3部門が揃って増収を確保し、非常に堅調な推移となりました。特に金融費用控除後の純収益は 2兆1,677億円(前期比 +14.5%)に達し、国内外の証券・金融市場の活況を追い風に収益力が向上しています。税引前利益は 5,398億円(前期比 +14.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は 3,621億円(前期比 +6.3%)を記録しました。

利益面では、人件費などの金融費用以外の費用も 1兆6,279億円(前期比 +14.6%)と増加しましたが、それを上回る収益成長を実現しています。ROEは 10.1% と、同社が掲げる資本効率の目標値をクリアしました。1株当たり利益(EPS)も 123.08円(前期は115.30円)に拡大し、投資家にとってポジティブな結果となっています。

指標2025年3月期2026年3月期前年比
収益合計(金融費用控除後)1兆8,925億円2兆1,677億円+14.5%
税引前当期純利益4,720億円5,398億円+14.4%
当期純利益3,407億円3,621億円+6.3%
ROE10.0%10.1%+0.1pt

業績推移(通期)

売上高営業利益

セグメント別動向

セグメント別では、各事業が高い成長性を見せました。特に ウェルス・マネジメント部門 は、収益合計が 4,879億円(前期比 +12.5%)、税引前利益が 2,040億円(前期比 +22.8%)と、部門別で最大の利益成長を遂げました。預かり資産残高の増加に伴い、管理報酬などの安定収益が積み上がったことが主要因です。

インベストメント・マネジメント部門 は、収益が 2,585億円(前期比 +34.3%)と急拡大しました。これは、マッコーリー・グループの資産運用会社3社を完全子会社化したことによる運用資産残高の底上げ(期末残高 136.9兆円)が寄与しています。一方、税引前利益は買収に伴いのれん代の計上や先行コストが発生したため、883億円(前期比 -1.4%)と微減となりました。

ホールセール部門 は、グローバルな市場取引の活発化を背景に、収益が 1兆1,622億円(前期比 +9.9%)、税引前利益が 2,006億円(前期比 +20.6%)と好調を維持しました。また、2025年4月に新設された バンキング部門 は、収益 539億円 を計上し、新たな収益源としての地歩を固め始めています。

セグメント名税引前利益(前期)税引前利益(当期)前年比
ウェルス・マネジメント1,662億円2,040億円+22.8%
インベストメント・マネジメント896億円883億円-1.4%
ホールセール1,663億円2,006億円+20.6%
バンキング164億円140億円-14.3%
セグメント収益(控除後)構成比営業利益営業利益率
ウェルス・マネジメント4,879億円23%2,040億円41.8%
インベストメント・マネジメント2,585億円12%883億円34.2%
ホールセール1.2兆円54%2,006億円17.3%
バンキング539億円3%140億円26.0%

※ セグメント収益は金融費用控除後ベース(収益合計のグロス値とは異なります)

財務状況と資本政策

当期末の総資産は、トレーディング資産の増加などにより前期末から5.8兆円増え、62兆6,459億円 となりました。株主資本は 3兆7,079億円 で、自己資本比率に相当する株主資本比率は 5.9% となっています。資産規模を拡大させつつも、健全な財務基盤を維持していると評価できます。

資本政策においては、年間配当金を 51.00円 としました。前期の57.00円からは減少していますが、前期は「創立100周年記念配当」10円が含まれていたため、普通配当ベースでは実質的な増配 となります。配当性向は 41.4% であり、利益成長をしっかりと株主還元に反映させる姿勢を維持しています。

戦略トピック:グローバル資産運用事業の大型買収

今決算における最大の注目点は、2025年12月に完了した マッコーリー・グループの資産運用事業の買収 です。取得価額は約18億米ドル(約 2,814億円)にのぼり、米国、ルクセンブルク、オーストリアの拠点を傘下に収めました。これにより、野村グループのインベストメント・マネジメント事業は、グローバルなプラットフォームを劇的に強化することになります。

この戦略的投資により、日本国内中心だった運用ビジネスから、世界水準の資産運用会社への変貌 を目指しています。短期的には買収コストが利益を圧迫しますが、中長期的には運用報酬というフロー収益の拡大により、市場環境に左右されにくい強固なビジネスモデルの構築が期待されます。

リスクと課題

同社は将来の業績予想を開示していませんが、以下の点をリスク要因として挙げています。

  • 市場環境の不確実性: 多角的な投資金融サービスを展開しているため、世界的な経済情勢や相場環境の変動が収益に直結するリスクがあります。
  • 買収後の統合プロセス (PMI): マッコーリー社から取得した資産運用事業の統合がスムーズに進むか、期待されたシナジーを発現できるかが、今後の成長の鍵を握ります。
  • コスト管理: 収益拡大に伴い、人件費やシステム投資などの金融費用以外の費用が増加傾向にあり、コスト効率の維持が課題となります。
AIアナリストの視点

野村ホールディングスにとって、この決算は長年の課題であった「資本効率(ROE)の向上」と「安定収益の確保」に明確な進展が見られた重要な節目と言えます。特にROEが10%の大台に乗ったことは、投資家からの評価を一段引き上げる要因になるでしょう。

注目すべきはマッコーリー社の事業買収です。2,814億円という巨額投資は、従来の「証券会社」から「グローバルなアセットマネジメント会社」への構造改革を急いでいることの現れです。ホールセール(投資銀行・市場業務)の変動性を、ウェルス・マネジメントと資産運用の安定収益で補うという戦略が実を結びつつあります。

就職活動中の学生にとっても、単なる証券会社ではなく、グローバルに資本を動かす「金融プラットフォーム企業」としての変革期にある同社の姿は非常に魅力的に映るはずです。今後は買収した海外拠点の収益貢献がいつ本格化するかが、株価および業績の焦点となるでしょう。