株式会社マツキヨココカラ&カンパニー の会社詳細
株式会社マツキヨココカラ&カンパニー
マツキヨココカラ&カンパニー
2026年3月期 第3四半期

マツキヨココカラ・2026年3月期Q3、営業利益4.2%増の642億円——九州の新生堂薬局を買収、PB好調で増収増益

マツキヨココカラ
増収増益
M&A
新生堂薬局
インバウンド
プライベートブランド
ドラッグストア
連合体構想
増配
九州展開
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

8,393億円

+4.7%

通期予想

1.1兆円

進捗率76%

営業利益

642億円

+4.2%

通期予想

855億円

進捗率75%

純利益

426億円

+3.3%

通期予想

565億円

進捗率75%

営業利益率

7.7%

マツキヨココカラ&カンパニーが13日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月)の連結決算は、売上高が 8,393億4,000万円(前年同期比 +4.7%)、営業利益が 642億4,700万円(同 +4.2%)となった。都市部の人流回復やインバウンド需要の増加に加え、高付加価値なプライベートブランド(PB)商品の展開が業績を牽引している。また、九州を地盤とする 新生堂薬局を子会社化 し、さらなる規模拡大に向けた「連合体構想」を加速させている。

マツキヨココカラ・2026年3月期Q3、営業利益4.2%増の642億円——九州の新生堂薬局を買収、PB好調で増収増益

業績のポイント

当第3四半期の業績は、売上高・各利益ともに前年を上回る堅調な推移となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は 425億8,900万円(前年同期比 +3.3%)を確保している。雇用・所得環境の改善による国内消費の緩やかな回復が追い風となったほか、1億6,000万人を超える顧客接点を活用したデジタル販促が功を奏した。

利益面では、原材料価格の上昇や人件費の増加といったコスト増に直面しているものの、売上総利益(粗利)の高いPB商品の構成比が高まったことで吸収した。キャッシュフロー創出力を示すEBITDAは 816億4,400万円(同 +4.0%)となり、持続的な成長投資に向けた資金創出力も維持している。2031年3月期の長期目標達成に向け、効率的な経営と差別化戦略の両立が進んでいる。

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力の「マツキヨグループ事業」が全体を牽引した一方、地域拠点の拡充という新たな動きが見られたセグメント状況は以下の通りである。

マツキヨグループ事業は、売上高 5,347億6,400万円(前年同期比 +6.6%)、セグメント利益 447億3,500万円(同 +5.4%)と大幅な増収増益を記録した。誕生10周年を迎えた「matsukiyo」ブランドから美容成分に特化した新サプリメントを発売するなど、商品力で他社との差別化を図っている。また、銀座のフラッグシップ店「GINZA FLAG」のリニューアルオープンなど、大都市圏の店舗網が訪日外国人客の需要を確実に取り込んだ。

ココカラファイングループ事業は、売上高 2,956億1,300万円(同 -0.4%)、セグメント利益 179億1,800万円(同 -3.5%)と微減となった。これは収益性向上のためのスクラップ&ビルド(不採算店の閉鎖と成長店への再配置)を優先した経営判断によるものである。効率的な販促策の実施によりロイヤルカスタマーの醸成は進んでおり、体質改善は着実に進行している。

アンドカンパニー事業は、2025年10月に九州北部でドラッグストアを展開する 株式会社新生堂薬局を子会社化 したことに伴い、当四半期から新設された。売上高は 66億2,200万円、セグメント利益は 1億3,300万円 を計上している。同社が持つ調剤ノウハウとマツキヨココカラのインフラを融合させ、ドミナントエリアのシェア拡大を目指す。

セグメント名売上高(百万円)前年同期比セグメント利益(百万円)前年同期比
マツキヨグループ534,764+6.6%44,735+5.4%
ココカラファイン295,613-0.4%17,918-3.5%
アンドカンパニー6,622-133-
管理サポート事業524,393+4.0%18,238-11.4%
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
マツモトキヨシグループ事業5,348億円64%447億円8.4%
ココカラファイングループ事業2,956億円35%179億円6.1%
アンドカンパニー事業66億円1%1億円2.0%

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前期末比234億円増の 7,361億9,400万円 となった。新生堂薬局の買収(取得原価 115億400万円)に伴いのれんが 58億3,900万円 発生したほか、商品在庫や売掛金が増加している。一方で、現金及び預金は配当支払や買収資金の充当により125億円減少したが、依然として 991億7,000万円 の厚みを保持している。

純資産は 5,303億8,400万円 となり、自己資本比率は 71.9% と極めて高い水準を維持している。資本政策においては、株主への還元と成長投資のバランスを重視。年間配当は前期の44円から4円増配となる 48円 を予定しており、経営陣の利益成長への自信を裏付けている。M&Aと既存事業のブラッシュアップを並行する「資本コストを意識した経営」が鮮明となっている。

戦略トピック:M&Aによる「連合体構想」の進展

今回の決算で特筆すべきは、九州エリアの有力企業である 新生堂薬局の完全子会社化 である。これは、地域密着型の優良企業をグループに迎え入れることで、全国規模でのシェア拡大と効率化を両立させる「連合体構想」の一環だ。新たに設立した中間持株会社「株式会社アンドカンパニー」の傘下に置くことで、地域固有の強みを維持しつつ、マツキヨグループの強力なPB開発力や物流・ITインフラを共有する戦略をとる。

海外事業においても、マレーシアへの新規出店を果たすなどASEAN地域でのプレゼンスを高めている。2025年12月末時点の海外店舗数は合計98店舗に達した。国内の飽和感が指摘されるドラッグストア業界において、同社は「大都市圏」「PB」「海外」「M&A」を4本の柱に据え、持続的な成長モデルの構築を急いでいる。

通期見通し

2026年3月期の連結業績予想については、期初に公表した数値を据え置いた。通期の売上高は 1兆1,000億円(前期比 +3.6%)、営業利益は 855億円(同 +4.2%)を見込む。第3四半期時点での営業利益の進捗率は約75.1%となっており、概ね計画通りに推移している。

項目前回予想今回修正前期実績対前期増減率
売上高1,100,0001,100,0001,061,647+3.6%
営業利益85,50085,50082,049+4.2%
当期純利益56,50056,50054,677+3.3%

リスクと課題

好調な業績の裏で、同社は以下のリスク要因を挙げている。

  • 競争環境の変化: 業種・業態を越えた競合企業の新規出店に加え、異業種からの参入による「狭小商圏化」が進行している。
  • 外部環境の不透明感: 地政学リスクの高まりや、為替・金融市場の変動が商品調達コストや消費者心理に与える影響。
  • 人的資本の確保: 薬剤師などの専門人材の確保と育成が、店舗拡大のスピードを左右する制約条件となり得る。
  • M&Aのシナジー創出: 買収した新生堂薬局などの新グループ会社において、早期にシステム統合やノウハウ共有による利益貢献を実現できるかどうかが焦点となる。
AIアナリストの視点

マツモトキヨシとココカラファインの統合以降、同社の戦略は「効率化」から「積極的な規模拡大」の第2フェーズに入った印象を受ける。

注目すべきは、九州の新生堂薬局を買収したことだ。ドラッグストア業界はウエルシアHDとツルハHDの統合検討に見られるように再編の波が激しいが、マツキヨココカラは独立性を保ちつつ、各地の優良中堅を「連合体」として取り込む独自の路線を強化している。この手法は、地域の顧客基盤を壊さずにマツキヨの強力なPB(利益率が高い)を流し込めるため、買収後の収益化が早いという強みがある。

就活生・投資家への視点としては、単なる小売業ではなく、1.6億人のデータを扱う「データマーケティング企業」としての側面が強まっている点に注目したい。PB比率の向上は、AmazonなどのECプラットフォームに対する強力な防波堤となっており、業界内でも高い利益水準(営業利益率約7.7%)を維持できている要因だろう。