日本航空株式会社 の会社詳細
日本航空株式会社
日本航空
2026年3月期 第3四半期

日本航空・2026年3月期Q3、純利益25%増の1,137億円——インバウンドとビジネス需要が牽引、LCCも回復基調

増収増益
インバウンド需要
ビジネス需要回復
LCC事業
ZIPAIR
マイル事業
ハイブリッド債
航空業界
日本航空
JAL
第3四半期累計期初から9ヶ月間の累計値(前年同期比)

売上高

1.5兆円

+9.2%

通期予想

2.0兆円

進捗率77%

営業利益

1,791億円

+24.2%

通期予想

2,000億円

進捗率90%

純利益

1,137億円

+24.9%

通期予想

1,150億円

進捗率99%

営業利益率

11.8%

日本航空(JAL)が発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月〜12月)の連結決算は、売上収益が前年同期比9.2%増1兆5,137億円、最終的な儲けを示す親会社株主に帰属する四半期利益が同24.9%増1,137億円と大幅な増益を記録しました。好調なインバウンド(訪日外国人)需要の継続に加え、日本発のビジネス需要が当初の想定を上回る回復を見せたことが業績を押し上げました。構造改革の成果として、燃油費高騰や円安によるコスト増を増収効果で吸収し、収益性の改善が進んでいます。

業績のポイント

当第3四半期累計期間の業績は、国際線・国内線ともに旅客需要が堅調に推移し、増収増益を達成しました。本業の稼ぎを示す財務・法人所得税前利益(EBIT)は1,791億円(前年同期比+24.2%)に達し、売上高に対する利益率(EBITマージン)も11.8%と、前年同期の10.4%から向上しています。

費用面では、円安の影響や事業規模の拡大に伴い、航空燃油費が2,974億円(前年同期比+4.6%)、燃油費以外の営業費用も1兆615億円(同+9.5%)へと増加しました。しかし、柔軟な座席管理(レベニューマネジメント)による単価の上昇と旅客数の増加がこれらのコスト増を十分に補いました。特に国際線では、最新鋭機「エアバスA350-1000」の導入による利便性向上や、インバウンド需要の確実な取り込みが収益拡大の原動力となりました。

指標2025年3月期Q3実績2026年3月期Q3実績前年同期比
売上収益1兆3,859億円1兆5,137億円+9.2%
EBIT(営業利益相当)1,442億円1,791億円+24.2%
四半期利益910億円1,137億円+24.9%
EBITマージン10.4%11.8%+1.4pt

業績推移(通期)

売上高営業利益|当期累計通期予想残

セグメント別動向

主力であるフルサービスキャリア(FSC)事業は、売上収益1兆1,967億円(前年同期比+9.2%)、EBIT1,268億円(同+28.6%)と極めて好調でした。国際線では日本発のビジネス需要が力強く回復し、成田=メルボルン線の増便や成田=デリー線の新規開設など、戦略的なネットワーク拡充が奏功しました。国内線においても、観光需要の取り込みと単価の改善により、収益力の強化が進んでいます。

LCC事業は、売上収益865億円(前年同期比+12.0%)と増収を確保した一方、EBITは76億円(同10.5%減)と微減になりました。第2四半期に一部路線の需要が伸び悩んだ影響があったものの、第3四半期単体では回復基調にあります。中長距離LCCの「ZIPAIR」は、冬季の渡航需要に対応した増便や、史上初となる米国オーランドへの直行チャーター便運航など、独自の市場開拓を加速させています。

マイル/金融・コマース事業は、売上収益1,668億円(前年同期比+10.4%)、EBIT338億円(同+11.2%)となりました。「JALマイレージバンクアプリ」の全面リニューアルによる顧客体験の向上や、JALUXによる航空機エンジン部品取引の拡大が寄与しています。非航空事業の収益基盤が着実に拡大しており、安定的な収益源として存在感を増しています。

セグメント売上収益(前年比)EBIT(前年比)概況
フルサービス1兆1,967億円 (+9.2%)1,268億円 (+28.6%)インバウンド・ビジネス需要が極めて好調
LCC865億円 (+12.0%)76億円 (△10.5%)旅客数は増加も、需要変動の影響を受ける
マイル/金融/他1,668億円 (+10.4%)338億円 (+11.2%)非航空分野の成長が安定利益に貢献
セグメント売上高構成比営業利益営業利益率
フルサービスキャリア事業1.2兆円79%1,268億円10.6%
LCC事業865億円6%76億円8.8%
マイル/金融・コマース事業1,668億円11%338億円20.3%

財務状況と資本政策

2025年12月末時点の総資産は、前連結会計年度末から2,439億円増加し、3兆388億円となりました。この増加の主な要因は、手元流動性の確保による現金及び現金同等物の増加です。負債については借入金の返済を進める一方で、資本面では公募永久劣後債(ハイブリッド債)の発行により、財務基盤の強化を図っています。

親会社の所有者に帰属する持分(自己資本)は、四半期利益の積み上げや劣後債の発行などにより、1兆2,233億円に増加しました。これにより、親会社所有者帰属持分比率は前年度末の34.9%から40.3%へと大幅に上昇し、健全な財務水準を維持しています。

配当については、当初予想を維持し、年間で1株当たり92円(中間46円、期末46円予想)を予定しています。好調な業績を背景に、安定的な株主還元を継続する方針です。

通期見通し

2026年3月期の通期連結業績予想については、2025年5月公表の数値を据え置いています。インバウンド需要は引き続き高水準で推移する見込みですが、不透明な世界情勢や燃料価格、為替の変動リスクを慎重に見極める判断です。通期でのEBIT目標である2,000億円の達成に向け、最終四半期も旅客需要の取り込みとコスト抑制に注力する構えです。

項目通期予想前期実績増減率
売上収益1兆9,770億円1兆8,443億円+7.2%
EBIT2,000億円1,724億円+16.0%
当期利益1,150億円1,071億円+7.4%

リスクと課題

経営上の最優先事項である「安全」に関して、当四半期中に客室乗務員の骨折事故やエンジンの不具合による重大インシデントが発生しています。会社側はこれらを重く受け止め、国土交通省の調査に協力するとともに、再発防止の徹底を経営の最重要課題に掲げています。安全管理体制の再構築は、ブランドの信頼維持において避けて通れない課題です。

外部環境では、依然として進む円安による海外費用の増大や、地政学リスクに伴う航空燃油価格の不安定化が懸念材料です。また、人手不足への対応としてグランドハンドリング(地上支援業務)の省人化・効率化を進めるなど、持続可能なオペレーション体制の構築が急務となっています。

AIアナリストの視点

今回の決算は、コロナ禍からの完全復活を超え、新たな成長フェーズに入ったことを象徴する内容です。特にフルサービスキャリア事業のEBITが3割近く伸びている点は、高単価なビジネス層とインバウンド需要を巧みに捉えた結果と言えます。

注目すべきは「非航空事業」の安定感です。マイルや金融、グランドハンドリング受託などが利益の下支えとなっており、航空需要の変動に強い体質への転換が進んでいます。一方で、LCC事業(特にZIPAIR)の収益性には季節性や競合状況による「揺れ」が見られ、今後の安定成長に向けた試金石となるでしょう。

リスク面では、決算短信の冒頭で触れられている相次ぐ重大インシデントへの対応が今後の焦点です。航空会社にとって安全は最大の付加価値であり、ここで信頼を損なうと好調な業績に水を差しかねません。攻めの経営と守りの安全管理をどう両立させるかが、投資家・就活生の双方にとって最大の注目ポイントになります。